物語の世界へ

                  『物語の世界へ』


カズヤ:『映画研究部』に、所属している、男子大学生。『映画研究部』では、自主制作映画も、撮っていた。


ミリ:現役の舞台女優。演劇が、ホントに好きで、楽しくて楽しくて、しょうがない。憑依型の、演技スタイルである。


ソフィア:インド人とハーフの、現役の舞台女優。ミュージカルもできる。技術型の、演技スタイルである。


チヒロ:『演劇部』に、所属している、女子大学生。演劇が、心の底から、好きで好きで、しょうがない。技術型の、演技スタイルだが、イメージ先行。


ミヤビ:『映画研究部』に、所属している、女子大学生。元アイドルだったため、人間不信気味。気が強い。


【シーン1】~過去のシーン~

 ここは、とある市民センターのステージ。ここでは、とある小学校の、学習発表会が、行われていた。ステージには、当時、小学生の、カズヤとミリも居た・・・・。2人共、大勢の、同級生と共に、伸び伸びと、演じていた・・・・。


【シーン2】~過去のシーン~

 ここは、とある大学の、『映画研究部』の部室。ここの編集室で、カズヤは、ミヤビに、見守られながら、パソコンで、自分の自主制作映画の、編集をしていた・・・・。


ミヤビ「・・・・なんか・・・今回も・・・凄いね・・・・♪」


カズヤ「そりゃね♪♪」


ミヤビ「楽しみぃ~♪♪」


カズヤ「・・・・ありがと・・・・♪」


ミヤビ「うん♪♪」


 こうして、カズヤの、自主制作映画の、パソコンでの編集は、続いていった・・・・。


【シーン3】~現在のシーン~

 ここは、とある大学の学食。ここで、カズヤとミヤビは、それぞれ、定食を食べながら、会話していた・・・・。


ミヤビ「何かさぁ~、就職決まらぁ~ん・・・・」


カズヤ「・・・・俺も・・・・」


ミヤビ「やろう~・・・・?」


カズヤ「・・・・うん・・・・」


 この後、カズヤとミヤビは、ほぼ同時に、深く、ため息をついた・・・・。


ミヤビ「ああ~!!内定取りたぁ~い!」


カズヤ「・・・・まあねぇ~・・・・」


 この後、カズヤとミヤビは、再び、ほぼ同時に、深く、ため息をついた・・・・。


ミヤビ「・・・・この不景気じゃあ、理想の就職は、厳しそう・・・・」


カズヤ「・・・・うん・・・・」


 この後も、カズヤとミヤビは、また再び、ほぼ同時に、深く、ため息をついた・・・・。


ミヤビ「・・・・いつまでも、映研生活が、続けばいいのに・・・・」


カズヤ「・・・・それは、俺も思う・・・・」


ミヤビ「・・・・でしょう~・・・・?」


カズヤ「・・・・うん・・・・」


 この後、ミヤビは、深く、ため息をつく・・・・。


ミヤビ「・・・・でも、そうは、いかんのよねぇ~・・・・」


カズヤ「・・・・そやね・・・・」


 この後、カズヤとミヤビは、また、ほぼ同時に、深く、ため息をついた・・・・。


【シーン4】~過去のシーン~

 ここは、とある市民センターのステージ。ここでは、とある小学校の、学習発表会が、行われていた。ステージには、当時、小学生の、カズヤとミリも居た・・・・。2人共、大勢の、同級生と共に、伸び伸びと、演じていた・・・・。


