「ポンコツ」という自覚が強みになるという話
利口と、小利口。
いろんな人を観察するのが趣味という悪趣味をずっと小さな頃から続けているが、利口と小利口には明確な差があることに気がついた。
小利口:知ってるというだけで「理解した気(分かったつもり)」になっている。頭が良い、自分は出来る人間という自覚がある。
利口:自分はいつでも知らないという大前提で、分かっていることも「伝える人が違えば、新しい知識」だと思って聞いている。
小利口:抜け目がなく、人の懐に入るのが上手い。(ごますり上手)
目先の利益獲得に鼻が利く。ある意味、よく気がつく人でもある。
利口:先々のことまで見越して、関わり方や物事の進め方を考える。目先の利益に気づいても飛びつかないし、ごますりしなくても人から慕われる。
私はどっちに該当するのかな?と思って考えて見たものの、辿り着いた結果は…
『あ、私、ポンコツだ』
という自覚。
小利口にも利口にもなれない、はみ出した自覚
自分が頭が良いと思っていると、よく鼻っ柱をへし折られる。
誰かが鼻っ柱をへし折らなくても、勝手にへし折られるのだ。
自分に説明できないことが出てくれば「ああ、なんて無知なんだろう…」と凹んでしまうし、自分の知識をアウトプットした時に現場で通用しなかった時は「全然、分かってなかったじゃん…」と分かったつもりでいたことが酷く恥ずかしくなってしまう。それを他者に突っ込まれた日には自殺してしまいたいくらいに凹む。(そうは見えないらしく「全く堪えてないな」と勘違いをよくされるが…)
では、利口かというと、決して利口というわけでもない。
素直だとは思うし、嘘をついたところでバレてしまうくらいの人間だから、そんなに計算高く立ち振る舞うこともできない…と過去経験から言える。
素直と単なる情弱なバカは紙一重で、よく騙されるし、目の前で嘘をつかれても「へぇ〜!」と大きく頷いてしまうため「嘘だよ、冗談!本気にしないでよ!」なんてことは恥ずかしながら未だ良くあるのである。
先のことを見通して、というのも「勘頼り」という意味では当たることもよくあるが、社会全体を見渡して、俯瞰力を発揮するような見え方は一切持っていない。
この人に関わったらヤバいな、という鼻もあまり利かないというか「性善説型の人間」と言われるくらいなので基本的に悪い人はいないと思っている。ゆえに、被害を被ってから「あ、この人と関わるのはヤバかったのか」と周りから貰っていたアドバイスを後日思い出すこともある。
ゆえに、「ポンコツ」という表現が自分に一番しっくりくるのである。
ポンコツだから、毎日学ぶことしかできない
ただ、「ポンコツという自覚」は自分を助けることが多かった。決して自分を否定する言葉でなく、むしろ、自分を受け容れることをスムーズにしてくれた言葉だった。
ポンコツな私からすると、小利口も利口も「優れた人たち」に見えている。
私は気が利かないし、人の気持ちを先回りすることが苦手。長期的に物事を考えようとすると眠たくなってくるし、人と話をするより、猫と話をしている方が気持ちが通じ合っている気すらする。
人の懐に「スゥ〜」っと入っていける人が羨ましいし、瞬間的に相手のご機嫌を取れるなんて「こいつ、天才なんじゃないか!?」と思って見ている。決して同じ真似はできない。
「その服、素敵ですね!よくお似合いです!」と思ってなくても言える人が小利口なのだろうけど、似合ってないものに対しては苦笑いの顔しかできない私は小利口を極めようとしたら鬱にでもなりそうだと思ってしまう。(服は素敵だけど、あなたには似合っていませんねと素直に言ってしまいそうで怖いし、その会話を眺めていると白けた顔になっている自分がいるだろうことも容易に想像できる)
小利口さのカケラもないので、子供の時から損することが多かった気もする。(女の子同士の付き合いって、小利口さも必要だよね。だから男の子と一緒に野球やってる時の方が楽しかった)
何をもって『ポンコツ』なのか?
ここまで読んできた人は「じゃ、私はどっちなんだろう?小利口?利口?はたまた…ポンコツ!?」と気になってきたのではないだろうか?
