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暑さ寒さも彼岸まで

今年も『お彼岸』がやって来た。

地球温暖化により、この季語は『死語』になるかも、と危惧していたが、今年は突然『秋』がやって来た。

一昨日、実家に向かった。

最近の母は、歩くこともさえままならないゆえ、一人で墓を訪れる。

南無妙法蓮華経なむみょうほうれんげきょう ... 日蓮宗のお題目だ。
蛇足ながら『彼岸』について。

常に変化し苦しみ多いこの世界を此岸しがんというのに対し、対極にある苦しみを離れた平安な世界を彼岸ひがんという。
煩悩ぼんのうを離れて、悟りの境地に至ろうとする仏教思想と、日本の伝統的な先祖供養の信仰が結びついて、祖先の霊を供養する行事となった。

出典:日蓮宗

お墓に手を合わせ、心の中の “弟子でしのぼる” が、こう唱えた。

「とても大好きだったお婆ちゃん。ありがとう。」

「とても厳しく子煩悩こぼんのうだった親父オヤジ。俺はまだ生きていくよ。」

「とても尊敬していた兄ちゃん。何でそんなに苦しみを抱え、死んだんだ。」


普段は外出できない母を連れ出し、静岡名物 “鐘庵しょうあん” で、お昼を済ませた。

帰途の車中、“弟子のぼる” が、こう叫んだ。

俺は、この世の修行がたくさん残ってるで、まだ死なねえよ!

富士の山は、相変わらず平穏無事だ。

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