宵の明星
表紙とあと漫画以外のページです。
頒布当時もwebに再録してからも、読んでくださりありがとうございました。
みんなの人生が良くあって欲しくて作った本です。
エモーショナルなところはあんまり言語化できない。
その辺は漫画に詰め込んだつもりなのでなんとかなっていることを祈ります。
ここでは当時あとがきに書ききれなかった、モチーフに関しての話を好き勝手書こうと思います。特に読まなくていい。
アバッキオのアニメ版の配色のことがずっと気になっていて、「宵」「ゆうべ(夕べ)」はその辺から着想を得て出てきたモチーフです。
瞳の紫と黄色のグラデーションって、漫画版では(私の知る限りだと)見かけない配色だし、アニメに取り入れるにしては手間がかかってトリッキーなデザインじゃないかなあと思うんです。
じゃあどこかに、この配色を持ってくる出典や根拠があるはずだ。
個人的に、この出典は恥パなんじゃないかしらと思っています。
恥パは「目で語る」描写がとても多く、注目して読むと面白かったりするのですが、中でも好きなのが組織に入れろとフーゴに縋るアバッキオの「昏い目」です。
「暗」でなく「昏」
インターネットで調べたところによると「昏」は「日」が「低く」なる、つまり日暮れを示す文字だそう。
人生も生活も破綻してギャングになるって選択肢に縋った時に、まだその瞳の光はギリギリ沈みきっていない訳です。
この時点では死に急いでるだけかもしれないですが、一握り、何かを諦めていない目なんだ。
なんて美しいんだ。ありがとう上遠野先生。
「昏い目」つまり夕暮れのような眼差しに、アバッキオの善にも悪にも染まり切れない人間くささであったり、捨てきれずに残っている正義の心であったり、捻くれながらも諦めてない前向きさであったりを託したのが、アニメの紫&黄色のグラデーションなのではなかろうか。そうだとしたら美しすぎる。
という強い妄想に基づいて、テーマやお話を練っていきました。
全部妄想です。
この本に限らず、漫画はキャラクターの人生を美しいと言いたいがためにやっているんですが
そういうシンプルな願望のほかに、今回みたいな研究テーマを乗っけられたのはとても楽しかったです。
5部と天候に関するモチーフについてはまだまだまだまだ語りたいことが沢山あるのですが、この辺りで止めにします。
普通に原作のグラデ配色の出典があったらぜひ、ぜひ教えてください。
絶対にカッコイイからね…。