勇者カズヤ

                   『勇者カズヤ』


カズヤ:ワカバ村出身の剣士。後に、世界を救うための『勇者』となる。


メグミ:ワカバ村出身の賢者で、カズヤの幼馴染。『勇者』のパーティに加わる。


ゴウダ:ワカバ村出身の戦士の大男で、カズヤの幼馴染。『勇者』のパーティに加わる。


マミ:ワカバ村出身の女性格闘家。カズヤの幼馴染。『勇者』のパーティに加わる。


コウタ:カズヤの父親であり、カズヤの剣の師匠。先代勇者。


バサラ:世界を支配した魔王。


リザード:バサラ四天王の一人。ワニ顔のリザードマン。怪力が武器。


ミスト:バサラ四天王の一人。闇の剣士。闇属性の気功術の使い手。


ハザード:バサラ四天王の一人。悪魔の王。悪魔魔法の使い手。


セラフ:バサラ四天王の一人。竜神。ドラゴンの力を使う。


アウタース:ワカバ村を襲ったモンスター。バサラの一味。


【シーン1】過去のシーン

 ここは、辺境の村、ワカバ村。この村の中にある広場で、カズヤは、剣を素振りしていた。


カズヤ「勇者になるには!剣が強くないとな!!」


 カズヤが、素振りをしている広場に、メグミは、タオルと弁当とお茶の入った水筒を持って、やって来た。カズヤとメグミは、13歳であった・・・・。


メグミ「カズヤぁ~!!♪ご飯にしなぁ~い♪?」


 このメグミの呼びかけに、カズヤは反応し、メグミの方に視線を移す・・・・。


カズヤ「おっ!!いつものメグミの!手作り弁当か!♪食べよ食べよ♪」


 こう言いながら、カズヤは、メグミの方に駆け寄り、メグミの所に着くと、メグミと一緒に座り、メグミが弁当を開けた・・・・。


カズヤ「!!おっ!うまそぉ~!!♪」


メグミ「でしょう~♪?」


カズヤ「うん♪♪いつもいつも♪メグミの弁当は♪美味しそうだね♪♪」


メグミ「そう言われると、照れるよぉ~♪」


カズヤ「いやいや♪ホントのことだから!♪」


メグミ「ありがとう♪♪」


カズヤ「いやいや♪こちらこそ♪♪ありがとう♪」


メグミ「いやいや♪未来の勇者様のためですもの♪お安い御用よ♪」


カズヤ「いつも♪そう言って貰えて♪嬉しいよ♪」


メグミ「さっ♪食べましょ♪♪」


カズヤ「そうだね♪♪いただきまぁ~す♪」


メグミ「食べて食べて♪」


カズヤ「もちろぉ~ん♪♪」


 こうして、カズヤは、メグミの手作り弁当を食べ始めた・・・・。


【シーン2】現在のシーン~あれから4年後・・・・~

 ここは、現在のワカバ村。立派に17歳に成長したカズヤは、相変わらず剣の修行をしていた。違うのは、剣の練習メニューが、増えている。剣の師匠は、父であるコウタ。毎日、剣の修行に明け暮れているカズヤだが、コウタが、課しているメニューもこなすが、こうして、小さい頃からやっている、剣の素振りの自主練は、欠かさない。カズヤは、練習熱心でもあった・・・・。こうして、いつものように、カズヤは素振りをし、いつも通りメグミが、弁当作ってやって来る。いつもの、美味しいメグミの手作り弁当である・・・・。


