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世間に転がる意味不明:人の心は弱いという前提条件(「おろかものの之碑」を考える)

■何気な記事

「おろかもの之碑」という題材の記事を見かけた。

○戦争協力を自戒 群馬・中之条に残る「おろかもの之碑」 公職追放経験者が61年前建立 静かに思い伝える
2022年8月13日

碑銘を揮毫きごうしたのは、やはり公職追放経験者で、群馬県選出の衆参両院議員や運輸相を務めた木暮武太夫ぶだゆう(1893〜1967年)。裏面にはあづま会の会員が日中戦争や太平洋戦争に協力した事実や建立の趣旨が記された。「おろかものノ実在ヲ後世ニ伝エ再ビコノ過チヲ侵スコトナキヲ願イ卑名ヲ下記ニ列ネテ碑ヲ建テル」と結ばれ、賛同者85人の氏名が書かれた。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/195610

いわれるがままに唯々諾々と戦争に加担したことへの反省であろう。

「われわれはおたがいの心の中に『おろかもの之碑』を建て、戦争の危機を事前に防ぐよう、つとめなければならないだろう」

がこの碑の意味するところだろう。しかし、それは容易ではない。
なぜなら、いまでも国や指導者の言うとおりに人殺しに加担している人々がいるのは、人の心の弱さが何ら解決していないことの証明である。

だからこそ、「おろか」であったことを伝え続けなければならないのだと思う。

■性善説・性悪説ではなく

一見すると、思いやりのある言葉に見えるが、そうなのだろうかと考えさせられてしまう記事も見た。

〇伊藤忠社長、ビッグモーター再建構想述べる「創業家が責任を」「善意の人の雇用確保」
2023/12/26

今後は5千人いるBM社員の雇用や、企業風土の刷新が課題になる。石井氏は伊藤忠の経営理念である「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」を「受け入れられる人は(雇用を)継続したい」と強調し、BM再生に意欲を示した。

「善意の人もいる。過度なプレッシャーのもとで、本当はしたくなかったことをせざるを得なかったのだろう。(不正行為を)指導してきた人は問題があるが。人を見た上で、善意の人の雇用はできるだけ確保したい」

https://www.sankei.com/article/20231226-PPSOJVNOJNIN3MNA6DH4MLRP2Q/

ヒトを性善説・性悪説で区分することは間違っている。人は弱いものであり、環境に合わせて「不善」をなしうる。したがって、「強い心」を持たせるように訓練しなければならない。

そうしたことを前提とせずに、価値観を受け入れるという面での雇用の保証は口先だけの気がしてしまう。また、”(不正行為を)指導してきた人”という表現は、いわゆる指導職(一般的には主任以上)をさすのであるから、管理職は再雇用しないと読める。

結局のところ、「不善」にかかわっていない人だけの再雇用になるだろう。
ビッグモーターの社員は許されると思わない方が良い。
まずは「強いこころ」をどう作るかを考えたほうが良い。

(2024/01/01)

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