幼少期⑧

家族の目が泳ぎ、動揺している様子が感じられた。

「大丈夫。ちょっと疲れちゃっただけみたい」

そう伯母が話した。
私は素直に、「そうなんだ」と思った。

信じていた。

けれど、母は何日経っても目覚めなかった。
尿道カテーテルから滴り落ちる尿の量は日に日に減っていった。

暖かかった手も冷い。

あれだけ成功した。一般病棟に移れる。麻酔が覚めたら意識が戻る。そう言っていたはずだったけれど、
母は確実に衰弱していた。
私は家族を疑った。

その後、余命宣告を家族全員で受けた。
「あと4日くらいでしょう。」
私は気が動転していた。
それでも今私が生きているのは、手厚くカウンセリングなどをしてくれた小児科の看護師さんや優しいICUの看護師さんがいたからだろうか。

その後、家族から「手術した日の"あの時"もう既にママは脳死状態になってしまっていたの。」
そう説明を受けた。
薄々気付いてはいた。実感が湧かなかった。

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