「エンタメ大好き!」の普遍化における諸問題の露呈/日本の芸術界
東京藝大美術館で開催予定の「大吉原展」がXでトレンドに入っている。
展覧会公式WEBサイトを見たが、私が興味深いのは展示内容よりも、主に以下の茂木健一郎氏が動画で提示するこれの「打ち出し方」「押し出し方」の問題について。
展覧会公式WEBサイトに見られる、ヴィジュアル面でのポップな装いと挿入されるキャッチフレーズ、「エンタメ大好き!」「お江戸吉原は年中イベント三昧」等。
年季奉公(多くは住み込みで食糧や日用品は支給されたが、給与は支払われないか、支払われたとしても極く僅かなもの)という人権侵害及び性搾取が公的に行われた場所を題材として扱うには、茂木健一郎氏の現在の企画のあり方の大幅変更か中止しかないという意見に、私自身も現在を生きる美術家の一人として同意する。
こういう学芸員の「展覧会を見てから批判しろ」という意見は私は論外だと思いますね。こういう発言の目的は美術業界全体の一言で言えば「利権」ですね。「開催したらこっちのものだ」という。「議論の場になったから有意義だった」という後付けが可能と馬鹿の一つ覚えのように思い込む。それは90年代以後の日本の現代アートの常套句でもあった。「炎上してナンボ」という思い込みの形式、浅はかな。
私が主観的に興味深いと思ったのは、東京藝大に元々ある(奇しくも上記動画で茂木健一郎氏が「80年代ならこれを是認する雰囲気はあったかもしれないが」と述べるのと共通性がある)、「芸術」ならぬ「デザイン(科)」支配の香りですね。90年代以後、かように「エンタメ大好き!」「年中イベント三昧」の乗りは、アーティスト、学芸員等の思考を支配した。
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