【MLB】ブレーブスとの敗戦でも垣間見えた、ドジャースが血液レベルで王者たる所以
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国内のMLB報道は相変わらず大谷を中心に回っている今日この頃。
アメリカ現地では、8/31からドジャース対ブレーブスというナ・リーグチャンピオンシップシリーズの前哨戦ともいえる好カードが始まっていますが、ご存じでしょうか。
さて、このカードの初戦、ドジャースはトレードでホワイトソックスから移籍後、好投を続けていたリンが先発登板をするも大乱調。
2回にアクーニャJr.にグランドスラムを献上。これは史上初の30/60を達成した瞬間でもありました。
立て続けにライリー、5回にはハリスにも一発を打たれ、この時点で1-7。
さらに相手は強豪ブレーブスで、先発もここまで16勝、200個以上の三振を積み重ねているエースのストライダー。
もしドジャースではなく大谷が所属するチームであれば、大谷のファンたちはもう戦意喪失し、試合結果はともかく大谷が打つか打たないかだけにしか関心がなくなってしまうような試合に。
そして今日も、世界の中心でなおエを叫んでいたでしょう。
ただ、生まれながらの王者ドジャースは違いました。
ベッツの二本のホームラン、ブッシュ、マンシーのホームランで追い上げ、終盤は接戦に。
結局7-8で敗戦となったものの、この一戦はドジャースがまさしく常勝チームであることを感じた試合でした。
ああ、なぜ毎朝BS1で観ている大谷が所属する赤いチームは勝負弱いのに、同じLAを本拠地とするドジャースはこんなにも自信にあふれて試合をしているのだろうか・・・
今回はドジャースがいかにして王者・ドジャースたるのか、このブレーブスとの一戦で感じたことをまとめました。
Bチームリリーフ陣の強さ
試合序盤から中盤で点差が開いたとき、マウンドに上がるのは勝ちパターンではない、いわばBチームのリリーフ陣です。
最近、日本のプロ野球でも負け試合でかたくなに"勝ちパターン"の投手を投げさせない断固たる決意を示してくれた例もありました。
さて、この試合で6点差がついた時点で、もちろん登板したのは必ずしも勝ちパターンではない投手たちでした。
リンが5回途中7失点で降板したのち、登板した投手とその結果は以下の通り。
ベシア 1回 2/3 1失点(自責点0)
ゴンザレス 1回 無失点
ミラー 1回 無失点
グラテロル 1回 無失点
最後に登板したグラテロルは勝ちパターンの一人ですが、登板時は1点差の9回であり、十分逆転を狙える状況でした。
このように先発投手が試合を壊し点差が開いた状況でも、そのあとを受けたBチームのリリーフ陣がそれ以上の失点を許しませんでした。
「諦めたらそこで試合終了ですよ」の名言通り、野球でもたとえ10点奪われても、11点目を如何に防げるかが重要であり、試合終了まで息の根を止めさせてはいけません。ただし、それができないチームが非常に多く、一度失点するとずるずると失点を重ねるケースをよく目にします。
ただ、この試合でドジャースはMLB屈指の強豪チームであるブレーブス相手に序盤で点差がつき、勝ちパターンのリリーフを登板させにくい状況でも、次の失点を防ぎました。その結果、終盤に追い上げ勝つチャンスを作ることができました。
ドジャースは結果的に負けたとしても、確実に勝つチャンスを上げるようなプレーができるのです。
すべてベッツの仕業
ムーキー・ベッツ。
ベッツほど攻守にMake Difference、Game Changerな選手であり、チームを勝利に導くために生まれてきたような選手はいたのでしょうか。
今シーズン、4月は4HR、打率.235、OPS .781と彼にとっては不調な出だしでした。ただし、翌月からOPSは.958, 1.037, 1.011を記録するなど徐々に調子を上げていき、8月は11HR、打率.455, OPS 1.355と手が付けられない選手に。
キャリアを通しても7月、8月、9-10月のOPSはそれぞれ.902, 1.015, .869と、シーズン中盤から終盤にかけての重要な時期に、確実に調子を上げてくるのがこのベッツという選手です。
チームにはフリーマンやスミス、マンシーといったベッツをサポートできるバッターがそろっているため、今季は主にトップバッターをまかされており、先頭打者ホームランを11本、先頭打者での打率、OPSはそれぞれ.350, 1.132と試合開始早々から先制パンチを食らわせています。
そのうえ得点圏でも打率、OPSはそれぞれ.398, 1.197を記録。
ドジャースの下位打線に不意に出塁を許し、得点圏にランナーを置きながら打順がトップに戻ると見事にベッツの餌食に。
この試合の一本目のスリーランもまさしくそのシナリオでした。
ベッツで消耗した後も好打者が続くため、彼一人が相手投手に与えるプレッシャーは計り知れません。
加えて本来ライトをメインポジションとしながら、今季は経験のあったセカンドだけでなくチーム状況に応じてショートにもつき、もちろん無難にこなしています。
ベッツは一人いるだけでチームが勝つチャンスをグイっと上げることができる稀有な選手であり、今となってはドジャースのシンボルとなっています。
相手からしたらベッツさえいなければ、というところでしょうか。
ドジャーブルーのファンたちの自尊感情の高さ
この試合、6点差がついた時点でもドジャースの選手だけでなく、47,623人の観客も決して試合をあきらめていないように感じました。
特にこの試合もワンプレー毎に大きな歓声があり、序盤でも負け試合という雰囲気がなく、常に追い上げムードがありました。
ここ数年のドジャースは無双状態でした。
2017以降6シーズンで100勝以上を4回記録。60試合の短縮シーズンとなった2020年は勝率7割越えで、ワールドチャンピオンに。そして今年も序盤は歴史的な投手陣の不調などでダイヤモンドバックスの後塵を拝するも結局は立て直し8月に24勝し、8/31時点で二位ジャイアンツに13.5ゲーム差をつけて地区首位に。
ドジャーブルーの血が流れているファンはこれまでの成功体験から、どんな状況でもあきらめなければ結局ドジャースが勝つと、血液レベルで知っているのです。
時にカーショウのユニフォームを燃やすなど暴徒化することもありますが、緊張感のある試合でやはりファンの歓声は大きな武器になり、相手にプレッシャーを与えます。
ドジャースはこの自尊感情の高いファンたちが、常勝チームの基盤となっているのです。
以上が、ブレーブスの一戦で負けはしたものの、垣間見みることになったドジャースの強さの所以でした。
ブレーブスとのこのカードはまだ3試合あり、さらにポストシーズンでの対戦も予想されます。
今後ドジャースがどんな戦い方を見せるのか、注目しています。
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