ここで簡単ではあるが、私なりの『ポンコツ』をまとめてみた。
<ポンコツの性格>
意外と自尊心は高い。プライドが高いので他者のアドバイスをすぐに聞き入れてない=理解できていない可能性も。自分が持っている知識なら対応できるだろう、と考えたりもする。しかしながら、通用しないときはとことん凹む。自己承認欲求も強いので、持っている知識で力を知らしめたいが(この辺りが幼稚)、それが叶わなかった時は穴があったらいつでも入って二度と出てきたくないと感じる。(結構繊細なの。)
外から見ると一見素直そうだけど、持っている知識に自信があったりするので「え?もしかして頑固?」と思われたり、自信がありそうだから挑戦させてみると、失敗した途端に翼の折れたエンジェルになってしまうので扱いが面倒くさいと思われているかもしれない。(被害妄想が強いので失敗した時には死んでお詫びをしたくなるくらいになる)
また、思い込みが強く、自分なりの解釈に陥ってしまいがちなので「どうしたらそういう意味にとってしまうのかな、君は…」と周りから理解しがたい一面も。
<ポンコツの人づきあい>
基本的に、あまり人に興味を示さない。自分にとって気になるもの、人、ことには敏感に反応する。人と一緒にいても違うことを考えていたり、一緒に行動していても一人でフラッと集団を離れてしまうことも。
人の変化に気がつかないので「Aさん、髪を切ってたね」と他者から初めて聞いて、SNS等で後でチェックすることがよくある。また、目の前で「変化」に関する話題になっていても興味がない人に対しては気がつかない。
そもそも、興味の対象ではない人はいつでも視界から外れている。(猫の変化についてはよく気がつくのだが…)
ゆえに、「空気が読めない人」と言われるのだが「単に、気がつかないだけの人」であり、「興味がないものには一切目もくれず、興味があることにはまっしぐら」というまさに「猫まっしぐらを人間で体現したような人」である。
でも、「あなた空気読めないわね」という人に対しては「それを人前で平気で発言できるお前が一番空気を読めていない、マナーがなっていない人間だな」と、結構まともなことを心の中で呟いていたりもする。
また、興味がない人のご機嫌を取るスキルも必要がないと思っているので、褒めるスキルはあまり発達していない。(その代わり、本質を突くスキルだけは天下一品かもしれない)また、興味のない人とは「かなり無理をして話をする」ので、時折「日本語自体がおかしかったよ」と言われることもある。ポンコツにとって、興味のない人との会話は「話せない外国語で話すよりも難しい」のである。
<ポンコツの脳の特性>
自分にとって大事なことすら「思い込み」により「勘違い」を引き起こすので、
・日時(約束の日、午前午後を間違える、締切を間違える)
・場所(いつもの場所、があると場所変更があってもいつもの場所に向かってしまう)
こんなことは日常茶飯事。
また、人間関係や仕事に関わるものだと、
・自分や他者の発言を忘れている
・頼まれたことを忘れている
・興味がない勉強、仕事は一切覚えられない(覚える気がない)
周りからすると「気をつけなきゃいけない人リスト」に入れてしまいたくなるタイプ。
私の場合は仕事関係においては可能であれば周りに「リマインド」の協力をお願いしている。自分でも恐ろしいくらいに「忘れる機能だけは超一流」だと自覚しているので、周りの人には「リマインドの超一流」になってもらえたらな…とこっそり思っているが、口に出すと怒られそうなので言ったことはない。
<方向音痴すぎる>
以前、駅を降りたら5分で着くセミナー会場に30分かかったことがある。
とはいえ、こんなことも日常茶飯事。Google MAPを見ながら、平然と迷うのだ。別に「ちぃ散歩」のマネをしたいわけでも何でもない。「途中下車の旅」を楽しんでいるわけでもない。何度もGoogleMAPに「到着しました、お疲れ様でした」と言われるのに辿り着かないこともある。
ホテルから3分の居酒屋に20分かかったとか、建物の中を移動するのに右左がわからなくなるとか、入口がわからなくなるとか、こういうこともザラにある。