メグミ「・・・・いつもながら、精が出るわねぇ~・・・・」


 この後、メグミは、軽く一息つく・・・・。


メグミ「・・・・あそこまで、たくさん練習してると、体が壊れるか、少し心配かも・・・・」


 メグミは、呆れ顔である・・・・。


メグミ「カズヤぁ~!!♪ご飯にしなぁ~い♪?」


 これを聞いて、カズヤは、いつも通り、メグミの方に視線を移す・・・・。


カズヤ「!おっ!♪いつものメグミの♪手作り弁当だ♪♪」


 こうして、カズヤは、いつも通り、メグミの方へ駆け寄って行った。この様子を、カズヤの父であるコウタが、遠くから見守っていた・・・・。


コウタ「・・・・全く・・・あの練習量は心配なんだけどなぁ~・・・強くなるのは早いけど・・・・」


 こう言いながら、コウタは、呆れ顔で、顔に手を当てていた・・・・。


コウタ「・・・・それにしても、メグミちゃん・・・美しく成長したもんだ♪・・・カズヤの奴ぅ~♪羨ましいぞぉ~♪♪」


 こうして、平和な日々が過ぎて行っていた・・・・。


【シーン3】

 ここは、ミーファ王国城の、予言の間。ここにいるベテラン予言者が、災いを予言してしまう・・・・。


予言者「・・・・これは・・・マズい・・・・」


 災いを予言した、このベテラン予言者は、慌てて、この部屋を出て行った・・・・。


【シーン4】

 ここは、とある洞窟。ここに、魔王バサラが、封印されている魔法陣がある。この魔法陣から、黒い煙が、滲み出てくる。その黒い煙が集まり、やがて、形になっていく。それが、先代勇者に封印された、魔王バサラとなる・・・・。


バサラ「・・・・平和な世になり、人々の負の感情で、満たされたか・・・・」


 この後、魔王バサラは、高笑いする・・・・。


バサラ「再び!!この世界を!我がバサラの物に!!」


 こうして、バサラの高笑いは、止まらなかった・・・・。


【シーン5】

 ここは、ミーファ王国城の玉座の間。ここに、先程、災いを予言した、ベテラン予言者が、慌てて入って来る・・・・。


予言者「大変です!!王よ!!!!」


王「!何事か!?」


 王の間に、急いで来た予言者は、ゼイゼイと切らした息を、整える・・・・。


予言者「・・・・魔王バサラが!魔王バサラが!!・・・・」


王「?魔王バサラが??」


 この後も、このベテラン予言者は、何とか息を整える・・・・。


予言者「魔王バサラが!!復活しました!!!!」


 ベテラン予言者の、このセリフに、この王の間の中の者達に、戦慄が走る・・・・。


王「・・・・何・・・だと・・・・」


 こうして、王の間の者達の間で、ざわついた・・・・。


【シーン6】

 ここは、召喚の間。魔王バサラは、ここに来ていた・・・・。


バサラ「我は復活した。今こそ新生魔王軍設立の時」


 バサラは、魔法陣が四つ、四隅にある部屋の中心で、足を止める・・・・。


バサラ「・・・・さあ、召喚しよう。我が魔王軍に相応しい、四天王を・・・・」


 この後、バサラは、召喚のための、呪文を唱え始める・・・・。


バサラ「出でよ!!!!新生!!魔王軍四天王!!!」


 このセリフと共に、この部屋の、四つの魔法陣が、光り出し、そこから魔の者で、強い者達が召喚される。その者達は、リザードマンの王『リザード』。魔界の闇の剣士『ミスト』。悪魔最強の王『ハザード』。全てのドラゴン達を統べる竜神『セラフ』である。


バサラ「・・・・今回は、そなたらか・・・う~ん、悪くない・・・・」


新生魔王軍四天王「ははあ!!魔王バサラ様!」


 こう言いながら、新生魔王軍四天王の四人は、魔王バサラに跪いた・・・・。


バサラ「さあ!!!!この新生魔王軍四天王と共に!!世界征服の始まりだぁ~!!!!」


 このセリフと共に、この召喚の間の魔王バサラと、四天王の四人から、黒い暗雲が立ち込め、それが、空に上昇し、空を覆う。やがて、その暗雲は、世界中に広がり、世界中の空は、暗雲に包まれた・・・・。


