日本人ソムリエとしてヨーロッパのレストランで働く

ドイツで働き始めてもうすぐ1年。

最初はドキドキして戸惑った。
目があったら、思いっきりの笑顔で返してくれる。

お水を注ぐ度、
料理を提供する度、
食べ終わった食器を片付ける度
その都度お礼を目を見て、笑顔で言われる。

会計の最後にはチップを置いて言ってくれる。

日本で長く働いていたせいなのか、
私が人見知りだからなのか。

最初は恥ずかしくて
お客さんの顔がまともに見れなかった。

慣れないドイツ語で思うように伝えたいことが伝えられず
お客さんの言っていることが、全然分からない。

半べそを書きながら、料理の説明を原稿にしたドイツ語を毎日読んでいた。

日本でオーベルジュのマネージャーをして
ソムリエとしてのキャリアを積んで
一念発起して海外で働こうと出たのに

自分は全く役に立っていない。
不安と無価値感で毎日押しつぶされそうだった。
かといって日本に帰ることもできない。

時間と比例して自信がなくなる日々。

できることはとにかく愛想よく接することだけだった。
「なんで、そんなに愛想よくしてるの?」
とルーマニア人の同僚に聞かれたけど
「それだけしか、今の私にはできないんだもん」
と恥ずかしくて言い返せなかった。

慣れとは怖いもので
神経が図太くなったのか
「Entschudigung meine deutsche」(ドイツ語下手ですみません)
「Wie bitte?」「noch einmal bitte」(もう一回言ってください)
使い倒した。
そして、下手くそなままでも相手がなんとなく
わかってくれるまで喋り続ける。今も性懲りもなく使ってる。

さらに神経が図太くなったと思う。

でも、美味しいと言われて、感謝されて
「ありがとう」
の返事のレパートリーが少なくて悔しいと思うから
もうちょっと勉強しようとおもう。

20歳のころ、初めてニュージーランドに行って
周りの人がいい人で
英語が全然できなくて、「Thank you」しか返せない自分が
悔しくて、情けなくて
あのときなりに一生懸命勉強したっけな。


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