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創作模型のこと1

TRPGの話で創作世界まで作ったと書いたのですが、その世界観を使い模型を作ってみてはどうか試してみた。
というのが今回の話の元です。

スケールアヴィエーションで連載されていた「飛ぶ理由」に感化され、自分も不思議な世界観の模型で作ったことのない「大きな空飛ぶもの」を題材にしてみたい。きっかけはできたのに何をどう空へ飛ばすのかサッパリ浮かばず、物語でもあれば想像しやすいかも?と色々考えるうち、得意なファンタジー系→鉄が飛ばない時代→無理矢理飛ばすなら禁忌の技術→あっ!そうだ自分の世界設定使えばもっと想像しやすい。こう思いつき作業を始めました。

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私の模型ネタは突然降ってくる時とそれなりに考えてから煮詰めるの2通りです。今回の件は後者、考えると言っても上記の通りかなり大まかで続かなくなる事も多々あります、イメージ図まで描ければ完成率が上がります。逆に物語を凝りすぎて完成しない事もあります、作品の世界観へ入りやすいようにして後は見た方の想像力にお任せのスタイルが好きなのですが、その入口と玄関の広さを決めることが模型作業よりも難しい気がします。
いくつか創作世界を模型の材料に加えてみて感じた事ですが、自分が神なので気が楽です。僕の宇宙では音が聞こえる…あれと同じ様なイメージでしょうか、ビキニアーマー着てたってイイじゃないとか。大層な人物でも仕事でもありませんから、それこそ模型は自由を謳歌しています。
私が創作模型の面白みを一番に感じる部分は、架空の物を現実に存在するかの様に考えて作りそれを見てくれた方の感想や想像したことが聞ける事。それは世界に住まう者が伝えてくれる物語の続きの様に感じるからかもしれません。

初めて創作世界を利用して完成したのが今回題材にした模型、データが無く作品カードの写真をメイン画像に。ブログに載せた文章を更に読みやすいよう修正した物語の入口。
「創作世界フロワーズテンドの歴史の一幕」まずはご覧ください。

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【幻操艇ラディオック】

その世界には広大な陸地が二つ。住まう者達の起源から続く歴史あるクヴァンヴィノス大陸と、そこから旅立った者達が発見、移住し先住民より知見した歴史浅きネシウス大陸。
剣と魔法が主流の世、ある一つの強大な国が突然滅んだが原因不明との報に震撼する人々。その事件からゆっくり狂いだす時代の流れの一幕。

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「転移術は双方の合意が必要だ、使えぬ。他に何かないか?」
「大人数の兵が一度に大陸を出るならば船で良いではありませんか。」
「船の移動でも遅すぎる、さらに向こうの守人に見つかる訳にはいかないのだよ。」
「船は偽装すれば宜しいかと。しかし時の問題については…。」
「巨鳥を使ったとて数名が精一杯、竜族ならまだしも…」
「確かに意思通ずる竜なら全ての悩みを払うだろう。しかし奴等はかなり聡い、我等の作戦を勘付かれ逆に焼かれてしまう。」
「では船を空へ浮かべるなら如何か?」
視線は声の方へ一斉に向けられた。

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夕暮れ時、急に暗くなった空に船のような紅い物が不気味に浮かんでいた。
静かに留まるそれを農作業の後片付けする手を止めじっと見上げる人々。
まるで止まった時間を動かすように船底に描かれた簡易転移の魔法陣が輝き出し、多くの兵士と召喚士が次々に大地を踏みしめ、戸惑い逃げる者も歯向かう者も関係なく淡々と葬り出したのである。
空に現れた船は「新たな大地」と呼ばれし大陸より飛び立ち、強大な国のあった「古の大地」と呼ばれる遠く離れた大陸までの距離を、創り上げ実際に利用した本人達ですら驚きを隠せない程の時間で越えたのだ。

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鉄鎧の重い船体が飛ぶために使われたのは、巨鳥ラディオックの脳と巨大な魔力増幅水晶からなる特殊な機関。
巨鳥の「大空を羽ばたいた記憶」を永久的に再生、その記憶は魔力と混ざり増幅され船体を空へと浮かばせ大空を自由に進むのである。
左右の盾に配置された魔法陣はこの機関の魔力に反応し攻撃するであろう竜族のみに対し、その力と姿を隠すため。
全ては悪魔の知恵、禁忌の力により造られた。

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真意を知らない職人達は、翼や船体へ大空羽ばたく夢と願いを込め国の為に一流の腕を振るう。
それは巨鳥の記憶と重なりさらに完璧な物と成り、奇しくも禁忌の力は完全に隠されそれを察知し排除する筈の竜の目には自由に飛び交う柔らかな羽毛しか映らない。
空を地を紅く染め船は再び進む、恐れる国はすでに亡く目指すは大陸の中枢を担う古き国のみ。

禁を犯し魔と契約した者達が造りし幻惑の飛空艇の話である。

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…ジオラマベースにしてみようと初めて作ったものが台座に、塗りはともかく今ならもうちょっとしっかり作れそうですが直す気はなし。
魔方陣のデカールは白が平米屋さんの、黒がプラスチックチャンバーさんの冊子を購入したときに付いていたものです。白は一般的に使われる魔法、黒は禁忌といった意味合いを持たせています。水晶は本物なので瞬着効きにくかった思い出、巨鳥のお脳はパテでそれっぽい色で塗ってあります。
書かれた以上に竜の設定など物語は細かいのですが、あくまで作品の入口なのでこのくらいが妥当かと。この先どうなるのかは見た人の想像にお任せします。

おしまい

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