「人前で話す前には死にたくなる」とその女性経営者はいった

「大勢の前で話すときは、数日前から緊張して、たまに死にたくなる」とても華やかで、才能溢れる女性経営者の言葉。

しょっちゅう講演して、メディアの取材がひきもきらないひと。

生来、人前で話すことが好きで得意で、なんの苦にならないひともいるだろう。

けど、不思議なほど、私が知っている経営者や著名人は、かつて引きこもりだったり、生来がそれほど饒舌でなかったりする。

もちろん私も、人前で話すときは、どんなに短い時間でも、かなりの憂鬱に見舞われる。胃がせり上がり、吐きそうになる。なんで、こんなはめになったんだろうと、自分の選択を呪う。

だけど、その恐怖を超えてみると、おそれていたほどひどいことは起きない。私はどこかに着地している。そして、少しだけ、こわくなくなっている。得体の知れないおばけだったものが。

ふつうに生きてると、吐きたいほどの恐怖なんてそうそうない。なんかわからないけど、すごく苦手なこと。こわいこと。いやなこと。新しい世界を見たいと思ったら、それは結構ついてくる。

だけど、えいやと飛ぶと、いままで見えなかった風景が見えたりもする。

かつて、仰ぎ見るしかなかったひとたちと、たまに話せるようになったのは、恐怖から逃げなかった、その積み重ねでしかないかもと思ったりもする。

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