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日商簿記1級は転職に有利なのか?

日商簿記1級合格者は「転職市場で引く手あまた」とか、「合格すると給与水準が上がる」というというイメージを持たれている方も多くいらっしゃるかと思います。
実際、資格学校のサイトには「希少価値があるので高く評価される」「転職に非常に有利」「経理の仕事に活かせる」「経理のスペシャリストとして認められる」と書いてあります。
これはあくまでも宣伝文句ですので、必ずしもこの通りとは限りません。

日商簿記1級を保持して転職をした経験のある筆者の視点からすると、「場合によりけり」と感じます。

まず、日商簿記1級の商業簿記・会計学の内容ですが、これは上場企業向けの内容になっています。
上場企業は、株主や投資家等が公正な判断を下せるように、厳正な会計基準に基づいて作成された財務諸表を提示しなければなりません。
会社ごとに会計処理が異なると財務諸表の数字も変わってくるため、比較検討ができないからです。
日商簿記1級ではこのような会計処理を行うにあたっての必要な知識を身に着けることができるような学習内容になっています。
上場企業では、会計上と税務上(税法に基づいた処理)の差は、税効果会計を使って財務諸表に記載し、税務申告書の別表で処理します。
中小企業でも上場企業の連結対象になっている子会社は、厳正な会計基準に基づく会計処理を行わないといけません。

一方非上場企業は、上場企業のように厳正な会計基準に縛られていないので、最初から税法に基づいた会計処理をすることが多いです。
粉飾決算は問題ですが、ある程度の許容範囲があり、最終的に税務申告書で税金がきちんと計算できて、税務調査の時に指摘事項が無ければOKなのです。

日商簿記1級の商業簿記・会計学が転職で生かせるのは、上場企業及びその連結子会社・会計事務所・コンサル系だと思います。

そのため、非上場企業の経理では経理の実務経験があっても、日商簿記1級はオーバースペックとみなされることも多々あります。

日商簿記1級に関する意外に知られていない事

これは非上場企業で起こりやすい事例ですが、どうしてこのようなことが起こってしまうのでしょうか。
それは、

●日商簿記1級に見合う給与や、本人が満足するような仕事を与えられないのではないかと、企業が敬遠してしまうケース
せっかく仕事を教えても条件の良い会社が他にあったら転職するのではないかという懸念が生まれるようです。
筆者も一般事務や営業事務にも応募した時に、あからさまに「どうせすぐ辞めるんでしょ?」と言われ、不採用になっていました。

●採用する人(経理部門の課長や部長)が日商簿記2級・3級保持者で、自分より上位資格を持っている人を採用したくなくて、書類選考や面接で落とすケース
幹部や部長クラスの求人に応募するのであれば大丈夫ですが、一般社員としての求人に応募し、経理部門の長が3級保持者であった場合は、2級の応募者が落とされることすらあります。
余談ですが、簿記が苦手で経理を外された総務係長が、経理の管理職ポジションを募集する時に、製造業で少なくとも2級の知識が必要なのに、簿記資格を求めない旨の求人を出していたケースがあります。
その人のコンプレックスが反映された例だと思います。

●経理部員が日商簿記2級・3級の保持者で、先輩より後輩の方が上位資格を持っているとバランスが崩れるとみなされるケース
採用の際に既存社員の年齢層と応募者の年齢層が考慮されることがよくありますが、周りと力量差があっても不調和が生まれるという考えの企業も多数あります。
私がまだ1級の勉強中の時、「1級の勉強中です」と面接で言っただけで、「上場の準備をしているからその知識を活かしてもらえるとは思うけど、うちは2級までの社員しかいないからね…」と面接で言われて落とされた事もあります。
「(先輩になる人が)3級しか持っていないから」とか「2級しか持ってないから」というのは、あらゆる業種の会社でよく言われることです。
筆者は建設業経理士1級も持っているので、建設業の会社でも同様のことを言われて落とされました。
(建設業経理士を持つ人がいると経営審査の際に加点されて、入札参加の時に有利になるのに、です。)

●会計処理にイチャモンをつけられるのではないかと敬遠するケース
中小企業は基本的には税法の規定に基づいて会計を行うので、1級で学習するような厳正な会計基準に基づいた処理を主張されると困るという場合です。
重箱の隅をつつくようなことをしなくても、1級を持っているというだけで頭でっかちで扱い辛いのではないかと敬遠されることも多々あります。

