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28歳、「マンガが好きだ」と言いたくなった:JUNPEIさん

JUNPEI(@junpei1588)さんに、コンテンツとの関わりについて、インタビューしました。 

好きで続けたことが形になった、2021年1月

ーーJUNPEIさんは、マンガに特化した読書会を主宰されているんですね。どういった取り組みでしょうか?

「東京まんがたりお茶会」と言って、月に2回程度、オンラインで「『ジョジョ』(『ジョジョの奇妙な冒険』)特集」「好きなラブコメ漫画」などテーマを決めて少人数で集まり話す会です。

特に『進撃の巨人』『るろうに剣心』など1つの作品を掘り下げる会は、熱量の高い方に参加いただいていてとても盛り上がりますよ。

(会のバナーは毎回、JUNPEIさんが自身で作成している)

会を始めたのは2019年秋からで、まもなく1年半になろうというところです。コロナ以前は秋葉原のカフェで開催していましたが、今はもっぱらオンラインですね。TwitterWebサイトで告知しています。

ーー会を始めたきっかけはなんでしょうか?

新卒のときに社内研修をきっかけに参加するようになった読書会を、自分でも主宰したくなったためですね。

ジャンルはもともと音楽や映画を含むサブカルチャー全般でしたが、しだいにマンガ特化になっていきました。なぜビジネス書などではなくサブカルチャーだったかというと、読書会を開きたいという思いとは別に、創作活動を行なっている人同士がつながる場になればいいと思っていたためです。

自分も音楽をもともとやってて、この回を一緒に主催している相方もボカロPとして音楽を作っている。せっかく読書会をやるのであれば、何かしらクリエイターを応援できるものにしたいと考えました。

ーー会を通して、何か良い出会いは生まれましたか?

もちろん、参加していただいた皆さんとの出会いはどれも素敵なものでした。ひとつ、最近インパクトの大きかったことでは、先月(2020年1月)、テレビ番組から取材協力の打診を受けたことですね。3月から始まる関西の番組なのですが、あるお題に沿ったマンガを探すロケに、「まんがたり」のLINEグループでメンバーを募って参加しました。

「ただ自分が好きで続けてきたこと」が形になった気がして、思いがけないことでした。

小さなころから変わらない、マンガへの愛

ーーTwitterを見ましたが、JUNPEIさん個人の活動として、動画の制作も行われているんですね。

動画は、仕事をしながら専門の学校に通って勉強中です。クリエイターの力になりたい、発信する力になりたいと考えて、勉強を始めました。ゆくゆくはコミックの宣伝動画制作など、マンガの魅力を世に伝えるような動画を作っていきたいです。

コミック宣伝動画の一例(制作は集英社の「ジャンプチャンネル」)

ーー普段のお仕事もクリエイティブに携わる仕事なんですか?

いえ、今は28歳で社会人6年目ですが、ずっと営業をしています。

ーーなるほど。少し前にさかのぼって、進路選択のお話を聞いてもよろしいでしょうか?

あまり面白い話にはならないと思いますよ(笑)。

もともと僕は出版社に入りたくて、大学はメディア系の学部に入りました。大学ではかなり本格的なスポーツ新聞サークルに所属していて、取材や記事執筆などに明け暮れる日々でした。

ただ、出版社の新卒採用ってかなり狭き門なんですよ。大手は筆記試験もあって、全精力を傾けることが求められる。それで大手出版社に全力で挑んだ結果、不合格。大学4年の秋口には、どうすべきかと空っぽになってしまいました。仕方がないので、福利厚生が良さそうなSIer(システムインテグレーター)の営業職をなんとなく受けて入った、という流れです。

その後転職を経て今は3社目ですが、クリエイティブに携わる仕事を将来やりたいことを伝えた上で、契約社員として入社しています。

ーーなぜ就活のときは出版社を希望していたんですか?

マンガやアニメが小さいときからとても好きで、何か作ることも好きだったからですかね。小さいころはしばらく祖父母の家で暮らしていたんですが、一緒に住んでいた叔父が『サンデー』(『週刊少年サンデー』)や『MAJOR』の単行本を集めていて、ケーブルテレビでは『六三四の剣』『キテレツ大百科』など少し前の年代のアニメが流れていました。

中高に入っても比較的ゆるい部活に所属していたので、マンガやアニメを見る時間もそれなりにありました。藤田和日郎先生や高橋留美子先生、『HUNTER×HUNTER』『BLACK LAGOON』は自分を形成してきたマンガだと思ってます。

ーーずっとマンガを愛してこられたんですね。

今、マンガ読書会を開いている理由は、クリエイターがつながる場にしてほしいことに加えて、やっぱり、大人になってもマンガについて話したいからですね(笑)。

大人になってガッツリマンガを語ることってないじゃないですか。でも、大人ほどマンガを読んだ方が良いと思っています。ビジネス書みたいにノウハウがはっきりと示されているわけではないですが、仕事にも生かせることがたくさんありますし。

たとえば『左利きのエレン』は、才能がない人が自分の居場所をどう見つけていくかというお話ですし、『キングダム』はすでにビジネス紙でもよく取り上げられていますよね。そうした、大人になって気づいた魅力も咀嚼して発信していきたいです。

「好きなものを好きだと言う」こと

ーーマンガ会、もともとはサブカル全般を語る会を開いたのは2019年秋ということでした。そこから、会を定期的に開催して、今では動画の勉強まで始めている。その原動力はなんですか?

そうですね……反動もあるんじゃないかと思います。

ーー「反動」とは?

学生のときにマンガが大好きだったけど、その気持ちを何の形にもできていなかった自分への、反動。めんどくさくて楽なほうの流れに乗っていた。最初の会社を選んだ理由も、妥協みたいなもので。もちろん、その会社で学んだことはたくさんあって無駄なことはありませんでしたが、もっと自分の好きなことに貪欲になっても良かったのかなと。

今、YOASOBIの『群青』という曲の歌詞がすごく刺さるんですよ。

自分のように、大人になって好きなものに向き合う人が1人でも増えるといいなと思っています。

考えるべきはリスクじゃない。自分で満足できるか

ーー最初に務めていた会社、あるいは次の会社で正社員として働き続ける生き方もあったと思います。そうではない道を選ぶのに、躊躇はしませんでしたか?

ひとつ前、2社目の職場では、とても色々な経歴の人と働いていたんですよ。飲食店の元店長や、会社経営をしているけれど上場企業をのぞきたくて派遣社員で入ってきている人、など。マンガ会の相方と出会ったのも、その職場です。それから、僕の友達には、フリーターで、全然お金にはならないフリーゲームばかり作っている人もいます。

そんな環境にいるうちに、「人と比べず自分で満足できれば良い。生き方は1つじゃない」と落ち着いて自分を見られるようになりました。

僕は自分のやりたいことのために動画制作を頑張りたいと思ったので、より自由が利く働き方を選んだというわけです。

これは、リスクではなく価値観の話なんだと思います。福利厚生が整っている上場企業にいるのを喜びと感じても良い。でも僕は今、好きなことを母体として生きていたい。

<了>

取材協力:JUNPEI(@junpei1588)さん

取材をさせていただける方は、気軽にDMくださいませ→@gohangaoishi4



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