【シーン5】~現在のシーン~

 ここは、とある劇場。ここでは、とある劇団の、公演が、行われており、この舞台に、ミリとソフィアも、出演していた。2人は、圧倒的な、演技力をみせる・・・・。


【シーン6】~公演後、・・・・~

 ここは、とある居酒屋。ここでは、ミリとソフィアが、酒を飲んだり、料理を食べたりしながら、会話していた・・・・。


ソフィア「・・・・最近、演劇も、変わったねぇ~・・・・」


ミリ「・・・・うん・・・・」


 この後、ソフィアは、深く、ため息をつく・・・・。


ソフィア「・・・・何で、みんな、アイドル思考なんだろ・・・・?」


ミリ「・・・・それぇ~・・・・」


 この後、ミリとソフィアは、ほぼ同時に、深く、ため息をつく・・・・。


ミリ「・・・・なんかぁ~・・・もっと、劇見て欲しいぃ~・・・・」


ソフィア「・・・・うん・・・・」


 この後も、ミリとソフィアは、ほぼ同時に、深く、ため息をつく・・・・。


ミリ「・・・・こんな世界、嫌だね・・・・?」


ソフィア「・・・・うん・・・・」


 この後も、ミリとソフィアは、再び、ほぼ同時に、深く、ため息をついた・・・・。


【シーン7】

 ここは、ミリの自宅。ここに、ミリは、外から、帰って来る・・・・。


ミリ「・・・・ただいまぁ~・・・・」


 家の中には、誰も居らず、返事がない・・・・。ミリは、深く、ため息をつき、電気をつける・・・・。


ミリ「・・・・今公演も、無事終了しました・・・・」


 こう言いながら、ミリは、ベッドに、近付いて行き、そのまま、ベッドの上に、仰向けに、倒れ込む・・・・。そのまま、ミリは、しばらく、天井を、見上げる・・・・。


ミリ「・・・・やっぱ・・・公演後は、寂しい・・・・」


 この後も、ミリは、しばらく、天井を、見上げた後、深く、ため息をついた・・・・。


【シーン8】~過去のシーン~

 ここは、とある市民センターのステージ。ここでは、とある小学校の、学習発表会が、行われていた。ステージには、当時、小学生の、カズヤとミリも居た・・・・。2人共、大勢の、同級生と共に、伸び伸びと、演じていた・・・・。


【シーン9】~現在のシーン~

 ここは、ミリの自宅。ここで、ミリは、ベッドの上で、仰向けに、倒れ込んでいた・・・・。


ミリ「・・・・カズヤ君との、学習発表会・・・懐かしいな・・・・」


 この後、ミリは、しばらく、天井を、見上げている・・・・。


ミリ「・・・・また・・・一緒に、演じたいな・・・・」


 この後、ミリは、静寂な時の中で、しばらく、天井を、見上げていた・・・・。


ミリ「・・・・今!何してんだろ!?・・・・」


 この後、なぜか、ミリの目が、光った・・・・。


【シーン10】

 ここは、カズヤの自宅。ここで、カズヤは、机に向かって座り、就活用に、履歴書を、書いていた・・・・。しばらくして、カズヤは、深く、ため息をつく・・・・。


カズヤ「・・・・ホント・・・内定取れねぇ~・・・・」


 この後、しばらくして、カズヤは、深く、ため息をついた・・・・。


カズヤ「・・・・俺の、この先の人生って・・・・」


 この後、しばらくして、カズヤは、頭を、ポリポリとかいた・・・・。すると、・・・・。


ミリ「・・・・カズヤ君!!・・・・」


 こんな、ミリの声が、急に、上から、頭に響くように、聞こえてくる・・・・。


カズヤ「!?誰だ!!?」


ミリ「・・・・覚えてない・・・・?」


 これを聞いて、カズヤは、怪訝な顔をする・・・・。


カズヤ「・・・・えっ!?・・・・」


 この後、ミリの、深い、ため息が、上から、またも、頭に響くように、聞こえてくる・・・・。


ミリ「・・・・やっぱ、覚えてないかぁ~・・・・」


 これを聞いて、カズヤは、更に、怪訝な顔をする・・・・。


カズヤ「?・・・・ホントに・・・誰・・・・??」


 またも、ミリの、深い、ため息が、上から、またも、頭に響くように、聞こえてくる・・・・。


ミリ「・・・・ミリだよ・・・・」


カズヤ「!・・・・えっ!?・・・・」


 この後、カズヤは、深く、考え込む・・・・。


カズヤ「・・・・ミリ・・・ミリ・・・ミリ・・・う~ん・・・聞いたことあるような、気もするけど・・・・」


 この後も、カズヤは、しばらく、深く、考え込み続ける・・・・。


ミリ「・・・・ほらっ♪♪小学校時代♪・・・・」


カズヤ「!えっ!?・・・小学校・・・・」


 この後も、カズヤは、深く、考え込む・・・・。


ミリ「ほらっ!♪学習発表会♪・・・・」


カズヤ「!えっ!?・・・学習発表会・・・!あっ!♪・・・・」


 こう言いながら、カズヤは、ハッ!とした・・・・。


【シーン11】~過去のシーン~

 ここは、とある市民センターのステージ。ここでは、とある小学校の、学習発表会が、行われていた。ステージには、当時、小学生の、カズヤとミリも居た・・・・。2人共、大勢の、同級生と共に、伸び伸びと、演じていた・・・・。


