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生まれてから失明するまでの記憶を、忘れないよう記録として書き留めました。
記憶に基づいた記述のため不正確な箇所や不鮮明な箇所があるかも知れませんが、一人の人間の生きた痕跡として、…
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#非常事態
非常事態(僕が失明するまでの記憶 16)
第2章 1990
卒業式の2日語、週明け月曜日の夜だった。アニメ(柔道の天才美少女が活躍する話だ)を見終えた後、トイレに行って電灯をつけても部屋が明るくならないことに気付いた。天井を見上げたが、電球に異常はない。問題は電球ではなく、自分の右目にあった。視野の左上に暗い影が差し、それが本来見えるべき世界を歪ませているのだった。
4年前の夏の記憶が脳裏を過る。突如として視界を覆った不吉な影。左