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「いじめるヤバイ奴」というヤバい漫画の話をする

 マガポケの金曜日の連載作品なのですが、なぜか水曜日の今日マガポケを開いたらピックアップされてて「更新曜日変わったのかな?」って思ってたら曜日変更じゃなくて、1週間限定で全話無料公開する〜っていうキャンペーンの告知でした。なので、せっかくだからこれを機にこの漫画の話をしたいと思います。

おおおお

 この漫画の主題はタイトル通りいじめです。しかしながら、他のいじめ漫画とは明確に一線を画しています。まず重要なのが主人公・仲島(画像右)の立場。彼はいじめられる側ではなくて、いじめる側の人間です。それなので「どうやっていじめを抜け出すか?」とか「どうやっていじめっ子に復讐をするか?」という話になりやすいいじめ漫画の中で「どうやっていじめるか?」という珍しい軸でストーリーが展開します。ここまでならいじめを行うだけの誰得胸糞漫画なのですが、ここで重要なのが本作のいじめの対象である白咲(画像左)の特異性です。白咲は一見儚げな少女ですが、実は作中1番の残虐性と凶悪さ、そして戦闘力を兼ね備えた人物です。理由は不明ですが仲島を脅迫して自分をいじめさせており、仲島はいじめで手を抜くと白咲から歯を抜いたり、歩道橋からトラックの荷台に突き落とされるなどの手厳しいお仕置きを与えられます。そんなこんなで仲島は自分の身を守るために精神をすり潰しながら凶悪ないじめっ子として白咲をいじめているわけです。

 つまり、この漫画はいじめっ子・仲島がお仕置きを避けながらいじめの実態をなんとか公にしていじめっ子の立場からの脱却を図るサスペンス漫画……では無いんですよ、これが。実際、これは多分メインの要素の一つだし、連載当初はそうした「シリアスな作品です」っていう雰囲気を漂わせていました。ただ、マガポケってなんでか知らないけどイジメを題材にした漫画がメッチャいっぱい載ってるんですよね。そんな作品群の中でこの設定だけではパンチが足りないと思ったのか、はたまた最初からそういう路線で行くつもりだったのかはわかりませんが、この作品が良い意味でハッチャケ始めたのが転校生編で”いじめ勝負”の概念が登場したあたりです。

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 突然いじめバトル漫画になりました。どうしてこんな『食○のソーマ』とかの料理バトルみたいないじめバトルが始まったかというと、仲島と白咲のクラスに「過去にいじめた相手を自殺させたことがある」と噂のいじめっ子・加藤が転校してきます。そんな加藤ですからもちろんノリノリで白咲のいじめに加わります。仲島は加藤にいじめっ子の立場を明け渡し、そのうち平穏な学生生活に戻れるのではないか……?と考え始めますが、白咲から「私をいじめるのはお前じゃないといけないから加藤をどうにかしないとどうなるか分かってるよな(意訳)」的なことを言われ、加藤を排除するために仲島が必死に考えた作戦がこのいじめ勝負です。ちなみに加藤には戦闘力が(白咲を除いて)作中でトップクラスに高いという設定が有り、それをしっかり描写しているので、いじめ勝負に発展するまでの展開はものすごく理論的に演出されています。この漫画、なんでかこういう所はめちゃくちゃ上手いです
 地味に個人的に何よりツボだったのが3枚目のシーン。料理バトル漫画よろしくなぜかいじめバトルをしっかり解説できるクラスメイトがいます。この段階からもう中々頭がおかしいのですが、この漫画にとってこのシーンは序の口です。
 この転校生編を皮切りに、複数の教師と他クラスの生徒の目を盗んで白咲をイジメるために四苦八苦する修学旅行編いじめを円滑に行うために学校を支配する生徒会を潰そうとする文化祭編など、どんどん狂気をましながら他に類を見ない漫画として展開していきます。 
 

 現在は118話まで無料公開中です。話の内容的にも合併して誕生した新しい学校で生徒会長を目指す生徒会長選挙編がちょうど終わった所なので読みやすいタイミングだと思います。せっかくの無料公開だし読んでみる価値はあるんじゃ無いかなあと思います。

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