【シーン7】

 ここは、ワカバ村。ここの空も、暗雲に包まれていた・・・・。


カズヤ「?・・・・何だぁ~・・・・??」


メグミ「?・・・・黒い・・・雲・・・・??」


 こう不思議がるカズヤとメグミを、見守っているコウタは、つい舌打ちをしてしまう・・・・。


コウタ「・・・・マズい・・・・」


 こう言った後、コウタは、遠くからカズヤ、メグミの方に駆け寄る・・・・。


コウタ「おいっ!!お前達!!!」


カズヤ「!父ちゃん!!・・・・えっ!?・・・でも・・・どうしたの??・・・・」


コウタ「恐らく!!魔王が復活した!ここにもモンスターが!攻めて来るぞ!!」


カズヤ「!えっ!?」


メグミ「でもっ!!何でそんなことが!?」


コウタ「・・・・暗雲だ・・・・」


メグミ「!・・・・えっ!?・・・・」


コウタ「・・・・この暗雲こそ、魔王バサラの復活の兆し・・・人々の負の感情が、世界に溢れた時、その負のエネルギーによって、倒された魔王が、復活する・・・・」


カズヤ「・・・・負の・・・感情・・・・」


メグミ「・・・・でも・・・・」


カズヤ「?メグミちゃん??」


メグミ「・・・・でも!!・・・何で!?カズヤのお父さんが!そんなことを!知ってるんです!!?」


カズヤ「!!言われてみれば!何でだ!?父ちゃん!!」


コウタ「・・・・俺が・・・・」


カズヤ「!?えっ!!?」


コウタ「・・・・俺こそが・・・魔王を倒した、先代勇者だからだ・・・・」


 これを聞いて、カズヤとメグミは、驚きを隠せない・・・・。


メグミ「・・・・ウソ・・・・」


カズヤ「・・・・そう・・・だったのか・・・・」


コウタ「・・・・こんなことを話している場合じゃない・・・カズヤとメグミは、ゴウダ、マミと共に、村人を守ってくれ・・・・」


カズヤ「!父ちゃんは!?」


コウタ「・・・・恐らく、前と同じなら、この村を攻めて来るモンスターを統べる、ボスモンスターがいるはずだ・・・それを倒せば、残りのモンスター達も、消滅するはず・・・・」


