京都市長選挙に関する選挙調査と結果の関係ーあるいは冷静と情熱の間の話

 現在の2020年の京都市長選挙の「情勢」を考えるのに、近年で最も接戦だった2008年の京都市長選挙の期間中に、各報道機関が「情勢」をどのように報じていたかを知るのは有益だろう。見つかった読売と京都新聞の報道について、適宜、割愛しつつ末尾に引用した。

 一見して分かるように、各社が統計手法を駆使した調査の結果、門川大作候補(現市長)が「優勢」「優位」という「情勢」だった。しかし、当時、中村和雄弁護士の政策に共感して選挙戦に突入していた若者たち(筆者もその一人であった)は、街の雰囲気を感じ取っていたし、確かな手ごたえを感じていた。そして、選挙の結果は、ご承知のように、951票というまれに見る僅差であった。投票結果においては、門川候補の「優位」なるものは存在せず、実際の選挙戦は「横一線」だったのである。

 筆者は、読売と京都新聞がホラをふいたとは思わないし、上記の情勢調査は、統計手法に基づく冷静な分析であったのだろう。しかし選挙は、所詮は人の業であり、最後に結果を分けるのは、候補者や陣営の情熱であったり、それによって作り出される主観的な人の動きだったりする。一番重要なのは、最後の瞬間まで情熱を語り続け、人々を動かし続け、選挙の当日までに「横一線」を超える事態にすることなのだろう、と思う。

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(京都新聞2008.02.10)京都市長選 中盤情勢 本社世論調査 

門川 大作候補

すべての年代で優勢

 門川候補は、左京区を除く十の行政区で他候補よりも多く支持を集めている。

 支持政党別では、公明支持層の約六割に浸透しているが、自民支持層では五割弱、府連推薦となった民主の支持層も約三割にとどまり、他候補へ流れている。無党派層からの支持は約二割で、他候補と競り合う。

 また、すべての年代で他候補より優勢で、幅広く支持されている。・・・

中村 和雄候補

共産支持層を固める

 中村候補は、大票田の伏見区でトップを走る門川候補に迫り、下京、山科区でも追い上げているが、南区や西京区などで伸びを欠く。共産党の「牙城(がじょう)」とされてきた左京区では村山候補にリードを許している。

 支持政党別では、共産支持層の七割以上を固め、民主と社民支持層へも二割程度の食い込みをみせている。無党派層でも門川候補に続く。・・・

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(読売新聞2008.02.11)京都市長選情勢 門川氏優位、中村氏追う 有権者4割が態度未定  

 読売新聞社は17日投開票の京都市長選について、世論調査と取材を基に情勢を分析した。無所属4新人による選挙戦は、前市教育長の門川大作氏(自民・公明両党推薦、民主・社民両党府連推薦)が優位に立ち、弁護士の中村和雄氏(共産推薦)が追う展開になり、前市議の村山祥栄氏が続いている。有権者の4割が態度を決めておらず、情勢には流動的な面もある。



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