●ヤバい会計処理を見られたくない
中小企業でありがちなのですが、「経営者が黒い物を白と言えば従う、疑問を抱かず処理する」ということが経理に求められることが多々あります。そのため、厳正な会計基準での会計処理を学んだ人に簿外資産や不適切な会計処理を見られては都合が悪いわけです。
上場企業は粉飾決算で利益を実際より多く見せようとすると、銀行だけでなく監査法人や株主を巻き込んで後々大問題になります。
しかし中小企業では粉飾や逆粉飾で数字を操作するのは当たり前に行われており、倫理観が欠如した経営者や経理が多く、歯止めが効かなくなっているケースも多々あります。

私も勤めた会社で、同族企業の経営者や役員の身内が会社で働いてもいないのに給与が支払われたことになっていたり、売掛金や棚卸資産が実際とは億単位で異なる数字になっていたり、上司が処理していたのでその部分はブラックボックス化され、実際の決算書を見せてもらえなかった事がありました。
1級を持っていると会計処理の重箱の隅をつつくような事をしていなくても、「使えない人」とか「融通が利かない人」と見なされる事も多く、企業会計原則を学んで実直に経理の実務をやりたい人は罪悪感で精神的に病んだり淘汰されていきます。

中小企業では簿記の知識はあまり無くても、何の疑問も持たずに処理できる人の方が重宝される場合もあるのです。
例えば、1級まで学習した人は「棚卸資産の金額を意図的に操作する」ということが貸借対照表だけの影響に留まらず、損益計算書にも影響するので、粉飾や逆粉飾(脱税)に繋がるということに気付きやすいですが、2級までならパターンで解けるので上司に「在庫の金額を増やして(減らして)おいて」と言われてもその真意に気付かないかもしれません。
又、意図的でなくても知識が無い為に、過失で粉飾又は逆粉飾(脱税)を行ってしまう場合もあります。
もしそのようなことが発覚したとしても、大抵の会社は知識が無くてそのような処理をしてしまった経理部員ではなく、もっと上の人が責任を取ります。
その緩さが「実務経験重視」「会社には会社のやり方がある」となって、1級を持った人が煙たがられたり、排除される原因となるのです。

日商簿記1級をこれから取得しようかと考えている方、勉強中の方に知られていないのは、このようにオーバースペックとみなされるのを避ける為に、履歴書に日商簿記1級と書かない方が良い場合もあります。
人によっては取得に何年もかかりますし、学校に通うのにもお金がかかります。
その時間や労力・お金を度外視しても、書かない方が良い場合もあるということです。

実際に人間関係に不調和が生じた例

私が日商簿記1級を保持者だということで、職場で一方的に敵視され、人間関係の不調和が生じた例をご紹介します。

その会社は上場企業の連結子会社でした。
先にご紹介した通り、上場企業の連結子会社は、厳正な会計基準に基づいた会計処理が求められます。
そのような会社では日商簿記1級の知識を持った人材が必要なので、親会社の意向で、求人票には「日商簿記1級必須」と書いてありました。
そして私が入社した時には既に「先輩」から妬まれていました。

彼女は親会社から簿記の勉強をするように言われていたものの、3級しか取れなかったことが彼女にとってのコンプレックスになっていたようです。
日商簿記1級保持者の私が採用されたことにより、彼女は長年勤めたのに、会社から必要無い人間だと思われているように感じたそうです。
(実際にそのように言われました)

彼女は私に仕事を全部引き継ぎ、その日から全く仕事をしなくなりました。
私は彼女から引き継いだ仕事と、親会社から出向してきた上司(経理部長)から引き継いだ仕事(資金繰り等)を抱え、オーバーワークの状態でした。
彼女から引き継いだ総務の雑用的な仕事も自分一人にのしかかっていました。
100人規模の会社だったので雑用もかなりありました。
「1級だか何だか知らないけど、こんな奴には雑用やらせとけばいいんだよ」と彼女は大きな声で言いました。