【シーン12】~現在のシーン~

 ここは、カズヤの自宅。ここで、カズヤは、昔のことを、思い出していた・・・・。


カズヤ「ミリちゃん!?ミリちゃんって!あの??」


ミリ「そうよ♪♪小学校の♪同級生の♪」


カズヤ「!やっぱり♪?」


ミリ「!良かった!♪思い出してくれて♪」


カズヤ「うん♪♪・・・・でも、・・・何で、声が??・・・・」


 この後、ミリの、クスクスした、笑い声が、聞こえて来る・・・・。


ミリ「それはね♪霊能力♪♪」


 これを聞いて、カズヤは、怪訝な顔をする・・・・。


カズヤ「?・・・・へっ・・・・??」


ミリ「霊能力よ♪カズヤ君♪♪」


 この後、カズヤは、意表を突かれたような、表情になる・・・・。


カズヤ「・・・・霊能力・・・・」


ミリ「そっ♪♪」


 これを聞いて、カズヤは、更に、怪訝な顔をする・・・・。


カズヤ「・・・・えっ!!?・・・・」


 この後、カズヤは、少しの間、考え込む・・・・。


カズヤ「?・・・・でも・・・何で・・・・??」


 この後も、ミリの、クスクスした、笑い声が、聞こえて来る・・・・。


ミリ「・・・・カズヤ君・・・今、何やってるの・・・・??」


カズヤ「!えっ!?・・・就活だけど・・・普通に・・・・」


 これを聞いて、ミリは、ガッカリしたように、ため息をつく・・・・。


ミリ「・・・・なぁ~んだ・・・・」


 これを聞いて、カズヤは、怪訝な顔をする・・・・。


カズヤ「・・・・えっ!?・・・・」


 この後、しばらく、間があく・・・・。


カズヤ「?・・・・ミリちゃんは・・・違うの・・・・??」


ミリ「!えっ!?・・・・うん・・・・」


 この後、カズヤは、更に、怪訝な顔をする・・・・。


カズヤ「?・・・・えっ・・・・??」


 この後、しばらく、間があく・・・・。


カズヤ「・・・・じゃあ・・・何・・・・??」


 この後、ミリの、クスクスした、笑い声が、聞こえて来る・・・・。


ミリ「舞台女優!!♪」


 これを聞いて、カズヤは、驚きを、隠せなかった・・・・。


カズヤ「・・・・えっ・・・・!?」


 この後も、ミリは、クスクスと、笑っている・・・・。


ミリ「夢だった♪舞台女優♪続けてる♪♪」


カズヤ「・・・・へえ~・・・・」


 こう言いながら、カズヤは、呆然としている・・・・。


カズヤ「・・・・なんか・・・正反対だね・・・・」


ミリ「?何がぁ~??」


カズヤ「・・・・僕達・・・・」


ミリ「!そんなことないよぉ~!!」


 これを聞いて、カズヤは、苦笑する・・・・。


カズヤ「・・・・いやっ・・・正反対だよ・・・・」


ミリ「?どうしてぇ~??」


 これを聞いて、カズヤは、苦笑を強める・・・・。


カズヤ「・・・・片や、舞台女優の、夢を叶え、片や、内定すら取れない、就活を、続けている・・・・」


 この後、ミリは、しばらく、何とも言えない、沈黙をする・・・・。


ミリ「・・・・それに関しては・・・その通り・・・・」


カズヤ「・・・・でしょ・・・・?」


ミリ「・・・・うん・・・・」


 この後、しばらく、間があく・・・・。


ミリ「・・・・ねえ・・・・?」


カズヤ「!えっ!?」


 この後も、しばらく、間があく・・・・。


ミリ「・・・・学習・・・学習発表会の時!!・・・演技・・・楽しくなかった??・・・・」


カズヤ「!えっ!?・・・・うん・・・楽しかったよ・・・確かに・・・うん・・・・」


ミリ「!でしょ!?」


カズヤ「・・・・うん・・・まあ・・・・」


 こう言いながら、カズヤは、はにかんだ、笑顔を見せる・・・・。


カズヤ「・・・・でも・・・昔のことだよ・・・・」


 これを聞いて、ミリは、ガッカリする・・・・。


ミリ「・・・・そっ・・・・」


カズヤ「・・・・うん・・・あの時は・・・楽しかった・・・だから、・・・大学では、・・・『映画研究部』っていう・・・サークルに、入った・・・・」


ミリ「!!映画ぁ~!!?」


