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J-pratpadの審査経過情報を使って、話題のセルフレジ特許のポイントを掴む。「実践編」
昨日、特許庁の検索データベースJ-Platpad審査経過情報で特許の概要や本質を把握する方法を紹介させていただきましたが、今日は実践編ということで、誠に勝手ながら、実際に検索・読説・本質把握のプロセスを簡単に実践してみたいと思います!!
①まず、対象の特許公報を検索する。今回は、ユニクロセルフレジ訴訟でも話題になっているアスタリスク社のセルフレジの特許(特許6469758号)の概要把握を行ってみることにします。まず、J-Pratpadのトップページに行って、対象特許の特許番号を打ち込み、対象特許を検索します。
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②対象特許がヒットしたら、その中の「経過情報」をクリックしてください。
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③経過情報(審査記録)の中に「拒絶理由通知」「手続き補正書」「意見書」の表示があります。
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「拒絶理由通知」は、特許庁の審査において、審査官が特許出願は特許を与えるに至らないと判断した場合に、通知される書類のことで、この書類には、審査官が、なぜ特許を与えるに至らないと判断したのかの理由が記載されています。
「補正書」は、前記拒絶理由通知を受けた特許出願人が、特許出願内容に補正(修正)を行った場合、どこをどのように修正したかをお知らせする書類です。出願人は、拒絶理由を解消するために、出願書類を修正する訳ですから、修正部分というのは、発明のポイントとなる場合が多いです。
「意見書」は、特許出願人が、前記補正(修正)や、特許庁の発明に対する誤解によって、拒絶理由が解消されるべきだと判断した場合に提出する書類で、対象の特許出願が特許がされるべき主張(論理)が記載されています。
④では、経過情報(審査書類)を見ていきます。まずは、拒絶理由通知書からです。拒絶理由通知書には、進歩性違反(29条2項違反)と記載されています。進歩性違反は、既に公開となっている従来技術から、当業者は、対象の特許発明を容易に創作できるよね。という旨の拒絶理由です。特許法において、このように当業者が容易に創作できる発明については、産業の発達に寄与しないとして、登録されない決まりになっています。
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⑤続いて補正書の内容を見てみます。補正書に下線が引かれていますが、この下線部分が、特許出願人が補正(修正)下部分です。補正(修正)が加えられて、「物品を囲み」とか「上向き」といった文言になってます。このあたりから、この特許は、シールド部が上向きであること、物品(衣服)を囲むように構成されていることが特徴になるのかな?ということが分かってきます。
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⑥この状態で、意見書の内容を見てみます。さっと流し読みしていくと、「本願発明と引用文献1に記載された発明の相違点」の記載があります。特許発明は、従来技術と「何が違うのか(新規性)」そして、その違いによって「どのような利点があるのか(効果)」が全てあるといっても過言ではありません。先ほども言及しましたが、従来技術と大して違いがない発明や、違いがあっても大して効果を奏しないような発明は、産業の発達に寄与しないとして登録されないことになっていからです。相違点の主張は、特許発明の肝となる部分であることが多いのでとても注目すべき部分です。
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それによると、
従来技術⇒RFタグの読み取りを蓋が閉められた状態で行う
新規発明⇒RFタグの読み取りを上向きに開口した状態で行う
これが両者の相違点であると述べています。
さらに、もう少し先へ読み進めていくと行くと、「有利な効果」の記載があります。出願人は、前記の相違によってどんな効果があると考えているのかということが分かります。具体的には、「シールド部内への物品の出し入れが簡便となる。」と記載されています。確かに、レジ清算の際に際にいちいち蓋を開けたり閉めたりして、商品を出し入れを行うのは、非常に面倒ですね。
また、「シールド部が物品を囲むよう設けられていることで、周囲の機器に対する電波の影響を低減することができます」との記載もあります。シールド部の配置にもポイントがありそうです。
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図面も抜粋しておきます。実際には、シールド部44は下記のように収容部36の内側部分として配置されています。
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⑦そして、最後に特許査定へアクセスすると、今回の補正書及び意見書による、出願人の一連の主張が認められ、特許査定がされています。
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まとめると、この特許発明の本質(ポイント)は、
①RFタグの読み取りを蓋が上向きに解放された状態で行えるように、
②読取り電波を反射(吸収)する機能を担うシールド部を物品(衣服)を囲 むように配置している。
それによって、
③シールド部内への物品の出し入れが簡便となり、スムーズな読み取り作業を実現することが可能となる効果が生じている
といった特徴が見えてきました。今回の特許発明のポイントとなる思想は、非常にシンプルなものであるとも解釈できます。
このポイントを理解した上で、明細書を読んでいくと、通常の読み込みでは気づかけない部分に気づけたり、技術的に難解ではあるが実はそんな重要ではない部分を読み飛ばしていったりすることが出来ます。また、一度明細書を読み進めてみたものの、概要理解につまづいてしまった場合においても、そのつまづきを解消することが出来ます。一方で、特許のポイントをざっくり把握したい方などは、審査経過の確認のみで、そこまで明細書を読み込みを省略出来る場合もあるかと思います。自分の目的に応じ、有効な情報を取得して下さい!!J-platpadは、なんと無料の検索プラットフォームです。
※今回の一連の情報は、あくまで特許出願情報の簡易的な把握を目的としています。審判段階及び裁判所におけるやりとりについては、一切参照しておりません。いわゆる判例研究等の情報については、他の弁理士さん等がされておりますので、そちらをご参照ください。
※また、特許発明の本質をより深く理解する為には、明細書の精読に加え、従来技術の把握が必要になりますので、時間に余裕がある方は、従来技術についても、是非確認してみてください。
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