花瓶

ざらついた手触り
取り立てた絵柄もなく
実は少し罅が入ってすらいる

嫌で嫌で
いっそ叩き割ってしまいたかったけれど
花を挿し、毎日水を替えていたら

みんなほめてくれた
貶し、見下す人は
一人としてなかった

ひっそりと
美しい花の影に隠れている
この器が今は好きだ