ひっきり無しにかかる代表電話を一番に取るように言われ、そんな中、親会社の四半期決算の時には決算の資料を、まだかまだかと催促されます。
上場企業は株主や投資家から迅速な開示を求められるため、その連結対象となっている子会社は、親会社よりも早く決算の数字を確定させないといけないからです。
私がその会社にいた時には、期末後9営業日以内が期限でした。

先輩は勤務時間中はインターネット三昧でしたが、それを見ていた他部署の社員からは、「新人が入ったんだし、総務・経理の仕事をしないなら、工場で作業をするべきだ」という批判の声が上がりました。
その時、直属の上司(課長)は先輩をかばい、私に工場作業をするように言いました。
先輩は、長年かけても任せてもらえなかった仕事を、私がやっていることにも腹を立てていました。
課長は、そんな先輩がご機嫌を損ねないよう、先輩が見ている前では雑用や工場作業をして、先輩が帰宅してからと休日に、その他の仕事をするように言いました。

課長は会社が上場企業の子会社になる前から長年その会社に勤めており、親会社の意向には反発していました。
親会社の意向で日商簿記1級保持者を採用することになり、私が入社してきことを良くは思っていなかったのです。

そしれこれは後になって判明したのですが、上場企業の子会社になる前は、同族企業(家族経営)だったため、古い体質下での不正経理も多く、それを隠したい意図があったようです。

それ故に、課長は長時間労働で私を疲弊させ、何も考えられなくなるまで追い詰め、コントロールしようとしたのだと思います。
私の後任を募集した時に、「弱みのある人の方がコントロールしやすい。実家暮らしの人は収入が途絶えても生活できるからすぐ辞めてしまうから、一人暮らしかシングルマザーの人の方がいい」と言っていました。

結局私はその会社を2年程で辞めたのですが、このように極端な例ではなくとも、他の会社でも「先輩から妬まれる」ということはよくありました。
経理の実務経験者であっても実は簿記に苦手意識があるとか、3級は持っているけど理解できない仕訳は何となく見ようみまねでやっているという人はいるようです。
これは、その人が自分の内面にあるコンプレックスを見たくないため、そこから目を反らす為に、相手をいけすかない奴だと思い、貶めようとする行為ですので、こちらがどんなに円満な人間関係を築こうとしても難しいものです。
そのような状態になっている人は、日商簿記1級を持っている人を見る度に、自分のプライドが傷つくわけです。
(2級でも同様なのかもしれませんが、2級なら「私が本気出せば取れるけど受けてないだけ」という自分に対しての言い訳はできても、1級となると「越えられない壁」のように感じて、より圧迫感があるのかもしれません)

一方的に妬まれていては人間関係が上手くいくはずはありません。
小口現金の管理を担当していた時、お金を隠されたことがあります。
経理はお金を扱う仕事ですので、このように濡れ衣を着せてでも辞めさせようとする場合もあるのです。

1級保持者は、人を妬むぐらいなら自分が努力して向上するという精神の人が多いと思います。
ですから、このような仕打ちに遭った時になかなか理解できず、「自分が何か悪い事をしたのかな」とか「自分に問題があるのかな」と思ってしまう人も少なくないのではないでしょうか?
私の場合は入社した時には既に妬まれていましたし、妬むような事を相手が言ってきていたので分かりやすかったですが、1級保持者で過去に陰湿な職場いじめを受けた人は、一方的な妬みや恨みによって攻撃されてしまうこともあるのだと覚えておいて下さい。

又、人間は隠したいものがあると相手を威圧してコントロールしようとします。
経理未経験で簿記を学んだ人には想像もつかないかもしれませんが、月次や年次決算で、経理が数字の操作(粉飾や逆粉飾)に関わらなければならなくなる場面はかなりあります。
監査法人のトーマツ グループが無作為抽出した上場企業・非上場企業を対象に実施した2022年の調査では、52%の企業に何らかの不正・不祥事が発生したというデータが出ています。
これはあくまでも調査なので実際にはもっと多いでしょうし、コロナ時のゼロゼロ融資の回収が始まって困窮した会社が不正に手を染めることも多くなっているでしょう。
困窮した会社の経営者が逃げ腰で、経理担当者が資金繰りに頭を悩ませるということも多いです。
未経験から経理を目指して1級の勉強をされている方は、この辺の事はよく理解しておく必要があります。

