続く日常

 緊急事態により在宅勤務を強いられてからおよそ半年経ったが、相変わらず週に一度は在宅勤務を続けている。
 元来が外回りの多い職種なのでさすがにオールタイム在宅とはいかないものの、出勤時は現場に出てデスクワークは在宅時というようなペース配分は整ってきた。会社側もこれまではやむを得ずといった感じで認めてきた時差出勤や在宅勤務も、正式な体制として勤務体制に組み込むと表明した。
 これぞ新しい生活様式ということで、自分は少し早めに仕事を始めて早上がりし、週に一度は在宅勤務を続けている。体調も概ね良好で、大変に素晴らしいことである。

 とはいえ、緊急事態宣言下で在宅勤務を始めた半年前に比べると、慣れもあるが徐々に在宅勤務の働き方や時間の過ごし方も変わってきたように思う。

 まず、仕事する場所は自宅内をあまり移動せず自室で済ませるようになった。やはり端末に加えて周辺機器も一度に持ち運ぶのが面倒くさいので、環境変化による気分転換の代わりに休憩時間のサイクルを増やすことにした。
 そして、以前は楽しく仕事しようと音量控えめでBGMを流していたのだが、それもやめた。たとえ小さな音量であっても、そこに音楽が流れていると歌詞やメロディに意識が飛んでしまい、何事にも気が散ってしまう。結果として自室で静かに端末と向かい合う、絵面としては大して面白くないものになってしまったが、これが新しい日常である。日常はさほどエキサイティングなものでなくて良い。

 自分はどちらかと言えば何事も短期集中型で、15分から30分くらい脇目も振らずに集中した後は一気にだらけてしまう。世間一般で言われる「人間の集中力の限界」に概ね近いようで、逆に何か他のことをしながらダラダラ続けると成果も上がらず疲労だけが溜まる。昔、周囲に合わせて長時間残業などをやっていたが、仕事も休養もうまくいかずに体を壊してしまった。

 在宅勤務の時はスタートダッシュを決めるべく、始業時刻(しっかりリモート環境へのログイン時間を取られている)から30分はとにかく集中して仕事を片付けるようにしている。溜まったメールを片付ければ、あとは自分の仕事と散発的なメールに対応すれば良いので気が楽になる。
 早い時間のうちに仕事を片付ければ、残りは折を見て休憩を挟む。仕事と関係ない本を数ページめくることもあれば、SNSをチェックすることもある。いずれにしてもコーヒーは欠かせない。この半年で、コーヒー豆の消費量は数倍になった。

 緊急事態宣言の頃は何事にも自粛ムードで外出は朝のウォーキングだけにしていたが、最近の在宅勤務では気分転換に外へ出ることも多い。昼休みの時間に外食しに出ることもあれば、休憩時間にコンビニまで甘いものを買いに歩くこともある。家の中を端末片手にウロウロすることがなくなった分、外出で気晴らししている面もある。

 半年前は「いつかこの生活も終わる」と考えていたが、どうやら当面の間この状況は続くらしい。もしかすると、これが今後の生活リズムに変わっていく可能性も出てきている。
 結局のところ、落ち込まずはしゃがず、平常心で日々を送ることが最も重要なのではないかと思うようになった。一喜一憂するにはそれなりのエネルギーを消費するので、消耗を防ぐためには一喜一憂する原因を取り除いて平和な心を保つ必要がある。

 ニュースは見ない、酒は週末のみとする。これで少しは平和になるだろうか。

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