お墓参り
8月12日(月) 休職40日目
今朝は5時前に起き、お墓参りに行った。
家族揃ってのお参りはいつぶりだろうか。今までは帰省したタイミングか、全員の生活スタイルがバラバラだったりでそれぞれが行けるタイミングでお墓参りをしていた。
外はまだ夜明け前の薄暗さの中ヒグラシが鳴いている。
先祖のお墓は自宅から近いが少し山手にあり、参道は竹林の間を進む緩やかな上り階段になっている。一段の高さが10cmもない幅の広い石段なので小さな子供の足では一段を一歩で上るのは大変な造りだ。
大人でも地味にしんどい。
石段を上り始めて5メートル先くらいから両側に各家のお墓が見え始め、我が家のお墓はそれよりもさらに300メートルくらい先にある。
この辺りは過疎化が進み、高齢者が増えてきたので熱心にお墓参りに行く人は年々減ってきているように思う。それを裏付けるようにしばらくお参りされていない様子のお墓の側には今年生えてきたであろう新しい青竹が敷地内に割り込み何本も伸びてしまっており、切り倒そうにも素人には厳しい有り様だ。
またこのあたりは10年ほど前に起きた大地震の影響で、墓地は地面がひび割れたり墓石が損壊したりでかなり被害が大きかったのだが、その時のまま未だに修復されていない墓石やビニールシートを被ったままのお墓もある。
忘れ去られて荒れてしまったお墓ほど寂しいものはない。それを横目に見ながら「墓仕舞い」をどうするか両親が健在なうちに話し合わないといけないなと思った。
家の墓石の後ろはブロック塀があり、そのすぐ裏手は竹林が奥まで広がっている。
私が社会人になったばかりの頃までは確か敷地にはツツジの植込みがあったのだが、祖父母が亡くなった後は剪定も面倒だしヤブ蚊も多いからと父によりツツジは根こそぎ撤去されてしまい、土はセメントで埋められてしまった。母は「何もそこまで埋めなくても…」と言ったのだが、植込み跡の土の下から竹が2本生えてきてたった3日放置しただけで数メートル伸びてしまい、刈り取るのが大変だったそう。
破竹の勢いとはよく言ったものだが竹の成長スピードをナメていたらなかなか大変な目に遭う。
そんなことを思い出しながら、母が先頭、次に私が続き、後ろを父が歩く形で参道を上っていた。途中でふと後ろを歩く人の気配がしないことに気づき振り返ると父の姿が見えない。
「え?まさか途中で倒れてないよな」と思い少しの間待っていると、竹の葉の隙間から上ってくる父の頭が見えた。
ゆっくりゆっくり途中で休みながら上っているようだ。母は全く気づかずズンズン先に行ってしまい、ちょうど3人の間に20メートルくらいの間隔で差が開いてしまった。
父は去年右脚を手術したこともあり、最近はリハビリがてら毎朝早朝に30分程度の散歩をしているようだが、この緩い上り坂はキツイようだ。肺気腫で両肺の三分の一が機能していないので彼には1000メートル走を走り終えた後くらい辛いと思う。息が上がっているのが遠目でも分かる。
とりあえず生存確認はできたので私もそのまま先に進んだ。
お墓に着くなり母が「あれ?お父さんは?」と聞くので、あと2〜3分くらいかかると思う。上り坂しんどいみたいと答えると「えー、この距離で?出かける前は日が昇ると暑いから早く出るぞって散々急かしてきた癖に、何なのよもう。」と不満げ。
そこへゼーゼー息を切らしながらようやく父到着。
笹の枯れ葉を掃き集め、お花と果物をお供えし、お線香を立てて手を合わせ帰路につく。
母は随分長く墓石に向かって手を合わせていた。
帰りは緩やかな下り坂なので父が先頭をスタスタ下りていた。
「帰りは軽快ね」と母がボソッと呟く。
やっと日が昇ってきた。
ヒグラシとは違う蝉の鳴き声がし始めた。
今日も暑くなりそうだ。
帰って洗濯しよう。
(体調)睡眠薬なしでまとまって眠れたが、日中やたらと眠かった。家事は最低限終わらせ、仏壇の掃除をする。出血少量あり。食欲は普通だが、脂物はまだ食べられない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?