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夜散歩

うちの玄関は建てつけが悪い。大げさな音をガタガタ立てないと、扉の開閉もできない。

一人出かけるとき、この音のせいでだいたいは家族に気づかれてしまう。私にも、何も言わずに出ていきたい夜だってある。でも扉の方が主張しやがる。
「出ていきますよ」って。

機嫌のわるさをうちに残したまま、通りを抜け、赤い橋を渡る。そこに差し掛かる辺りから、風が身体を抜けていく。それが私には、とても気持ちいい。どれだけくよくよしてても、風が嫌な気持ちをさらってってくれるから。

さらってかれた気持ちは、空気に溶けて、きっと何でもないとりとめのないなものに変わるやろう。橋を渡ったあとも、身体に残った感情について考えてた。


自分はどうして男性のことをこんなに嫌悪してしまうんやろう。大好きな相手のことも、男だと意識しすぎると、愛情の蛇口がしまってしまう。自分の中に淀みがある。

いっそのこと、女性とだけ恋愛できてたらシンプルやったのかもしれない。男性には興味がないというスタンスなら、これまでこんなに人と衝突することもなかったんかも。淀みももっと少なかったのかも。

でも、葛藤しながら生きてるこの現状が、そしてこれまでの経験が、私の人生という気もする。
それなら仕方がない。

絵を描こう。
また、日記を書こう。

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