日商簿記1級を保持者に対する敬遠はもちろん、採用前の選考の段階でも起こり得ることです。

人は自分の中にあるコンプレックスを見たくない場合は、他者にそれを「投影」し、「相手に問題がある」と思おうとします。
それを「自我の防衛機制」と言います。
そのため、日商簿記1級を履歴書に書く人は、「会う前」から、人間性に問題があるというイメージが先行してしまう可能性がある事も覚悟しましょう。
そして実際に採用されてからも、そのネガティブなイメージが続く場合が多々あるのでます。
悲しいですが、これが現実です。
勉強するのは自分の意志でできますが、他人から勝手なイメージを押し付けられ、自分の意志ではどうしようもない部分で評価を下げられる場合もあるということです。

他の人との差別化によって採用の場で有利に働くと思っているのであれば、それは自分の勝手な自己イメージに過ぎません。
全く利害関係の無い人は「簿記1級なんて凄いね~。就職に有利でしょう。」と気軽に言いますが、実際の職場では人間の感情的なドロドロがそこに乗っかって来るのです。
履歴書の資格欄には目に見えやすいので特にその可能性が高くなります。
そのため、差別化を狙うはずが、実際には差別されてしまったという事も少なくないのです。

これが、日商簿記1級を履歴書に書くか書かないかをよく吟味しなければならない理由です。
経理の実務経験があり、非上場企業に応募する場合は注意が必要です。
履歴書に書いた1級がオーバースペックとみなされては、せっかくの実務経験が台無しです。

ちなみに、ハローワークの職員の方に聞いたのですが、日商簿記2級を持っている場合は2級を書いて1級は書かないというのは経歴詐称にはならないということです。
1級を持っている人の大半は2級も持っているので、これはクリアできることでしょう。

日商簿記1級保持者は未経験からでも経理の仕事に就けるの?

中途採用で経理の仕事に就くには、何を置いても実務経験が重要視されます。
そのため、1級を持っているからといって、実務経験のある2級・3級の方と比べて有利になるというわけではありません。
求人の条件によっては実務経験が無いと応募できない場合すらあります。

20代であれば日商簿記1級を持っているということでポテンシャルを買われて採用という場合もあるかもしれませんが、30代以降であれば「実務を知らなまま頭でっかちになってしまって融通が利かないのではないか」というレッテルを貼られることもあります。
しかし、せっかく1級を取得したのであれば、履歴書に書いて挑戦してみるのも良いかもしれません。
なぜなら実務経験者と違い、未経験という時点でダメで元々、失うものは無いからです。
転職エージェントに登録してみるのも良いでしょう。

しかし、未経験可の経理の求人があってもそれは釣りで、入社後すぐに他の職種に異動させる場合もあるので注意が必要です。
職業安定所の求人でそのようなものが数件ありました。
面接で「実は設計の人が欲しい」と言われた事もあります。
全く知らされないまま、入社してしばらくしたら飲食事業に回されたという事例も転職口コミサイトに掲載されていました。

じゃぁ1級は目指さない方がいいの?

そんなことはありません。
明確なキャリアプランがあるのなら、目指すべきです。
税理士事務所に入っていずれは税理士を目指すとか、非上場企業の経理部で管理職の経験を積んでから上場企業に転職して年収を上げたいとか、キャリア形成の足掛かりになるのが日商簿記1級だと思います。

もし、将来が不安だからという理由で「何となく」1級を目指したいなら、2級取得後のなるべく早い段階で経理の仕事を探すことです。
もしダメだったとしても、安定して勤められる正社員の仕事をしながら、1級を目指しましょう。
営業事務や一般事務でも、小口現金を扱ったり、請求書の発行を経験できる「経理もどき」の仕事ができる場合もあります。
もしかしたら社内で経理のポジションが空いた時に異動できるかもしれません。

私は30歳過ぎてから簿記の学習を始め、実務経験の無い状態で派遣で働きながら日商簿記1級を目指していました。
残業の無い仕事に就いて勉強に時間を充てたかったからです。
実際に実務経験を積み始めてからも、1級保持者ということで先輩から敵視され、辞めざるを得なかったことで、転職回数が多くなってしまいました。
派遣も「事務職」というくくりではありましたが、履歴書に書いた時に頻繁に職場を変わっているというのは印象がよくありませんでした。
面接でいじめられた話をしたとしても、印象が悪くなるのはこちら側です。
誰の心の中にも暗い部分はあり、人間の醜い部分を見つめるのを避けますし、職場で気難しい人や感情的になる人がいた場合は、こうしたことはよく起こることだからです。