カズヤ「・・・・うん・・・あくまで・・・サークルだけど・・・ね・・・・」


 こう言いながら、カズヤは、苦笑する・・・・。


ミリ「・・・・映画かぁ~・・・・」


カズヤ「・・・・まあ・・・・」


 この後、ミリは、しばらく、深く、考え込む・・・・。


ミリ「・・・・ねえ?・・・・」


カズヤ「!えっ!?」


ミリ「・・・・就職しないで・・・金に関係なく・・・物語に、触れることができるって聞いたら・・・魅力感じる??・・・・」


カズヤ「!えっ!?・・・・そりゃあ・・・まあ・・・映画は、好きだし・・・・」


ミリ「!演劇はぁ~!?」


カズヤ「!えっ!?・・・・よく分からないけど・・・少なくとも、学習発表会は・・・楽しかった・・・でも・・・それだけじゃあ・・・・」


ミリ「・・・・そっ・・・・」


カズヤ「・・・・うん・・・正直・・・・」


 この後、何とも言えない、沈黙が、しばらく続く・・・・。


ミリ「・・・・あのさ・・・・」


カズヤ「!えっ!?」


ミリ「・・・・うん・・・・」


 この後、しばらく、間があく・・・・。


ミリ「・・・・とりあえず・・・就活辞めない・・・・??」


カズヤ「!えっ!?・・・・でも・・・就活しなかったら・・・生活が・・・・」


ミリ「・・・・分かるよ・・・・」


カズヤ「・・・・でしょ・・・・?」


ミリ「・・・・うん・・・分かる・・・それが、普通なのは・・・だけど・・・お金は・・・心配ないから・・・・」


カズヤ「!えっ!?」


ミリ「・・・・信じて!!・・・・」


カズヤ「・・・・それはぁ~・・・・」


 この後、しばらく、間があく・・・・。


ミリ「・・・・大丈夫!・・・信じて!!・・・・」


カズヤ「!えっ!?・・・・うん・・・分かった・・・分かったけど・・・どうして?・・・・」


ミリ「演劇して欲しい!!・・・・映画にも、触れていいから・・・・」


カズヤ「!えっ!?・・・・そんな、急に言われても・・・・」


ミリ「できるから!!」


カズヤ「!えっ!?・・・・うん・・・分かった・・・・」


ミリ「!!ホント!♪?」


カズヤ「・・・・うん・・・まあ・・・・」


ミリ「良かった!♪」


カズヤ「・・・・うん・・・でも・・・ここから、どうやって・・・・」


ミリ「私に!任せて!!」


カズヤ「!?・・・・えっ!!?・・・・」


ミリ「霊能力だよ!!霊能力!信じて!!」


カズヤ「!えっ!?・・・・うん・・・分かった・・・・」


ミリ「うん♪♪じゃあ♪また、こうして、連絡するね♪」


カズヤ「!えっ!?・・・・うん・・・・」


ミリ「じゃあ!!♪」


カズヤ「・・・・うん・・・・」


 この後、ミリの、頭に響く声が、消えた・・・・。


カズヤ「・・・・演劇か・・・・」


 この後、カズヤは、頭を、ポリポリかいた・・・・。


【シーン13】

 ここは、チヒロの自宅。ここの寝室の、ベッドに、チヒロは、横になり、寝ようとしていた。すると、・・・・。


ミリ「チヒロちゃん!♪」


 頭に響く、このミリの霊能力の、声を聞いて、チヒロは、ガバッ!と起き上がる・・・・。


チヒロ「あらっ♪♪ミリちゃん♪」


ミリ「ちょっと!頼みたいことが!!あるんだけど!」


チヒロ「?頼みたいこと??」


ミリ「うん!♪頼みたいこと♪」


チヒロ「・・・・いいけど、ミリちゃんの、頼みなら・・・・」


ミリ「!ホント♪?良かった♪♪」


チヒロ「・・・・うん・・・っで、頼みたいことって?・・・・」


ミリ「・・・・うん・・・それがね♪・・・・」


チヒロ「・・・・うん・・・・」


【シーン14】

 ここは、カズヤの自宅。ここで、カズヤは、自分の撮ってきた、自主制作映画の、DVDを、パソコンで、見ていた。すると、・・・・。


ミリ「カズヤくぅ~ん♪♪」


 ここで、このミリのセリフを、カズヤは、前みたいに、頭に響く、霊能力の声を、聞いていた・・・・。


カズヤ「!あっ!ミリちゃん!♪」


 この後、カズヤには、なぜか、ミリが、ニコニコしてるのが、伝わる・・・・。


