甲府探訪記。

8月3日、いっこ下の後輩と甲府に行った。

ゆきはかいじ11号で立川から乗車。

立川駅の東改札で会社の後輩と待ち合わせをした。

彼女の茶色のくせ毛がいつもよりうねっており、少し湿気のある快晴の日だった。


彼女は今年の4月に入社し、それから数か月直属で指導してきた。

頭のいい子で、仕事の呑み込みが早い。

しかし、頭で理解できるぶん小手先でこなしてしまう。

私と少し似たタイプだ。

それゆえに仕事でミスをしてしまった。

それとも、ミスを「させてしまった」のかもしれない。

私は彼女のOJTを指導していたので、彼女のそうしたメカニズムに気づいていながらもフォローしきれなかったことに責任を感じていた。

私たちが携わる旅行業では、商品や販売条件に付いて知識があればお客様に発売できる。

しかし、実際に自分の足でさまざまな土地に赴き、経験するということが、必要不可欠に思う。

実体験を通して新たに理解できたり、お客様に役立つご案内ができたりするものだからだ。

そうして、自分の仕事に対して関心を掘り下げ、自身で訪れようとするきっかけを与えたいと思った。

甲府への訪問は、そうした想いから計画した。


3番線のホームに移動し、かいじが入線してくるのを待った。

彼女はLEDの案内板の次に入線する列車に、「かいじ」と「富士回遊」が交互に表示されているのに気づき、

「かいじと富士回遊は連結しているんですか?」

と聞いた。

かいじと富士回遊は大月までは連結しているが、大月でそれぞれ別の路線に入るため、切り離しがあることを教えたら、彼女は案内版をスマホで写真を撮影した。

かいじが入線してきた。

8号車10番のC.D席に乗り込むと、車内アナウンスが流れ、富士回遊は1~3号車でその他の4~12号はかいじであると伝え、

「富士回遊、少ないですね。富士山に行く人はあまりいないのでしょうか?」と彼女は呟いた。

心の中で、えらいぞ、そういう気づきをしていくんだぞと彼女の頭を撫でたくなったが、気持ち悪いと思われるとメンツが丸つぶれなのでぐっとこらえた。

甲府に到着すると、甲府駅の南口を出て3分ほど歩いた先にある小作でほうとうを食べ、そのあと甲州夢小路でジェラートを食べ、舞鶴城公園を汗をかきながら歩いた。

途中、彼女の家系が武田信玄の末裔であると彼女の祖母が主張しているという話を半信半疑で聞くなど、なかなかに楽しい小旅行であった。

帰宅後、LINEで『今日はお疲れのところありがとうございました。勉強にもなりましたし、楽しかったです。また行きたいです。』と連絡があったが、彼女に私の想いは少しでも伝わっているといいなと思う。

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