カズヤ「・・・・それを・・・父ちゃんが、倒すんだな・・・・」


コウタ「・・・・そうだ・・・・」


 この後、カズヤは、少し考え込む・・・・。


カズヤ「・・・・分かった・・・俺が、村人達を守る・・・・」


メグミ「私達が♪・・・でしょ♪?」


カズヤ「・・・・メグミちゃん♪・・・・」


コウタ「・・・・頼むぞ・・・カズヤ・・・・」


カズヤ「任せとけ!!何せ!俺は!先代勇者の息子だからな!!♪」


 これを聞いて、コウタは、カズヤに微笑む・・・・。


コウタ「・・・・そうだな♪・・・お前は、この俺、勇者コウタの一人息子・・・勇者の血を引く者だ♪・・・・」


カズヤ「ああっ!!♪」


メグミ「ではっ!!私達は!村人達を守ります!!」


コウタ「・・・・頼む・・・俺一人じゃ、できることにも限界がある・・・お前達が頼みだ・・・・」


メグミ「はいっ!!・・・・行きましょ。カズヤ・・・・」


カズヤ「ああっ!!」


 この後、カズヤとメグミは、村人を避難させ、守るため、駆け出して行った・・・・。


コウタ「頼むぞぉ~!!!!お前達ぃ~!!」


 こうして、コウタは、カズヤとメグミを見送った後、気を引き締めた・・・・。


コウタ「・・・・さてっ・・・俺も、やるべき事を、やらないと・・・な・・・・」


 この後、コウタは、村の入り口に向かって、駆け出して行った・・・・。


【シーン8】

 ここは、ワカバ村から、少し離れた場所の草原。ここに、ボスである、アウタース率いるモンスター軍団が、ワカバ村に向かっていた・・・・。


アウタース「魔王バサラ様は!!復活した!さあっ!!暴れるぞ!まずは!あの村だ!!」


モンスター軍団「おおっ!!!!」


 こうして、アウタース率いるモンスター軍団は、ワカバ村に向かっての、進軍を速めた・・・・。


モンスター軍団「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


【シーン9】

 一方、こちらは、ワカバ村内。こちらでは、暗雲に戸惑っている住民が、多数いた。その中には、ゴウダとマミの姿もあった・・・・。


ゴウダ「・・・・これは・・・一体・・・・」


マミ「・・・・何だか・・・やな空気ね・・・・」


カズヤ「お~い!!お前達!」


 こう言いながら、カズヤとメグミが、走って来る・・・・。


マミ「あっ!カズヤとメグミだ」


ゴウダ「どうしたぁ~!!?そんなに慌ててぇ~!!」


カズヤ「この暗雲は!!魔王復活の証だぁ~!モンスターが!襲って来るぞぉ~!!」


 これを聞いて、ゴウダ、マミを含む村人達に、緊張感が漂い、どよめく・・・・。


メグミ「皆さぁ~ん!!モンスターが!この村を襲いにかかりまぁ~す!私達が!護衛しますので!避難してくださぁ~い!!」


村の老人①「・・・・あの子らの言う通りじゃ・・・・」


 これを聞いて、村人達は、この村の老人の話に、耳を傾ける・・・・。


村の老人①「・・・・あの暗雲は、魔王復活の証・・・前もそうじゃった・・・モンスターが、襲って来る・・・言う通りにしたがええ・・・・」


村の老人②「・・・・そうじゃそうじゃ・・・・」


村の老人③「・・・・逃げたがええ・・・・」


村の老人④「・・・・言う通りにしよう・・・・」


ゴウダ「冗談じゃねえぞ!!俺だって戦士だ!逃げたりしねえ!!」


マミ「そうよそうよ!!私は逃げない!!!迎え撃つわよ!!」


カズヤ「何言ってんだよ!!ゴウダとマミは!護衛側だよ!」


 これを聞いて、ゴウダとマミは、ふと冷静になる・・・・。


マミ「・・・・えっ!?・・・・」


メグミ「護衛だって!!立派な役割よ!頭冷やして!」


 この後、ゴウダとマミは、意外そうな表情になる。その後、しばらくして、ゴウダは、恥ずかしそうに、咳払いをする・・・・。


ゴウダ「・・・・まあ・・・尻尾巻いて、逃げるわけじゃねえなら・・・いいけどよぉ~・・・・」


マミ「でも村はぁ~!!?捨てるのぉ~!?」


メグミ「大丈夫♪」


 これにも、ゴウダとマミは、意外そうな表情をする・・・・。


メグミ「カズヤのお父さんがいる♪」


 これを聞いて、ゴウダとマミは、お互いに顔を見合わせる・・・・。


ゴウダとマミ「・・・・ええっ!!?・・・・」


 メグミのこの発言に、ゴウダとマミは、驚きを隠せなかった・・・・。


【シーン10】

