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【間宮ひまりSS-7】 バナナフラペチーノ

授業の終わりのチャイムが鳴る。
チャイムが鳴るや否や部活へ走って向かう人、バイトへ向かう人、しばらく席から立つ様子もなくただ無意味に駄弁っている人、思い思いに放課後を過ごしている。

今日は特に依頼も受けていない。
そのまま帰ろうと私は席を立つ。

「エーウち!あーそーぼー!」
「うわ」

目前にまるで通せんぼするかのように仁王立ちしているのは同じクラスの間宮ひまり。
私は彼女を見て顔を歪めた。

「わー!うわとか言った!アタシ傷付きました〜!」

そう言い彼女は大袈裟によよよ、と泣き真似をする。

「は?勝手に傷付いてたらいいんじゃないですか?」

鞄を持って教室の外へ向かおうとする。
しかし悉くその動きはブロックされる。
私は溜息をついた。

「エウちさす塩!そういうとこがエウちの良いとこなんだよな〜」
「日本語話してください」
「ところでさ、スタバの新作飲みに行かないー?アタシ従業員割引使えるからさ!」
「なんで私なんですか?私じゃなくてもよくないですか」

再度、この場からの脱出を試みる。

「善は急げ!」
「ちょ、引っ張らないでください」

当たり前のようにその動きはブロックされる。
そのまま身体を引っ張られる。
抵抗するも全くビクともしない。
私は諦めて彼女にずるずると引きずられていった。

​───────

「これこれ!バナナフラぺ!」
「はぁ」
「アーモンドミルクにしてさ、キャラメルソース追加したらめちゃウマだから試してみ〜!」
「はぁ、そうですか」

勧められるがままオススメされた新作のフラペチーノのカスタムで注文する。
テーブル席のソファー側に座り、フラペチーノを一口飲む。

「どうどう!?美味しい!?」
「甘いですね」
「食レポ雑〜!」
「は?喧嘩売ってるんですか?」
「別にー?アタシはその食レポ割と好きだよ!」
「はぁ、そうですか」

フラペチーノをもう一口飲む。
やっぱり甘い。

「エウちはさーバナナ好き?」
「さぁ、どうなんでしょうね」
「いけず〜!アタシは好きだよ!あ、でもパイナップルとかのが好き」

あとキウイとかレモンとか、と聞いてもいないのに話続ける。

「どうでもいいですけど」
「あはは!だよね!」

何が面白いのか彼女はバカみたいに笑う。

「アタシさ〜エウちのそういうとこ好きなんだよね」

ふっと、目を細めて頬杖をつく。

「アタシにあんまり興味無いとこ?っていうか?」

「ふーん」
私はもう一口フラペチーノを飲む。甘い。

「じゃあ嫌がらせで質問攻めでもしましょうか」
「なになに!?答えれることならなんでも答えちゃう!!」
「間に受けないでください 興味無いです」

騒がしい彼女を軽くあしらいながら、私はまたフラペチーノに口をつけた。

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