カズヤ「・・・・なんか・・・こう・・・嬉しそうだね!!♪・・・・」


ミリ「!あっ!分かるぅ~♪?」


 この後、カズヤは、はにかんだ笑みを、浮かべる・・・・。


カズヤ「・・・・うん・・・まあ・・・何となく・・・・」


 この後、ミリは、更に、嬉しそうにする・・・・。


ミリ「・・・・それでね♪♪・・・カズヤ君♪・・・会って欲しい人が♪♪いるんだけど♪・・・・」


 これを聞いて、カズヤは、怪訝な顔をする・・・・。


カズヤ「・・・・えっ!?・・・会って欲しい人??・・・・」


ミリ「うん♪♪」


 これを聞いて、カズヤは、しばらく、呆然とし、ミリは、やはり、ニコニコしている・・・・。


カズヤ「・・・・えっと・・・それって・・・誰!!?・・・・」


 この後、ミリは、クスクスと笑う・・・・。


ミリ「チヒロちゃんって♪♪女性だよ♪」


 これを聞いて、カズヤは、不思議そうな顔をする・・・・。


カズヤ「・・・・へっ!!?・・・・」


 この後、ミリは、しばらく、クスクスと笑っている・・・・。


カズヤ「・・・・誰??その人?・・・・」


ミリ「あなたの大学の♪『演劇部』の人だよ♪♪」


 これを聞いて、カズヤは、怪訝な顔をする・・・・。


カズヤ「・・・・へっ!?へっ!??・・・・」


 この後も、ミリは、しばらく、クスクスと笑っていた・・・・。


【シーン15】~3日後、・・・・~

 ここは、とある演劇練習場の、手前の道。ここに、チヒロとカズヤは居た・・・・。


チヒロ「・・・・っと言う訳で、あなたに、演劇の基礎を、教えることになった、チヒロです・・・・」


 この後、カズヤは、しばらく、苦笑している・・・・。


カズヤ「・・・・はい・・・・」


 カズヤは、やはり、苦笑いのまま、こう言っている・・・・。この後、チヒロは、一息つく・・・・。


チヒロ「・・・・では・・・早速、中に入りましょ・・・・」


カズヤ「・・・・はい・・・・」


チヒロ「・・・・では・・・・」


 この後、カズヤは、チヒロに付いて行き、この演劇練習場の中に、入って行った・・・・。


【シーン16】~この演劇練習場に、入った後、・・・・~

 ここは、さっきの、演劇練習場の中の、1部屋。ここで、チヒロとカズヤは、向かい合って、立っていた・・・・。


チヒロ「・・・・まずは、腹式呼吸から、教えますね・・・・」


カズヤ「・・・・はい・・・・」


 この後、チヒロは、一息つく・・・・。


チヒロ「・・・・まずは、手を片方ずつ、下腹部と、胸に、当てて下さい・・・この様に・・・・」


 こう言いながら、チヒロは、カズヤに、見本を見せる・・・・。


カズヤ「?・・・・こう・・・ですか・・・・??」


 カズヤは、チヒロと、同じ所に、手を当てる・・・・。


チヒロ「・・・・はい♪その通りです♪♪・・・では、胸を、膨らませないように、下腹部を、膨らませて、呼吸して下さい・・・・」


カズヤ「・・・・はい・・・・」


 こう言いながら、カズヤは、言われた通りにする・・・・。


チヒロ「・・・・はい・・・そのまま、声を発しなくても、いいので、その呼吸法に、慣れて下さい・・・・」


カズヤ「・・・・はい・・・・」


 こうして、カズヤの、腹式呼吸の練習は、続いていった・・・・。


【シーン17】~これから、毎日、・・・・~

 このシーンでは、カズヤとチヒロの、マンツーマンによる、発声練習、バレエ、サイレントエチュード、エチュード、外郎売りなど、演劇の基礎練習の、毎日のシーンが、次々、流れていく・・・・。


ナレーション(カズヤの声で)「こうして、演劇のための、基礎的な練習の日々が、始まった。僕は、不器用で、なかなか、腹式呼吸が、モノにできなかったが、チヒロの、丁寧な指導によって、コツが、掴めた。掴んだ後は、腹式呼吸が、難なくできる様になった。ただ、滑舌だけは、役者にとっての、永遠の課題なようで、『外郎売り』は、ずっと、続ける必要があった。こうして僕は、他社からも、認められる俳優となった・・・・」