 ここは、村の入り口。ここに、モンスター軍団が攻め込み、村が襲われる。しかし、この頃には、村人はいなかった・・・・。


モンスター①「!?あれぇ~!!?人間がいないぞぉ~!!」


モンスター②「きっと、何らかの方法で、俺達のことを察知して、逃げたんだ」


モンスター③「でもっ、遠くまでは逃げれないはずだ。探そうぜぇ~♪」


モンスター④「そうだな♪探そう探そう♪」


 こんなモンスター達の様子を、コウタが、崖の上から見ていた・・・・。


コウタ「・・・・やはり、魔王バサラが、復活したか・・・カズヤ達がいて助かった・・・・」


 この後、コウタは、一息つく・・・・。


コウタ「・・・・さてとっ・・・この中にボスがいるはずだな♪・・・『サーチ』!!」


 この呪文により、コウタは、この中にいる、ボスである『アウタース』を探し出した・・・・。


コウタ「・・・・あれか・・・・」


 この後、コウタは跳び下り、アウタースの前で着地する・・・・。


モンスター①「!おっ!♪人間を発見♪♪」


モンスター③「それ見ろ!まだ遠くまで!逃げてはなかった!♪」


モンスター②「でも、一人しかいねえぞ」


コウタ「・・・・雑魚に用はない・・・消えな!・・・・」


 これを聞いて、モンスター達は、激怒する・・・・。


モンスター①「何だとぉ~」


モンスター②「人間のくせに、生意気だぞぉ~」


 この後、コウタは、剣を抜く・・・・。


モンスター②「おおっ!ヤろうってんのかぁ~?」


コウタ「・・・・じゃなきゃ、ここに現れない・・・・」


 これを聞いて、モンスター達は、更に激怒する・・・・。


モンスター④「この野郎ぉ~!!!!」


 この掛け声と共に、モンスター達は、一斉にコウタに、襲いかかる・・・・。


コウタ「灼熱の炎よ!!!!」


 この呪文により、コウタの周囲に、灼熱の炎が現れ、コウタの周囲のモンスター達を、焼き尽くした・・・・。


モンスター⑤「・・・・何と・・・こんな上級魔法を・・・・」


モンスター⑥「・・・・つっ強い・・・・」


 この様子を見て、アウタースは、豪快に高笑いする・・・・。


アウタース「これだけの家だ!!この村の者が!この男だけとは思えん!!探し出して!虐殺しろ!!!!」


モンスター⑦「・・・・えっ?しかし・・・・」


アウタース「お前達が!いくら束になっても!この男には敵わん!俺に任せろ!!」


モンスター達「はっ!!アウタース様!!!!」


 こうして、アウタース以外のモンスター達は、村に入り、残りの村の人間達を、探し始めた・・・・。


アウタース「・・・・いいのか♪?奴らを止めなくて♪・・・・」


コウタ「どうせ通さないだろ?」


 この後も、アウタースは、高笑いした・・・・。


アウタース「確かにな♪」


コウタ「それに、お前がボスモンスターだ。お前を倒せば、モンスター達も消える・・・・」


 これを聞いて、アウタースの高笑いが止まり、神妙な面持ちになる・・・・。


アウタース「・・・・そこまで知ってるとは・・・お前・・・何者だ・・・・?」


コウタ「・・・・先代勇者・・・コウタ・・・・」


 こう言いながら、コウタは、剣を構える・・・・。


アウタース「・・・・ああ・・・まさか勇者様とは・・・通りで・・・・」


 こう言いながら、アウタースも、戦闘態勢になった・・・・。こうして、コウタとアウタースは、互いの出方を伺う。しばらく、そのままでいると、コウタは、素早く間合いを詰めて、利き手である、右手の自らの剣を、振り被る・・・・。


コウタ「はあっ!!!!」


 こう叫びながら、コウタは、左から横一線に、剣を振る。アウタースの方は、それを紙一重で躱す。この後も、間髪入れずに、剣を振るが、それらの斬撃は全て、アウタースに、紙一重で躱されていた・・・・。


コウタ(・・・・やはり、全盛期程のキレがないな・・・全盛期なら、最初の一撃で終わっている・・・鍛錬は、欠かしてないんだがな・・・やはり、歳には敵わんと言うことか・・・・)


アウタース「どうしたぁ~♪?先代の勇者さんよぉ~♪そんなもんかぁ~♪?やはり人間。歳には敵わんかぁ~♪」


 こう言い終えた後、アウタースは、右ストレートを、コウタに放つ。それをコウタは、剣を盾にガードするが、そのあまりのパワーに、コウタは、吹っ飛ばされるが、滑りながらも、体勢を整え、再び剣を構える・・・・。


