短所が活かされたとき 2

そんなモヤモヤした気持ちを抱えつつ、3年生になり、軽音部の部室に毎年貼っている、名前とパートと、好きなバンドを書く自己紹介シートを部室で書いているとき、ふっとある友だちの自己紹介が目に留まった。

その友だちはめちゃくちゃバンドに詳しく、年に何本もライブやフェスにいっていて、「こんなにアンテナ張って音楽聴いてるの、すごい……」とずっと思っていた子だった。

あんなにバンドをたくさん知っているんだから、自己紹介シートもバンド名で埋め尽くされていると思っていた(実際結構みんなぎっしり書いてあった)。

でも、そこに書かれていたのは、これだけだった。



10-FEET!!



10-FEET、、、わからんけど何かすごそう。

あんなにたくさんフェスとか行ってて、ジャンル問わず色々聴いてそうやのに、それでもたったひとつ、好きなバンドをドーン!とA4用紙に書いてあるのを見て、純粋に

「そんなに心を奪われるようなバンドなんやろか、これは聴くしかない」

と思った。


そこからは早かった。

近所のTSUTAYAはつぶれてしまっていたが、たまたま、Twitterの広告で見かけていたSpotifyをインストールし、10-FEETの「その向こうへ」を、恐る恐る再生した。

あとから調べてみたら、私が初めてサブスクリプションで10-FEETを聴いた月に、10-FEETもサブスク解禁をしていたそうで、これは運命なんじゃ?!とすら思ってしまった。


その向こうへ、VIBES BY VIBES、RIVER、2%、、、



うまく言葉にできないけれど、1曲1曲が本当にあったかくて、もともとは「こいつバンド全然知らんやん」と思われるのが怖くて、勉強のために聴こうとしていたのに、そんな私の小さな見栄やらプライドでカチコチになった心が、ぐわぁっと揺さぶられて、全てを肯定してくれるように私を包んでくれた。


あぁ、助けてって、誰かを頼っても良いんだ。
あぁ、子どもみたいに泣いても良いんだ。
私だけ不憫だなぁって思うこともたくさんあったけど、いとおしく思える日が来るのかもしれない。




10-FEETの楽曲は、「今」の自分が抱えている苦しさ、辛さだけじゃなくて、過去の悔しかったこと、小さな心のキズ、日々感じていた寂しさなど、押し殺していたしんどいところにも、優しく寄り添ってくれて、少しずつその傷を強さに変えてくれるような力を持っていた。


多分周りの目をそんなに気にしない性格であれば、こんな風に「バンドを勉強しなくちゃ」なんて思わなかったと思う。

でも、最初はそんなヘンテコな理由だったかもしれないけれど、私は10-FEETに出逢えて本当によかったと、常々思っている。

こんな性格だからこそ、色々考えちゃうから人より傷つくことが多かったかもしれない。昔はこんな自分が嫌いだったから、自信も持てないしポンコツな部員だったと思う。

でも、今は「こんな性格だからこそ出逢えた人や音楽がたくさんある」と思えるし、短所もたまには役に立つことを知った。

今もポンコツなのは変わらないと思うけど、こんな自分が好きで、そう思える根っこの部分では、10-FEETがくれた力が原動力になっている。


これからもいっぱいしんどいことはあると思う。

でも、多分なんとか乗り越えられそうな気がするのは、きっとこのバンドに出逢えたからだと思う。


今年こそ、京都大作戦、行くぞ~~!!!

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