私の好きな本~黒柳徹子氏『窓ぎわのトットちゃん』
先日、好きな作家紹介したところなので、作品も。
※いわさきちひろさんを彷彿させる、イラストですね。
小学校高学年の頃読んだとき印象だったことは。
電車の教室。好きな教科から学んでいい授業。海のものと山のもののお弁当。近づいてくる戦争の足音。
憧れる楽しい学校生活。それでも、戦争が子どもを巻き込んでいく情勢が、子ども心に怖いなと思いました。
大人になって母になって、また読み返しました。新たな発見がありました。
トットちゃんが型に入らない子どもで、お母さんが困っていたこと。信じられないけど、公立小学校を退学(戦前の話)になって、藁にすがる思いでトモエ学園を選んだこと。
そして、トットちゃんが薄々、周囲の大人の冷ややかな視線を感じていたこと(基本的には、陽気な性格だけど)。
トットちゃんが小学生のとき(戦前)も、この作品が発刊されたとき(1980年代前半)も、「発達障害」という言葉はありませんでした。
この本が世界的なベストセラーになったのは、懐かしくなる子どもの頃の描写と、子どもの目を通した戦争の描写があるからかなと、長い間思っていました。
それだけじゃないかもと、最近思いました。
発刊当時から、生き辛さを感じている人が世界中にいて。でも、その原因が何かをはっきりわかる人はいなかった。だから、トットちゃんの大らかな生き方を読んで、勇気づけられたのかなと思います。
そう考えると、校長先生がトットちゃんに何度も伝えた、「君は、本当は、いい子なんだよ」という言葉に、重みを感じます。
こんな学校、今こそ必要なのに、と思いました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?