コウタ「・・・・今までのは、ウォーミングアップさ。ここからが、俺の本気だ・・・・」


 これを聞いて、アウタースは、不敵な笑みを、浮かべていた・・・・。


アウタース「そいつは楽しみだ♪♪」


 この後、コウタとアウタースは、互いの出方を、伺っていた・・・・。


【シーン11】

 一方、こちらは、避難する村人達の、護衛をしている、カズヤ達側。こちらでは、ワカバ村の、村人達の避難が、順調に進んでいた・・・・。


メグミ「皆さん!!・・・落ち着いて!・・・落ち着いて逃げて下さい!!」


カズヤ「どこからモンスターが!襲って来るか分かりません!!なるべく固まって!移動して下さい!!」


 こうして、カズヤ達が、村人達を避難させていると・・・・。


モンスター①「!いたぞぉ~!!あそこだぁ~!!」


モンスター②「!おっ!!ホントだぁ~!!あそこだぁ~!!」


メグミ「・・・・こんなに・・・いるの・・・・?」


カズヤ「・・・・この数じゃ、村人庇いながらは、戦えない・・・・」


 この後、カズヤは、自らの剣を抜く・・・・。


カズヤ「みんなは!村人を連れて逃げて!!俺は!モンスター達を!ここで食い止める!!」


メグミ「!!ちょっと!何言ってんの!!?」


カズヤ「俺を誰だと思っている!!?俺は!先代勇者コウタの一人息子!勇者の血を引く者だ!!」


メグミ「・・・・それはぁ~・・・・」


カズヤ「大丈夫だ!何のために!!剣の修行をしてきたと思ってんだ!!♪」


 これを聞いて、メグミは、瞳を閉じて、一息つき、再び瞳を開いた後、カズヤに微笑む・・・・。


メグミ「そうね♪あなたは、未来の勇者様だものね♪」


カズヤ「そういうこと♪♪」


モンスター③「?あいつら、何言ってんだぁ~??」


モンスター④「?よく分かんねぇけど、俺達にビビってんじゃね??」


モンスター③「そうかぁ~♪俺達にビビってんのかぁ~♪♪」


モンスター②「?そうじゃね??」


モンスター①「そうだそうだ♪」


モンスター③「・・・・じゃっ・・・いくか・・・・?」


モンスター②「だなだな♪♪」


 この後、モンスター達は、不敵な笑みを浮かべながら、少しずつ、カズヤとの間合いを、詰めていく・・・・。


メグミ「じゃっ!!任せたわよ♪カズヤ・・・いえっ♪未来の勇者様♪♪」


カズヤ「ああっ♪♪」


 この後、メグミは、ゴウダ、マミ、村人達と共に、この場から、離れて行った・・・・。


モンスター①「!あっ!!この野郎!!待て!!」


 こう言って、このモンスター①が、メグミ達を追うとすると、カズヤは、剣で、このモンスターを、真っ二つにした・・・・。


モンスター①「?・・・・な・ん・だ・と・・・・??」


 このモンスター①は、消滅した・・・・。


モンスター②「・・・・えっ!?・・・・」


モンスター③「・・・・あいつ強くね??・・・・」


モンスター④「・・・・ヤバくね??・・・・」


 この後、カズヤは、剣を構え直す・・・・。


カズヤ「お前らの相手は!この俺だ!!この先!一歩も通さねえぞ!!一匹もな!!♪」


 このカズヤの気迫に、モンスター達の方が、押されていた・・・・。


【シーン12】

 一方、こちらは、コウタ側。こちらでは、コウタは、アウタースの、怪力を生かした、両手のパンチによる攻撃に、防戦一方であった・・・・。


アウタース「どうしたどうしたぁ~!!いつウォーミングアップは!終わるんだぁ~!?それとも!ただの強がりかハッタリかぁ~!?」


コウタ「・・・・待ってな!・・・そんな減らず口!・・・言えなくしてやる!・・・・」


アウタース「それは!!こっちのセリフだぁ~!!!!」


 この後、アウタースの攻撃は、更に激しくなる・・・・。


コウタ(・・・・確かに、巨体の割に速い。パワーもある・・・だがっ!勝機はある!!・・・・)


 アウタースの攻撃を、何とか躱しながら、コウタは、こう思っていた・・・・。


【シーン13】

 一方、こちらは、カズヤ側。こちらでは、カズヤが、襲い来るモンスター達を、剣で斬りさいていき、文字通り、一匹も通さなかった・・・・。だが、一人で無理しているため、カズヤは、ゼイゼイと、息を切らしていた・・・・。


