どうせ誰にも自分を受け止めきれないと思ってきた

だからはじめから出さなかった

平気なふりをして笑ったりおどけたりして
でも分厚い壁をはってやってきた

その間接してきた人たちは
そういう私を知っているから
そして様々な世界を知っていて
多分に分別と配慮を持っているから
必要以上に踏み込んでくることはなかった

でも
突然現れて
それまでそんなに話したこともなかったのに
頼ってくれていいなんて

簡単に言えてしまうのは知らないからだと思った

穏やかに育まれて生きてきて
そういうことを体感したこともないし
文学など芸術作品を通して触れてきたこともない

そういうものを渇望する必要もなかった人と
分かり合えるなんて到底無理なことだと思った

でも
自分の知らなかったところで
ずいぶん自分を見てくれていていたらしいその人が
差し伸べてくれるというその手を
取りたいと思ってしまう気持ちも正直あった

鎧ももう限界で
自分で自分をうまく保てないようになっていたから

それでも
せっかく伸ばしてくれたその手を
自分はいつしかへし折ることになるのではないか

一度期待をしてしまったら
これまで抑えていたものが溢れ出して
際限なく頼りたくなってしまうのではないか

そうなったときにきっと
理解したり実際支えたりというのは無理だろう

分かってはいるけれど
そうなったらもうこらえられないだろう

そんな風に思って拒絶した
それなのに

何でなんだろう

どうせ無理なのだから求めないでほしい
あなたも

私も

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