【シーン18】~数ヶ月後、・・・・~

 ここは、とある居酒屋。ここでは、ミリとソフィアが、酒を飲んだり、料理を食べたりしながら、会話していた・・・・。


ミリ「・・・・『ロミオとジュリエット』か♪・・・・」


ソフィア「・・・・そうらしい・・・・」


ミリ「へえ~♪楽しみだなぁ~♪♪」


ソフィア「・・・・私も・・・・」


ミリ「やっぱ♪『ロミオとジュリエット』は♪定番だよねぇ~♪♪」


ソフィア「・・・・そうね・・・・」


 この後、ミリとソフィアは、何となく、微笑んでいた・・・・。


【シーン19】~同じ日、・・・・~

 ここは、チヒロの自宅。ここで、チヒロは、iPadで、とある劇団の舞台の、公演の動画を、とあるサブスクで、見ていた。すると、・・・・。


ミリ「チヒロちゃぁ~ん♪♪」


 チヒロは、再び、頭に響く、このミリの霊能力の、声を聞いた・・・・。


チヒロ「!ミリちゃん!!」


 この後、チヒロは、今見ている、とある劇団の舞台の、公演の動画を、止める・・・・。


チヒロ「・・・・どうしたの・・・・??」


ミリ「ちょっと♪頼みたいことがあって♪♪」


チヒロ「?頼みたいこと??」


ミリ「うん♪♪」


チヒロ「?何っ??」


 この後、ミリは、満面の笑みを、浮かべる・・・・。


ミリ「それはね♪♪」


チヒロ「・・・・うん・・・・」


 この後、ミリは、ニコニコしていた・・・・。


【シーン20】~次の日、・・・・~

 ここは、演劇練習場の中の、1部屋。ここで、チヒロとカズヤは、向かい合って、立っていた・・・・。


カズヤ「『ロミオとジュリエット』??」


チヒロ「・・・・うん、まあ・・・・」


 この後、カズヤは、しばらく、呆然としている・・・・。


カズヤ「・・・・えっ?・・・それを・・・俺と、元演劇部員で??・・・・」


チヒロ「・・・・うん・・・・」


 この後、カズヤは、しばらく、考え込む・・・・。


カズヤ「・・・・いいけど・・・?俺にできるの??・・・・」


チヒロ「・・・・まあ・・・演劇は、・・・とりあえず、客席に、声が届けば、演劇役者として、問題ないから・・・・」


 これを聞いて、カズヤは、怪訝な顔をする・・・・。


カズヤ「・・・・えっ?・・・そうなの??・・・・」


チヒロ「・・・・まあ・・・地方役者だと・・・だいたい・・・・」


 これを聞いて、カズヤは、呆然としてしまう・・・・。


カズヤ「・・・・えっ?・・・じゃあ・・・東京だと、違うわけだ・・・・」


チヒロ「・・・・地方と東京は、違うからね・・・・」


 これを聞いて、カズヤは、更に、呆然としてしまう・・・・。


カズヤ「・・・・なるほど・・・・」


チヒロ「・・・・だから、東京は、怖いんだけどね・・・・」


 これを聞いて、カズヤは、やはり、呆然としている・・・・。


カズヤ「・・・・まあ・・・頑張ってみる・・・・」


チヒロ「・・・・うん・・・そうじゃないと、教えた意味ない・・・・」


 これを聞いて、カズヤは、呆然としたまま、苦笑する・・・・。


カズヤ「・・・・確かに・・・・」


チヒロ「・・・・うん・・・・」


 この後、カズヤは、やはり、苦笑していた・・・・。


【シーン21】~この日の夜、・・・・~

 ここは、カズヤの自宅。ここで、カズヤは、1人、『外郎売り』の練習を、していた。すると、・・・・。


ミリ「ヤッホぉ~♪♪カズヤ君♪」


 カズヤは、再び、頭に響く、このミリの霊能力の、声を聞いた・・・・。


カズヤ「!ミリちゃん!♪」


ミリ「練習に♪せいが出るねぇ~♪♪」


カズヤ「!えっ!?いやっ♪『外郎売り』は♪♪欠かせないよ♪」


 これを聞いて、ミリは、クスクスと笑う・・・・。


ミリ「だよねぇ~♪」


カズヤ「まあね♪♪・・・・所で♪なんか用♪?・・・・」


ミリ「うん♪これを、伝えようと♪♪思ってね♪」


 これを聞いて、カズヤは、怪訝な顔をする・・・・。


カズヤ「?えっ!?何を??」


 これを聞いて、ミリは、クスクスと笑う・・・・。


ミリ「私も!♪『ロミオとジュリエット』を♪演じるのぉ~♪♪」