モンスター①「・・・・おい・・・あいつ・・・強いなんてレベルじゃないぜ・・・・」


モンスター②「・・・・誰一人・・・先に進んでないぜ・・・・」


モンスター③「・・・・モンスターの、俺たちが言うのも、何だけど・・・化け物・・・だな・・・・」


モンスター④「・・・・だな・・・・」


モンスター⑤「・・・・うん・・・・」


 カズヤの方は、ゼイゼイ、息を切らしながらも、剣を構えている・・・・。


カズヤ「どうしたぁ~!!?もう終わりかぁ~!!!!」


カズヤ(・・・・引いてたまるか・・・こんな時のために、剣の修行をしてきたんだ・・・俺は・・・『勇者』になるんだ!!・・・・)


 こんなカズヤの気迫に、モンスター達は、押されっ放しであった・・・・。


モンスター①「・・・・どうするよぉ~・・・・」


モンスター②「・・・・どうするって・・・お前行けよぉ~・・・・」


モンスター③「・・・・お前こそぉ~・・・・」


モンスター④「・・・・いやいや、お前こそぉ~・・・・」


モンスター⑤「・・・・いやいや、お前行けってぇ~・・・・」


 モンスター達は、すっかり、怯え切っていた・・・・。


【シーン14】

 一方、こちらは再び、コウタ側。こちらは、先程までと一緒で、アウタースの豪腕パンチに、防戦一方であった・・・・。


アウタース「先程までと!何が変わったんだ!!先代勇者コウタよ!」


 これに対して、コウタは、何も答えず、アウタースの攻撃を、ひたすら、必要最小限の動きで、躱し続けていた・・・・。


アウタース「もう!!強がりを言う元気も!無くなったか!!」


 こうして、アウタースが、攻撃を続けていると・・・・。


ザシュッ!!


アウタース「!・・・・えっ・・・・!?」


 パンチを繰り出した、アウタースの右腕が、コウタの剣で、斬り落とされていた・・・・。斬り落とされた右手は、遠くの地点で、落下する・・・・。


アウタース「ああっ!!!!俺の右腕がああああぁぁぁぁ!!!!」


 こう思った瞬間、アウタースは、ガクガクッと、崩れるように、膝を落とす・・・・。


アウタース「・・・・一体・・・何が・・・・」


コウタ「・・・・確かに、お前は強かった・・・足も攻撃も速く、パワーもあった・・・攻撃を紙一重で躱すことにも、長けていた・・・・」


アウタース「?・・・・じゃあ・・・なぜ・・・・??」


 この後、コウタは、得意気に、一息つく・・・・。


コウタ「だが、お前は、高過ぎる身体能力のあまり、攻撃のペースを、考えなかった」


アウタース「・・・・ペース・・・だと・・・・??」


 確かに、アウタースは、ゼイゼイと息を切らしている・・・・。


コウタ「・・・・お前の、その状態は、スタミナ切れ。巨体で、長期戦が苦手・・・それを、お前自身も、認識していなかった・・・・」


アウタース「・・・・な・・・に・・・・??」


コウタ「・・・・今まで、短期決戦しか、しなかったのだろう?だから、その欠点に、気付かなかった・・・・」


 これを聞いて、アウタースは、ゼイゼイと、息を切らしている状態で、とても、悔しそうにしていた・・・・。


アウタース「畜生おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 この後、コウタは、剣を構える・・・・。


コウタ「・・・・終わりだ・・・・」


 この後、コウタは、アウタースの首を、斬り落とした・・・・。


【シーン15】

 一方、こちらは、カズヤ側、こちら側では、モンスター達が、相変わらず、カズヤに襲いかかるが、全て、返り討ちにして、斬り殺し続けていた・・・・。


モンスター①「・・・・畜生・・・このままで!終わってたまるかああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 このセリフと共に、モンスター達は、全員で、カズヤに、襲いかかるが・・・・。


