見出し画像

カップ麺のフタは何をPRしているか

今日のお昼は私の…というより、多くの人が大好きであろうカップ麺「どん兵衛」でした。定番のきつねうどんが好きですが、今日は肉うどんにしてみました。
しかし、実はそんなにお腹が空いておらず、昼からの会議に備えて早めに食べないとな…というつまらない定例的な平日の昼食だったわけです。

それが、フタを開けようとしたとき、大変なことに気付いてしまったんです。

画像1


じゅわり 肉汁の旨み

右下に書いてある、「じゅわり」というオノマトペが、「美味しそう」という気持ちを心の底から舌まで引きあげてくれたんですわ…。

文字と写真を囲むキンキラキンの感じもリッチで良いですね。

大好きな「どん兵衛」シリーズの表記をよく見よう

そういえば、どん兵衛シリーズのなかでも1番好きな「きつねうどん」にも、こんな表記があることを思い出しました。

画像2

ふ っ く ら 。

「きつね」の真ん中を縦断するように書かれた「ふ っ く ら 。」

どことなく「はんなり」さのある上品な書体。
文字間のしっかりしたゆとり、
湯気をイメージさせる白い影。
そして最後に、モーニング娘。やEXITりんたろー。もびっくりの完璧な「。」
この「。」で締めることで、文字間のゆとりがだらしなく見えません。

ちなみに、「ふ っ く ら 。」はうどんにかかる表現なのでは?とも思いましたが、どん兵衛のきつねそばにも「ふ っ く ら 。」表記があり、ほかのうどんには「ふ っ く ら 。」表記がないため、この「ふ っ く ら 。」はうどんやそばではなくきつねを表現するものと断定して良いでしょう。

もはやこの無敵の「ふ っ く ら 。」をつければどんな写真も美味しく見えるのでは???!!!

ふっくら

と思って、オーブンを買ってすぐに焼きすぎたパンの写真に「ふ っ く ら 。」に似せた文字を作ってかぶせてみましたが、さすがに石炭の寸前みたいなパンは美味しそうに見えませんでした。検証には早々に失敗しましたが、文字の影の付け方を学べてレベルアップしちゃいましたね。

パッケージの文字情報を取り出そう

「〜〜県産」とか、「新鮮な素材」とか、世の中にはいろんな情報で「おいしそう」を喚起してきます。

しかし、2つのどん兵衛でアピールされたの

「じゅわり 肉汁の旨み」
「ふっくら」

だけです。

最初に例にあげた日清のどん兵衛 肉うどんに書かれている文字情報をすべて取り出してみましょう。

・「日清のどん兵衛 肉うどん」…商品名
・NISSIN(日清)…メーカー名
・熱湯5分、お湯の目安量 390ml…調理に必要な情報
・紙マーク…容器包装リサイクル法に基づく表記
じゅわり 肉汁の旨み

上の4つは「必要最低限の情報」です。やはり、このパッケージにおけるPRポイントは「じゅわり 肉汁の旨み」のただ一点です。

「日清のどん兵衛 きつねうどん」においても、PRポイントは「ふ っ く  ら 。」のみです。
「肉汁の」のような説明すらなく、きつねうどんの写真のうえに文字を置き、ふっくらという副詞を丁寧にデザインで表現することで「美味しさの喚起」をしているのです。

どん兵衛パッケージ分析

*公式ページの画像を見ると「ココカラハガス(ここから剥がす)」という文字と、西日本を表す(W)があることに気付きました。


自粛生活でカップ麺を食べる頻度が増えることを見込んで、少しずつカップ麺を買っていたので、順番に「商品名」「メーカー名」「最低限の情報」以外の「PR」のための言葉を見ていきたいと思います。

他のカップ麺のPR文も見ていきます


まずは、引き続きどん兵衛シリーズ。

【日清のどん兵衛 だし醤油きつね焼うどん】

どん兵衛についに焼うどんが…!あの「ふっくら」のきつねがついに焼うどんに…!という勢いだけで買いましたが、どんなことが書いてあるんでしょうか。

画像5

七味仕立てマヨ付き ※イメージです

七味が苦手な私からしたら「マジでどうでもいい」情報でした。ダイオウグソクムシが久々に排便したニュースを見たときくらいどうでもいい。どうでもいいですよ♪

それでも私が買ったのは「どん兵衛」の「きつね」が入った「焼うどん」だからです。これは「どん兵衛」のブランド力があるからこそ、うどんもきつねも説明せずに、「七味仕立てマヨ」のアピールに全力を注げるのでしょう。


【日清 麺職人 鶏ガラ醤油味】

次に、カップラーメン日清「麺職人」シリーズ鶏ガラ醤油味です。

画像6

ごちそうノンフライ麺 うれしい全粒粉入り

先ほどのどん兵衛は「きつね」や「肉」、「七味マヨ」のアピールで、麺には言及していませんでした。

しかし、「麺職人」というブランド名からもわかるように、ここでアピールしたいのは「麺」のほうです。

「ごちそうノンフライ麺」
ノンフライ麺は油で揚げていないためカロリーが低いそうです。

よく見ると、麺職人にはどん兵衛にはなかったカロリーの表記が入っていますね。295kcalだそうです。

カロリーを抑えられるノンフライ麺ですが、フライ麺のほうがコクがあるという話もあるようなので(この記事を参考にしました)、ノンフライ麺=あんまりおいしくない というイメージがある人のために、このノンフライ麺は「ごちそう」で、でもちゃんとカロリーは低いんだぞ!!というアピールなのでしょう。

それより気になるのは、
「うれしい全粒粉入り」

全粒粉が入っていると「うれしい」のでしょうか?