 これを聞いて、カズヤは、意表を、突かれたような顔をする・・・・。


カズヤ「・・・・えっ!?・・・・」


 ミリは、やはり、クスクスと笑っている・・・・。


カズヤ「・・・・これって・・・偶然!?・・・・」


ミリ「違うよぉ~♪」


 これを聞いて、カズヤは、苦笑する・・・・。


カズヤ「・・・・えっ??・・・じゃあ・・・・」


ミリ「私が!♪チヒロちゃんに♪頼んだんだよ♪♪」


カズヤ「・・・・やっぱり♪?・・・・」


ミリ「うん♪♪」


 これを聞いて、カズヤは、苦笑気味に、呆然としてしまう・・・・。


ミリ「これからの、カズヤ君の人生。私が、東京で、演じた演目を♪♪カズヤ君も、演じるんだよ♪」


 これを聞いて、カズヤは、呆気を取られる・・・・。


カズヤ「・・・・えっと・・・これが・・・『就職しないで・・・金に関係なく・・・物語に、触れることができる』って意味??・・・・」


 これを聞いて、ミリは、ケラケラ笑う・・・・。


ミリ「違うよ!♪その過程では♪あるけど♪・・・・」


 これを聞いて、カズヤは、怪訝な顔をしてしまう・・・・。


カズヤ「・・・・?えっ!?・・・・」


 この後も、ミリは、やはり、ケラケラと笑っていた・・・・。


ミリ「・・・・生涯♪ずっと♪♪演じてたら♪分かるから♪♪・・・・」


 これを聞いて、カズヤは、腑に落ちない顔をする・・・・。


カズヤ「?・・・・えっ・・・・??」


 この後、ミリは、クスクスと笑っていた・・・・。


カズヤ「・・・・うん・・・分かった・・・・」


 カズヤは、やはり、怪訝に思いながらも、何となく、こう言った・・・・。


【シーン22】

 ここは、とある劇場。ここでは、とある劇団の、公演が、行われており、この舞台『ロミオとジュリエット』に、ミリとソフィアも、出演していた。2人は、圧倒的な、演技力をみせていた・・・・。


【シーン23】~同じ日、・・・・~

 ここは、とある劇場。ここでは、とある大学の、元演劇部とカズヤの、公演が、行われており、この舞台『ロミオとジュリエット』に、カズヤとチヒロも、出演していた。2人は、圧倒的な、演技力をみせていた・・・・。


【シーン24】

 ここは、カズヤの自宅。ここに、カズヤは、疲れたながらも、満足気に、帰って来た・・・・。


カズヤ「・・・・これが・・・舞台か・・・・」


 この後、疲れて、バタンッ!とベッドの上に、横たわる。だが、やはり、その表情は、満足気だった・・・・。


カズヤ「・・・・まだ、『就職しないで・・・金に関係なく・・・物語に、触れることができる』って意味・・・分からないけど・・・今は・・・これでいい・・・・」


 こうして、カズヤは、微笑ましく、天井を見ていた・・・・。


【シーン25】

 このシーンでは、公演毎に、同じ演目を、演じていく、カズヤ、ミリ、チヒロ、ソフィアの様子が、次々に、流れていく。それらの演目は、古典戯曲ばかりだった・・・・。


ナレーション(カズヤの声で)「そして、僕とミリちゃんは、同じ時期に、同じ演目を、演じ続けた。僕は、地方役者として、ミリちゃんは、東京役者として。そのことは、ネットで、確認できた。ミリちゃんは、憑依型の天才役者として、有名で、公演情報は、ネットに、大々的に、乗っていた。そして、僕は、あの声は、本物だと、確信し、チヒロちゃんと共に、同じ演目を、演じ続けた。そして、どちらも、そのまま、生涯、役者で、生き続け、限界まで、役者人生を、全うした。そう、演じれなくなるまで、引退することなく。そして、僕とミリちゃんは、同じ時期に、役者を、引退した・・・・」


【シーン26】~数十年後、・・・・~

 ここは、とある病院の病室。ここに、すっかり、老人になり、体も不自由になった、カズヤが、ベッドで、横になっていた。この時期、カズヤは、余命が、残り僅かで、明日にも死んで、おかしくないと言われていた。ミリちゃんへの想いから、結婚もしなかったカズヤは、子も孫もおらず、親も既に、いなくて、親戚以外、カズヤを、見舞う人もいなかった。チヒロとは、演劇仲間だったが、チヒロも、既に、この世に、いなかった・・・・。