外出時は夜になるとさらにこの方向音痴はレベルアップしてしまう。(ゆえに出張時は日中に場所を確認しておくことをよくしてる)
GoogleMAPは私に対して殺意を抱いているのではないか!?とすら思う時がある。
<ポンコツの仕事スタイル>
興味がない仕事についてしまうと地獄だ。興味がないので覚える気がない。すなわち社内で「役に立たない人レッテル」を貼られがち。興味があり、なおかつ得意なものだとプライドが顔を出して、ちょっと嫌なやつになることも。どっちにしても会社にとっては扱いにくいタイプになる。
※読んでいて思い当たる節がある人は、『社会不適合」ではなく『会社不適合』なだけで、凹まなくて良いと思う。
また、「手際が悪い」「準備が下手」「効率を考えろ」「無駄が多い」と言われることもある。優先順位を決めるのが下手だという傾向もある。わざわざ遠回りになる方法で物事を進めていることもある。
<ポンコツの学習スタイル>
ポンコツはそもそもが人とズレていることに気がついていない人が多いため、「何か質問は?」と言われても「何をどう質問していいのかすらわからない」と思うことがよくある。
ボケーっとしていたり、考えが散らかっていたり、人の話を理解するのに人一倍時間がかかったりするからだ。ましてや「体験していないことは他者から聞いたところで想像すらままならない」ので「人の気持ちを考えろ」と言われても、これまた苦手。
仕事スタイルでも説明したように、知識を持っている割には要領や効率が悪いため(この物事にはこの方法が良いな、というチョイスの経験値が少ない)、時間管理がとてつもなく下手なことに悩んでいる人も多いはず。
<ポンコツの財布事情>
興味があると飛びつくことがよくあるため、あれば一気に使ってしまうことも。また、若干借金をしたとしても「回収すれば良いし」という感覚で高額商品を分割で買うこともよくある。
もう一つのパターンとしては「つい、ガチャ、揃えちゃう」ではないが、小さなチマチマしたものを欲求のままに買ってしまい「これ、本当に欲しかったっけ」とあとで反省することがある。
自分の思考が散らかっており優先順位を決めるのが苦手、いつも頭の中だけ忙しいので「欲しいかどうか、少し考えてみよう」という習慣を身につけないと「あれ?結構財布にあったはずなのに?」と辛い月末を迎えることになる。
決して金遣いが荒いわけではない。が、周りから見たら「無駄遣い」と言われても仕方ないことをやっているのは確かかもしれない。
<ポンコツは無頓着>
ポンコツは興味があったものに飛びつく習性はあるが、「気に入ったらずっとそれだけあれば良い」ので「もうそろそろ買い換えたら?」という提案にも「壊れるまで使う」など変なこだわりを持っている。
こだわりは人によると思うが、
「靴は破れたり、ソールが剥がれたら買い換えるよ」とか「電化製品は動かなくなったその日に買うからいい」などいろんな人がいる。例えば、破れた後に履き替える靴の控え、壊れた後に冷蔵庫の中をどうするかまでは考えてなかったりもする。(長期的展望で物事を考える力はそんなにない)
<ポンコツだがダメ人間だとは思っていない>
ポンコツの私が今日まで生きてこれたのは一言で伝えるならば
「ポンコツだが、ダメ人間だとは思っていない」
ということだ。
社会不適合人間ではなく、会社不適合人間だという自覚は持っている。
ポンコツのいいところがあるとしたら、過去にずっと生きてもいなければ、遠い未来に思いを馳せても生きてもいないということ。
今、ここ。
今を中心に物事を見るので、失敗も多い。もっと考えて行動すれば良かったなと思うことは多々あれど、それでも行動が止まらないという点はポンコツの良さだと思っている。
自己肯定感が低いわけではないし、自分も必ず一つくらい誰かの役に立つことができるはずだ!という前向きさも持っている。
だから、自分をポンコツだな、と思ったことがある人は凹まなくていい。
たった一つでいいから『自分がやること=他人が喜んだ』という事例さえ作ってしまえば、ピカピカのポンコツになることができるからね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?