びわ湖
七月末、滋賀県長浜市に再訪した。
滋賀生まれのはずやのに…
信州の気候に慣れてしまって
長浜の暑さに全然ついていけない。
昼間に歩いてると、「フライパンで蒸し焼きの刑」に処されてるのかと思った。
それでも“うみ”は見たくって、
滞在中何度か暑さが落ち着く日没ごろに
びわ湖まで足を運んだ。
長浜は太陽がびわ湖に沈む。
私の地元は長浜の対岸にあるので、
太陽の動きが逆やった。新鮮や。
びわ湖に写る夕焼けの色と、
押し寄せる波をひたすら眺めていた。
ゆらゆら、つぶつぶ、ざらざら、ザーン
くりかえしながらも二度と同じ表情を見せることはない波の動きに、心を奪われる。
最近私の中でぐるぐると渦巻いてた煩悩が、
波に吸い寄せられて、
持っていかれるようやった。
すっかり瞑想状態になった頭で、
そうか、と思った。
私とあの人は、似てるんや。
全然違うタイプやと思ってたけど、
互いに波のように心が揺れてる。
おんなじなんや。
そう思うとほっとして、同時に脱力した。
なんかもう、全てを捨ててここに移ってもいいような気がしてくる。
そしたら、服がカワイイとか、ごはんがおいしいとか、誰が好きとか、
そういうことが全部平坦になってく気がする。
それって死に近づくことと変わりないと思うんやけど、どうなんかな。
悟りるきさん。
違うんかな。
生きる糧にします