見出し画像

【有栖川櫻子SS-6】 とある新聞部の日常

「満開の 桜に勝る 櫻子様」
「ん〜微妙じゃない?」
「ショックです!でも確かに櫻子様の美を表現し切れてないのも事実……!」

ここは新聞部の部室。
新聞部では定期的に黄昏新聞と称して校内新聞を発行している。

その内容は学内のイベント事だとか、生徒や教師のゴシップだとかが主となる。

のだが、最近……いやここ数年の黄昏新聞の様相は変わっている。

「ねぇ、前々から言おうと思ってたんだけど」
「ん?なんですか?」
「黄昏新聞というより有栖川櫻子新聞じゃない?」
「元々そのつもりですけど?」

一点の曇りも無い目。
やれやれと頭を抱えるが、まぁどうせ情報誌的な役割では無いし良いかとこの現状を年単位で放置して来たから何も言えない。

「私も2年になって部長業を引き継いだのでね!この度は本当に有栖川櫻子新聞にしようかと!」
「それはやめときなさい」

目の前の彼女は中等部の頃に黄昏新聞の大見出しを度々任されるようになってから本日の有栖川櫻子コーナーと有栖川櫻子川柳、大見出しに有栖川櫻子が8-9割の確率で載っている、その他にも有栖川櫻子に関する特集をこれでもかと盛り込んで作り続けている。
しかもほぼ週一で。
もう有栖川櫻子新聞を名乗って良いんじゃないか?という気持ちはあるけど、私は最後の砦として学校新聞のていを保たなければならない。

「アンタ、本当に好きだよね 有栖川櫻子のこと」
「そうですとも!だって櫻子様は私のミューズですからね!」

ふんふんと鼻息を荒くして話す。
彼女とは初等部の頃から一緒だったが、最初から櫻子様!ってうるさく言ってた気がする。
私はそこまでだからよく知らないけど、なんか櫻子様のファンクラブに入った!とか言ったりしていた。
既に作っている人がいるっていうことは、今の黄昏新聞もコアなファンがいる可能性もあるって事だ。
ていうかファンクラブあるならそっちで作れば良くない?有栖川櫻子新聞。

でも何だかんだ私はこの子に甘いから、楽しそうならいっかって好きにさせちゃうんだよね。

私は頬杖を付きながらもう何度目かの有栖川櫻子語りを頷きながら聞いた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?