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あの人は原初生命体に戻ったのです

Oct 1, 2005(楽天blogより)

「あの人は原初生命体にもどったのです」

日曜日と火曜日に参加しているOさんの演奏会に行きました。
「宮田蝶子と東京マンドリン宮田楽団」のコンサートです。
小柄なOさんを舞台に見つけて、彼女の辛くて苦しい年月を
おもいました。


Oさんの夫が他界されたのを知らされたのは
何もかも終わってからでした。
「あの人が死んだとはおもえません、
 あの人はまだ生きています・・・」小さな声でした。

Oさんの夫は、中国で強行スケジュールの仕事中倒れました。
脳溢血でした。

中国の病院ヘ駆けつけたその時から、自宅で夫と共に暮らせるようになりたい、というOさんの望みを捨てない姿勢は、
圧倒されるような力がありました。
他から見て全く無反応としか思えないような状態をOさんは
「あの人は原初生命体にもどったのです」と言い切りました。

もう諦めてもいいんだよ、と言う夫の血縁の慰めにも

「あの人のからだの中は動いています。
 ほら、手を握ればほんの少しだけど握り返してくるでしょ」

と全く信じて疑わない強い気持ちに
誰もが黙って見守るだけでした。

そしてOさんの夫は少しづつ少しづつ回復して行きました。

「野口体操をやって来たからあの人と交流ができたのです。
 信じられたのも、あの人のからだの中身を見てきたから、
 あの人に語り掛け続けられたのも、体操で『対話の動き』を 
 やってきたからです。
 それがなかったら、あの状態の主人にはどうしたらいいか
 分からなかったでしょうね」

…過分なことばを頂きました。

「本当はわたし、大ざっぱで乱暴なんです、野口体操をやって 
 気がついたんです。
 これから寝たきりの主人と楽しくやっていきます。
 なんとか体操に行ける間ぐらい
 主人に待っていてもらえるようになる迄に」

Oさんは夫の死から立ち直ろうと、
結婚前にやっていたマンドリンをもう一度持ちました。
あるいは、何かしないではいられなかったのかもしれません。



「私は、生きるということの中で自分自身の
 『まるごと全体』がオパーリンの『生命の起源』における
 『コアセルベート』の未分化・全体性のあり方
 そっくりそのまま、かさなりあい解けあってしまうのを
 実感するのである。
 私は、この状態を 原初生命体 と呼んでいる」
                (野口三千三)


※詳しくお知りになりたい方は、
リンク先の野口体操教室のホームページへどうぞ。
野口体操教室やDVDなどをご案内しています。

*2023年9月現在、火曜クラスのみです。

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