私は2級取得後に1級を取得するまで1年半かかりましたが、時間がかかる人は何年もかかりますので、1級を取得してから経理の仕事を探そうとするとどんどん時間が過ぎていき、応募できる求人も限られてきます。
これがなるべく早く安定した仕事をみつけることを推奨する理由です。

日商簿記1級を学習するメリット

これはあくまでも個人的な意見ですが、今はよっぽどの事が無い限り、転職の際に日商簿記1級は履歴書に書きません。(2級は書きます)
利害関係の無い人にならサラッと言えますが、周りの人が日商簿記1級以上の人ばかりという職場でない限りは、職場の人には黙っていた方が良い場合が圧倒的に多いということを最終的に理解しています。

しかし、これを勉強する過程で身に着けた「理解力」「洞察力」というものは、仕事だけでなく日常のあらゆることに役立っています。

日商簿記1級を学習するにあたって、自分が既に理解したと思っていた単元でも、難しい問題を解いてみると実は全く理解できてなかったということがよくありました。
そのため、「自分が理解できているか、できていないか」ということを見極めることができるようになったと思います。

「自分は理解できている」という思い込みで仕事に支障が出ていたり、成長ができなくなっている人も多い中、これはけっこう重要なことだと思います。
これは仕事だけでなく、自分が興味を持った事について調べた時にも言えます。
短時間で要点を掴むのが上手くなりました。

意外な副作用

「能力が高い人」と周りから見られることによって妬みの対象になってしまったり、社内の厄介事を押し付けられやすくなったり、先輩や同僚が「優秀な人と一緒に働くと自分が評価されなくなる」と言ってやる気を失って社内ニートになるということがよくありました。

そんな中、私は妬まれないようにする為に、能力をあまり出さないようにしたり、他人の顔色を窺っておべんちゃらを言ったりして、どうにか職場の人間関係を円滑にしようと「努力」するようになったのです。

しかし、そういう「他人の機嫌を取る」ことをすると、増々ぞんざいな態度で扱われるので逆効果であることがわかりました。
「この人は私の機嫌を取ってくれるんだ」と思われてしまうからです。
自分の感情の葛藤を他人にぶつけることで解消するタイプの人は、そのターゲットになる人を常に探しています。
そして何だかんだ理由を付けて相手を貶めます。

私が大卒ということで、高卒の同僚から妬まれたり嫌味を言われたりしたこともありますし、普通に仕事をしているだけなのに能力の差で妬んでくる人もいました。
(日商簿記1級を取得している人は数字で見えるので、こうした人からターゲットにされやすいと思います)

私はそれを知らず、相手の顔色を窺っていました。
でもそれは一時しのぎにしかならず、相手がエスカレートしていずれ人間関係は破綻するので、今は、あくまでもそれは他人の問題と線引きするようにしています。

後日談

この記事を書いてから約半年後、私はあるベンチャー企業に経理で採用されました。
創業してからの年数が浅いとはいえ、お局様的な女性経理部員にまたいびられたり、粉飾に巻き込まれたりするのかと思っていたのですが、そんなことありませんでした。
その会社はコンプライアンスを重視する会社なので、粉飾や逆粉飾はご法度。
例えば振込金額のミスをしただけでも始末書が求められるような厳しい会社です。
個人の責任が明確で、誤魔化しはききません。
そんな環境だからこそ、「勉強しない。成長しない。他人に責任転嫁する。他人の足を引っ張って引きずり降ろす事によって自分の地位を確保する。又は優秀な人を利用してさも自分がやったかのように手柄を横取りする。」という社員は勤め続けることはできません。
私はこれまでそのようなタイプの先輩や上司からターゲットにされてきましたが、そういった社員が蔓延していたのは会社の体質によるものだということを痛感しました。
厳しい会社より緩い会社の方が働きやすいと思いがちですが、実際に日商簿記1級を持っていて私のような経験をした方がいらっしゃったら、ベンチャー企業に応募してみるのも一つの手かもしれません。

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