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【間宮ひまりSS-3】 向日葵の面影

とある日の休日。
平田は「暇だなー」とふらりと家を出た。
コンビニに寄ってコーラとポテチを買い、女の子に連絡してカラオケでも行こうかと思いついてスマホを手に持ちLIMEでメッセージを送りながら歩く。

ふと前を見ると、長髪の赤毛を靡かせて歓楽街の方へと歩いていく女性の後ろ姿を見つけた。
あの赤毛には見覚えがある。
平田はそれを見るや否や、その女性の近くまで駆けた。

「ひーまーりーちゃん!」

顔を覗き込むように笑顔で声を掛ける。

「奇遇じゃん!これから遊びに行くとこ?」

平田はニコニコと言葉を続ける。
それに反して、返ってきたのは冷ややかな言葉だった。

「誰ですか?」

冷え切った瞳で貫く様に睨みつけられる。
よくよく顔を見てみると、女性の瞳の色は黄金の如き色であるのに対して、目の前の女性は深い青色を宿していた。
普段の太陽のようなひまりの雰囲気とはまるで違う空気を纏っている。

平田はんん?と首を傾げる。

「ひまりちゃんでしょ?そっちキャバとかある道だけどもしかしてそういうとこ行く系?」

「……人違いじゃないですか?」

「えーでもひまりちゃんでしょ?」

堂々巡りのように続く対話に女性はイラつきを隠さない態度を表す。

「ナンパにしても面白くないです。
これ以上付き纏うなら警察呼びますよ」

女性は顔を歪め、そう言い放った。
「えー、でも」と平田が言いかけた時、女性の後ろから見知らぬ男が走ってこちらの方へ来た。

「いたいた、月海ちゃん。珍しく遅かったから心配したんだよ」

その男は目の前の女性に親しげな声を掛ける。

「店長!わざわざすみません」

月海と呼ばれた女性は先程までとは打って変わって柔らかな口調で答えた。

「いいよいいよ、じゃあ行こうか」

男がそう言うと、そのまま2人は去って行き後には平田だけが残された。

1人残された平田はむむ、と唸る。
確かに雰囲気も髪形も目の色も違ったけど、何故かひまりだと思った。

「んー?絶対ひまりちゃんだったとおもうんだけどなー
気のせいだったのかな」

しばらくうんうん唸った後、「ま、いっか!」とまたスマホを開き、カラオケのお誘いを再開した。

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