カズヤ「・・・・役者を引退して、随分になるなぁ~・・・・」


 この後、しばらく、間があく・・・・。


カズヤ「・・・・もう、チヒロちゃんも、ミリちゃんも、この世に、いないと言うのに・・・俺だけ、生き永らえて・・・ミリちゃん・・・『就職しないで・・・金に関係なく・・・物語に、触れることができる』って意味・・・分からないなぁ~・・・・」


 この後も、しばらく、間があく・・・・。


カズヤ「・・・・分からないけど・・・まあ、・・・役者人生・・・楽しかったよ・・・地方役者だったがね・・・・」


ミリ「それで!いいのよ!♪」


 この若いままの、ミリの声が、カズヤの頭に響く・・・・。


カズヤ「・・・・えっ・・・・!?」


ミリ「・・・・それで、いいのよ♪カズヤ君♪♪・・・・」


 カズヤは、驚きのあまり、目を丸くする・・・・。


カズヤ「・・・・ミリちゃん・・・ミリちゃんなのか・・・・??」


ミリ「そうよ♪♪」


 この後、ミリの、クスクスとした、笑い声が、聞こえて来る・・・・。


カズヤ「・・・・えっ!?・・・でも・・・君は・・・・」


ミリ「そっ♪♪私は♪もう、この世界に居ない♪」


 これを聞いて、カズヤは、怪訝な顔になる・・・・。


カズヤ「?・・・・えっ・・・・??」


ミリ「私は♪一足先に♪♪向こうの世界に居るよ♪」


 これを聞いて、カズヤは、意味も分からず、更に、怪訝な表情になる・・・・。


カズヤ「?・・・・ええっ・・・・??」


 この後、再び、ミリの、クスクスっとした笑い声が、聞こえてくる・・・・。


ミリ「役者人生♪お疲れ様♪♪これで!♪私達♪ずっと♪一緒だよ♪♪」


 これを聞いて、カズヤは、何となく、目を輝かせる・・・・。


カズヤ「・・・・うっ・・・うん・・・・」


 この後も、カズヤは、ミリの、クスクスっとした笑い声を聞く・・・・。


ミリ「行こ♪♪」


カズヤ「・・・・うん・・・・♪」


 こうして、カズヤの魂は、カズヤの体から抜け、カズヤの魂は、若いカズヤの姿を、取り戻し、魂の抜けた、老人のカズヤは、静かに、息を引き取った・・・・。


ミリ「楽しみになって来た♪?」


カズヤ「・・・・うん♪・・・・」


 魂になった、カズヤとミリが、こう会話した・・・・。


【シーン27】~物語の世界~

 ここは、魂となった、カズヤとミリが、行き着いた場所。ここには、既に、ソフィアとチヒロも居た。周囲には、カズヤ、ミリ、ソフィア、チヒロの演じてきた、古典戯曲の、登場人物達。ここは、物語の世界だった・・・・。


ソフィア「!あっ!来た!♪」


チヒロ「もう!遅い!!」


ミリ「でしょう♪?」


ソフィア「ホントホント♪」


 この幻想的な光景に、カズヤは、すっかり、呆然としていた・・・・。


カズヤ「・・・・ここは・・・・?」


 この後、ミリ、ソフィア、チヒロは、クスクスと、カズヤに笑いかける・・・・。


ミリとソフィアとチヒロ「ようこそぉ~♪♪物語の世界へぇ~♪」


 これを聞いて、カズヤは、キョトンッ!とする・・・・。


カズヤ「?・・・・へっ・・・・??」


 ミリ、ソフィア、チヒロの3人は、やはり、クスクスと笑っている・・・・。


ミリ「ここは、演劇を、続けた者達の楽園♪」


ソフィア「ずっと!♪物語の登場人物達と♪一緒に居られる♪」


チヒロ「おめでとう♪♪カズヤ君♪」


 このことに、しばらく、呆然としていた、カズヤだが、やがて、満面の笑みを、浮かべる・・・・。


カズヤ「うん♪♪」


 この後、ミリは、手を差し出す・・・・。


ミリ「行こっか♪♪」


カズヤ「・・・・うっうん♪♪・・・・」


 こうして、カズヤ、ミリ、ソフィア、チヒロの4人は、手を繋いで、並んで、歩き始めた・・・・。


ナレーション(カズヤの声で)「こうして、僕ら4人は、この物語の世界に、永久に、住み続けた。これが、『就職しないで・・・金に関係なく・・・物語に、触れることができる』って意味だったんだ・・・・」

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