おっ、全粒粉入ってるやん!!よっしゃー!!」みたいな人がいるんでしょうか?

これも調べてみるとあることがわかりました。

小麦粉は、小麦の表皮と胚芽を除いた胚乳部分を粉にしたものです。全粒粉は先ほど書いた通り小麦のすべてをまるごと粉にしているので、そこが決定的な違いなんですね。
100gあたりのカロリーを比較すると、全粒粉は約340kcal、薄力粉は約368kcal。全粒粉のほうが、すこしだけ低いことが分かります。
(出典:よく目にする「全粒粉」とは?基礎知識を押さえよう

全粒粉が入ると、カロリーが下がるんですね。

カロリーが下がると嬉しい!!

つまり、ノンフライ麺と全粒粉入りの2つの工夫で「295kcal」を実現しているということですね!!

*ちなみに麺職人シリーズはフタの背景が和柄でかわいいですよ。


【日清 チキンラーメン

画像7

いや、ウチ日清以外のカップ麺買ってないんか?!

自分の食卓がここまで日清に支配されてるとは気付きませんでした。

国産チキン100%スープ
元祖鶏ガラチキンラーメン
ふんわりなめらか とろふわかきたま入り
すぐおいしい、すごくおいしい。


なんか急にすごいの来ちゃった…

さらに、ベルマークもついているし、英語・中国語・韓国語の外国語表示に対応するQRコードもついています。

ここで今日はじめて「国産チキン100%スープ」という、「スープ」の産地に言及した表記が見つかりました。

元祖鶏ガラチキンラーメン」で「元祖」と書いて歴史を感じさせています。

そして特筆すべきは

ふんわりなめらか とろふわかきたま入り

・ふんわり
・なめらか
・とろ
・ふわ
の「かきたま」。

「かきたま」の素晴らしさを表現するために、これでもか!というくらい言葉を重ねているのがわかります。

そして最後に「すぐおいしい、すごくおいしい。」この文字を見るだけで脳内で音楽が流れちゃいますね。関西人は「関西電気保安協会」でメロディーが流れますが、「すぐおいしい、すごくおいしい。」は全国区の脳内再生余裕文字なのではないでしょうか。

どん兵衛がPRのための言葉を「ふ っ く ら 。」だけで済ませていたのは、どん兵衛のブランド力のなせる「引き算」の技だと思っていましたが、チキンラーメンは情報の「足し算」。

しかも、チキンラーメンが「元祖」であることや「すぐおいしい、すごくおいしい。」ことは周知の事実とも言えるはずです。
名探偵コナンがあれだけ長年人気を誇っているにもかかわらず、ちゃんとオープニングで「体が縮んでしまっていた!!」のくだりをちゃんとやるように、チキンラーメンも全てを説明してくれているのでしょう。


日清以外もちょっと見てみたい


現状、買いだめていたのはこれだけでした。日清しかなかった。

このご時世、調査のためにスーパーをうろうろするのも、無駄に買いだめるのも気が引けるので、インターネットを使って、どん兵衛のライバル的立ち位置の「赤いきつね」は調べておきたいですね。

【東洋水産 マルちゃん 赤いきつねうどん】

赤いきつね

公式ページから画像を引用しています) 

情報少ないな!!!

製品名、メーカー名、ブランド名(マルちゃん)、熱湯5分、紙マーク以外は「七味とうがらし付」だけ。どうでもいいですよ♪

やっぱりブランド力があればPRは最低限で良いのかもしれませんね。ということは、もう1個だけ調べたいのが出てきてしまいました…


それは、トップバリュの「きつねうどん」。

これ実はけっこう美味しいんですよ。

いわゆるプライベートブランドのため、どん兵衛やマルちゃんのブランド力がない分、きっとたくさんの文字でPRしているはずです。

トップバリュきつねうどん

公式商品ページ

めっちゃ文字多いな!!!

とはいえ、よく見るとPR的な文字は以下だけでした。

昆布の効いた関西風
かつおだしをベース利尻昆布いりこうまみを合わせた関西風のつゆです。ふっくら太麺にしあげました。

ここまで開けてくださいが2箇所あったり、ほかの商品では側面に書かれていたカロリーやアレルギー表記などもフタに書かれているため、一見情報が多く見えていたようです。

PRはつゆの説明がメインですね。「ふっくら太麺」という風に麺のアピールもあります。

どん兵衛のきつねうどんでは「ふ っ く ら 。」はきつねを表現する手段でしたが、トップバリュでは太麺を表す表現として使われていました。

来世でグルメレポーターになったらうどんに「ふっくら」一本で乗り切ろうと思います。


まとめ

有名なブランド商品はPR文が少なくなりがちでしたが、チキンラーメンではゴリゴリに情報を載せていたり、全粒粉はカロリーが低くて嬉しいことがわかったり、「ふっくら」がきつねにも麺にも使えることがわかりました。

今回取り上げたカップ麺以外も、ちゃんとフタの部分を見て楽しみたいですね。

おまけ

どん兵衛の東西食べ比べなんてやってたんですね。東日本のどん兵衛も一度食べてみたいです。


サポートいただいた分はTANKANESSの運営費など、全て短歌のために使用します。サポートいただけると本当に助かります。