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小ネタ#10「美術系予備校生、3畳一間トイレ風呂無しに住む」

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ゴールデンウィーク明けに美術系予備校生になったnabetsuma、東小金井にある女性ばかりの下宿から新宿の予備校に通っていた。その下宿の住人は半分が大学生、半分が働いている人たち、唯一のカテゴリー外があたしだった。

3畳一間、1畳の幅の流し台&ガス台付きというなんともな部屋、押し入れに至ってはうちが上半分(つまり下半分が壁)、隣が下半分(上は壁)という構造だと判明したのはお隣さんちでお茶したときだった。1階廊下の奥にあるボッちゃんトイレは共同で風呂は・・当時は風呂屋通いと決まっていた。

なぜか建物の外に出るための非常口がついた部屋だった。
その非常口、簡単な留金だけがついていただけで防犯上ちょっと怖かった。

お家賃はたしか7,500 円、なにせ仕送りが月5万円だから、家計の25%までで抑えるなら12,500円ということ。入学して引っ越した先が12,000円物件で4畳半水洗トイレがついてきた。ほぉー・・ちゃんと考えられた妥当な路線だなあ、と感心。

最初に下宿は東小金井と書いたが、中央線のちょうど武蔵境と東小金井の中間あたりに位置していたので、商店街のある武蔵境駅を利用していた。そのうち1駅でも先に乗車したほうが座れる確率があがると思い(実際は無理だった)、東小金井から新宿に通うようになった。おんぼろの中古自転車も買ったので、行きと帰りの駅を変えることはできなくなった。

そうそう、下宿の通りを挟んで真ん前にあったのが庭のある白い平屋の洋館。そこはなんというか別世界だった。屋根に煙突あったから多分暖炉もあったかと。芝生のある庭には白い垣根があって・・あはは!! 今思い出したら笑える、歌みたいじゃん!!(当時のヒット曲「あなた」ヤマハ第6回ポプコングランプリ)

不思議なことにその洋館に出入りしているのは同年代ほどの男女数名だった。ある日、家から出てきたひらひらレースのカントリーファッションをまとった女性に「このお家のかたですか?」と尋ねてみた。「そうです」。「ご兄弟姉妹で住んでいらっしゃるんですか?」「いいえ友人たちと同居です」、と返事が返ってきた。なるほど、今思えばこれは「シェアハウスの走り」なのだ。

数分立ち話をしてみて分かったのが、大家さんはアメリカ人で月に一度やってきて住人たちと一緒におしゃべりするんだとか。いいな〜と思い、もしメンバーに空きが出たら教えてください、と頼んで別れた。

その後、東小金井よりもっと西のほうに位置する美大に入学したので、そんな機会は訪れなかったし、そんな話をしたこともすっかり忘れてしまっていた(いまここで書きながら思い出したのだ。長期記憶って・・すごい)。

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