経験して学ぶ:「理論的に正しい起業」

今週も『理論的に正しい起業』ってテーマで話していこうと思います。

今日のテーマは、前回話したバラエティシーキングっていう消費者行動も考慮しながら、どういう商売やろうか、どんな商材を選ぶかを考えてみようかなと。前回しゃべった「バラエティーシーキング型」ってのは関与が低くてブランド間知覚差異が大きいやつ。具体的に言うと今日のお弁当とかシャンプーとか。たまにはキッチンカーで買ってみようかなとか、ちょっとこの見たことないシャンプー使ってみようかなとかね。宿泊施設もそうだね。
で、じゃあそれらって等しく起業向きなのかっていうとそうでもない。

財・サービスの分類

扱う商材の分類の仕方ってのがマーケティング的にいくつかあるんだけど、「最寄品(もよりひん)」とか「買回品(かいまわりひん)」ってのがある。

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00863/00003/
  • 最寄品:最寄りの店で購入する商品。500mlペットボトルの飲み物とか。すぐに消費して無くなるようなものが多い。

  • 買回品:いくつかの店を回って比較検討するような商品。形があってしばらく残るものが多い。

なにを目的に起業するかにもよるけど、自分自身の経営手腕とかセンスとかに自信があるなら最寄り品は面白くないよね。立地でほぼ決まるし。自販機ビジネスとかあるけどね。まぁアパート経営とかに手を出すんだったら自販機ビジネスのほうを勧めたいね。逆に、いい場所を持っているなら買い回り品はやめた方がいいよね。地の利を活かせない。本屋とか今まさにこの状態だよね。本の種類が多すぎて自分の読みたい本が最寄りの本屋に無い。みんなが同じ雑誌を読んでいる時代は良かった。最寄りの本屋でどこにでも売っている本を買うだけだったから。

信頼財、経験財、探索財

別の分類の仕方としては信頼財、経験財、探索財っていう分類もあるね。

https://145magazine.jp/retail/2021/08/reasons-why-you-can-see-ideas-for-new-businesses-if-you-grasp-the-ec-conversion-rate/
  • 経験財:購入して使用した後で初めて品質を評価できる商品やサービス。評価ポイントがわかりやすい。自分が気に入ったかどうかがメイン。

  • 信頼財:購入して使用した後でも品質の評価が難しい商品やサービス。そもそも比較が難しい。例えば手術。ほかのお医者さんがやってればー、と思ったところで専門的な知識もなければ実際に比較することも困難。

  • 探索財:購入前に品質や性能を容易に評価できる商品やサービス。製品の仕様が明確で、事前の調査で内容や特徴を理解できるもの。PCに搭載されているCPUとか。

探索財ってのは購入前の問題だから買い回り品に近いね。購入後の違いという点で信頼財と経験財に分けられるってのがポイント。評価がなんともしづらい信頼財として、医者の例を出したけど、これって本当によくわからないよね。たいしたことない風邪程度なら最寄り品として一番近くの病院に行くし、なんか大変な手術とかならよほどのことがない限り適当なところを選ばないよね。だから、信頼財を扱うビジネスをいきなり始めるのは大変。選ばれるのに時間がかかるんだ。高級品であればあるほどそう。これに対して、経験材は実際に使ってみて初めて品質がわかるもの。たとえば食べ物なんかがそうで、食べてみて美味しいと思ってもらえれば、次も買ってもらいやすいんだ。起業するなら、この経験材ってすごくいいと思うんだよね。なぜかっていうと、失敗から学びやすいから。何が良くて何が悪いかがはっきりわかるから、次の改善に活かしやすいんだ。

信頼財はねぇ、どこを改善していいかわかりづらいよね。そもそもね、信頼財ってのは最初から売ろうとしても無理。知らん人から家とか車とか買わないじゃん。経営コンサルもそうでその辺のよくわからない人に頼まないじゃん。定石として手軽な価格の経験財を通じてその信頼性を高めないといけない。経営コンサルならセミナーやるとかね。士業で独立とか、経営コンサルとかキャリアコーチとかFPとかさ、起業のネタはいろいろあるけど、それでも自分のビジネスを「経験財のビジネス」として定義できないとダメね。指導しました、はい終わりではよくない。クライアントが良かった良くなかったを評価できるレベルのサービスを売らないといけない。

起業するなら経験財

起業する際は、経験財が学びやすいという点でおすすめかな。っていうか経験財でないといけない。いやいや自分はプロフェッショナルワークなんで信頼財っすって言っても、まずは経験財を売るというスタンスで定義しなおした方がいい。FPなら保険が売れたかどうかではなくて、説明に満足できたかどうか、人と話すことによって課題が明確になったかどうか、30分なり1時間の面談にお金を払えるレベルで満足したかどうかってのを考えたいよね。車ディーラーとかもそう。結局車は買わなかったとしても、商品説明というサービスを利用してもらった結果はどうだったかを考えたいね。いやいやお金もらってももうこの人から説明受けるの嫌ですぅみたなものあるだろうからね。「経験財として定義しなおす」ことで顧客からのフィードバックを得やすく、改善に繋げやすいからね。

逆にね、一般的には経験財と思われているもの、例えば食べ物でもフィードバックを得られないのならダメだね。スキー場のカレーなんかがそうで、お客さんはもう選択肢がないからそこでカレー食べるけど、食べればまずいのはわかるんだけど、まずくても別に文句を言わない。だってスキーに来てるだけなんだから。そんな適当なカレーを出している従業員も働いていて面白くない。仕事意欲にかかわる5つの特性ってのがあるんだけどそのうちの一つが「フィードバック」ね。(内発的動機付け理論、職務特性モデル)

星野リゾートのカレー

で、星野リゾートは「カレーがおいしくなかったら返金します」ってのをやったことがあって、これで従業員の意識が上がったってのがあるのよ。スキー場の食堂なんて場所だけでそれなりには売れそうなものでさ、たとえまずいとか不満があったとしてもそれらの失敗なんて見えないわけよ。食堂の客が少なければスキー場が悪いんじゃないかとか言っちゃったりね。その「失敗」をわざわざ見えるようにしたってのがすごいよね。(↓参考記事)

PDCAを回すのはやっぱりビジネスの基本だよね。新しく何かを始めてすべてうまくいくなんてことはまずないから。

Youtuberなんてまさにバラエティーシーキング型で経験財だよね。コンテンツ作成業としてね。Youtube見る人はとりえあず面白そうなものをつまみ食いしていくし、高評価ボタンがあるから面白かったかどうかなんてすぐわかるし。ユーザーの反応もちゃんと調べられるしわかりやすいよね。ヒカキンだって最初はボイパでしょ?ボイパで伸び悩んでいろいろやっていろいろ改善した結果が今じゃない?やって、失敗して、学んで、またやってみる、これって本当に重要だよね。起業するならそれができる環境を作らないといけない。その点、Youtuberはいい環境がそろってる。おもしろければチャンネル登録もするだろうしさ。シェアもしちゃうよね。まぁそのためにはまずそもそも見てもらうことから始めないといけなんだけどさ。それはまた次回に。

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