モンスター①「・・・・!えっ!?何だぁ~??・・・・」


 急にモンスター達が、アウタースが、倒されたことによって、消滅していく・・・・。


モンスター②「・・・・えっ!?そんな!まさか!!アウタース様が!!?・・・・」


モンスター③「アウタース様ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 こうして、ワカバ村を襲った、全てのモンスターは、完全に、消滅した・・・・。これを見て、カズヤは、張り詰めていた気が抜け、全身の力が抜けて、バッ!と、その場に、座り込んだ・・・・。


カズヤ「・・・・父ちゃんだ・・・父ちゃんが、やってくれたんだ・・・・」


 この後、カズヤは、安心したように、一息ついた・・・・。


カズヤ「・・・・さすが、先代勇者様だぜぇ~・・・・」


 こう言いながら、カズヤは、暗雲ながらも、空を見上げた・・・・。こうして、ワカバ村の平和は、守られた・・・・。


【シーン16】

 世界中の、魔王軍に、支配された様子が、次々に、映し出される・・・・。


ナレーション「ワカバ村は、救われたものの、世界中は、魔王軍に支配され、魔王バサラは、この世の全てを、手に入れたのであった。今こそ、この危機を救う、勇者が必要だ・・・・」


【シーン17】数日後・・・・。

 ここは、ワカバ村、この村から、世界を救うために、旅立とうとしている、四人の若者がいた。剣士カズヤ、賢者メグミ、戦士ゴウダ、格闘家マミである・・・・。


コウタ「・・・・やはり・・・行くのか・・・・?」


カズヤ「うん♪♪世界を救うために♪」


 この後、コウタは、納得したように、一息ついた・・・・。


コウタ「・・・・やはり・・・血は争えんな・・・・」


カズヤ「だね♪♪何せ♪俺は♪先代勇者コウタの♪一人息子だからな♪♪」


 この後も、コウタは、一息つく・・・・。


コウタ「・・・・だな♪・・・・」


 この後、カズヤら四人は、名残惜しそうに、していた・・・・。


カズヤ「・・・・世界・・・救って来る・・・・」


コウタ「・・・・ああ・・・それじゃ、この剣を、持って行け・・・・」


 こう言いながら、コウタは、一人息子であるカズヤに、一振りの剣を、差し出す・・・・。


カズヤ「!?この剣は!!?」


コウタ「・・・・この剣は、俺が、魔王バサラを、倒した時の物・・・きっと、お前の、強い味方となるはずだ・・・・」


 これを聞いて、カズヤは、感激する・・・・。


カズヤ「・・・・父ちゃん・・・・」


コウタ「・・・・まだ、誰も知らないが、お前は、この瞬間、勇者となった・・・・」


 これを聞いて、カズヤは、驚きを隠せない・・・・。


カズヤ「・・・・えっ!?・・・・」


 この後、コウタは、一息ついた・・・・。


コウタ「勇者とは、『勇気ある者』と書いて、そう読む。お前は、勇気を持って、世界を救う旅に出ようとしている。だから、この瞬間、お前は、勇者だ♪」


 これを聞いて、カズヤに喜びが溢れ、コウタから、勇者の剣を、受け取る・・・・。


カズヤ「父ちゃぁ~ん♪」


コウタ「だからな、カズヤ。お前が、挫けそうになった時は、こうして、勇気を持って、旅立ったことを思い出せ。その勇気を忘れなければ、お前は、ずっと勇者だ♪」


カズヤ「・・・・うん♪忘れない♪俺!!ずっと!忘れない!!!」


 これを聞いて、コウタは、満面の笑みを、浮かべる・・・・。


コウタ「それでこそ♪♪俺の一人息子だ♪」


カズヤ「俺も!それが!誇りだ!!」


 カズヤも、満面の笑みを浮かべる・・・・。


カズヤ「・・・・じゃっ・・・改めて・・・世界を救って来る・・・・♪♪」


コウタ「おうっ!!♪」


カズヤ「・・・・じゃっ・・・行ってきます・・・・♪」


コウタ「行ってこい♪♪」


 こうして、勇者カズヤ、賢者メグミ、戦士ゴウダ、格闘家マミの四人は、世界を救うために、旅立った・・・・。

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