見出し画像

【座右 #2】天風哲学を学ぶ

誰にでも「座右の書」と言えるものがあります。

しかし、
なかなか人に言いづらい、
なかなか一冊を選べない、のではないでしょうか…

この方の名前を出すのは100年早い!と言われそうですが、
あえて一冊となれば、中村天風(なかむらてんぷう)氏の『運命を拓く』を挙げさせていただきます。

まずは、氏のプロフィールを。

■中村天風

本名:中村三郎、明治9年東京に生まれ、波乱万丈の92年の人生を送る。
旧日本軍の中国における情報活動(スパイ活動)などを経験したのち、結核の重い病気に罹り、苦しみの中からヨガ行者と出会い、インドの奥地で悟りを得る。
その後、アメリカに渡りコロンビア大学医学部を卒業。帰国後、横浜銀行の頭取となるが、それを惜しげもなく辞め、財団法人天風会を設立。
心身統一法※」と呼ばれる、心と身体の健康法の普及に邁進し、多くの有能な人材を育成した。(東郷平八郎、松下幸之助、稲盛和夫、など)

※心身統一法
「天風哲学」と呼ばれる宇宙観、生命観、人生観を背景に「いのちの力」を充分に発揮するための理論と実践。
心の態度を積極的にし、体の状態を健全に保つことで、健康で幸福な人生を堂々と歩むことを目的とする。

■天風哲学

氏の哲学を体系的に解説することは非常に困難(←いきなり挫折するな!)ですが、それでも20年余りの間、折に触れて熟読を重ね、私なりに理解を深めて参りました。
そして、たどり着いたのは『真我(しんが)』というキーワードの理解だと気づき、イラストを制作して(これなら得意♡)、皆様にご紹介いたします。

■真我とは

まず最初に「身体」と「」について考えます。

身体は様々な情報を「刺激」として脳に送り、それを受けて脳は身体へ命令を発信します。
コンピュータに例えれば、
身体マウスキーボードのような存在。
CPU(中央処理装置)に相当します。

画像1

次に「」と「」について考えてみます。

いきなり「心」って何?という、ツッコミが入りそうですね。
ここでは、OS(基本ソフトウェア)と解釈しましょう。

OS】設計時に装備した機能と、バージョンアップで拡張した機能で構成される。
】持って生まれた気質と、経験の積み重ねで獲得する性格で形成される。

心は、脳で解析された情報をもとに、様々な感情を起こし、それが脳へフィードバックされ身体を動かし、行動へと向かいます。

画像2

コンピュータの場合、『意思を持ったもの』がOSを操作することにより、初めてその役割を果たします。
人間の場合も、心だけで全てをコントロールできれば、その『上位の存在』は必要ないですね。

では「」は、何がコントロールしているのでしょう?

画像3

天風哲学では、この存在を『真我』と呼びます。

身体は、のために。
は、のために。
は、真我(本当の自分)のために。

この構造が形成されることにより心身統一が実現する、と説いています。

フムフム…
では、その真我を身につけるには、どうしたら良いでしょう。

■人生は心一つの置き所

氏は、著書の中で「人生は心一つの置き所」という言葉を随所に使っています。
不運は誰にでも、しかも突然にやってきます。例外はありません。
しかし、その状況をどのように捉えるか、「もうだめだ~」と思うのか、「よし!今が踏ん張りどころだ!」と思うか...

私は、10代の頃から様々な病気に罹り、長い間、皆から遅れを取ってしまい、「なんで自分ばかり、こんな目に遭わなければならないんだ!」と、周りに当たってばかり。どうしようも無い人間でした。

30代の頃、ある上司から一冊の本を渡されました。
「この本を100回読め。100回だぞ。」

中村てんふう? 運命をたく

「バカ野郎! 中村てんぷうだ。運命をひらくって読むんだ!」

必死に読みました。
何たって、毎週の朝礼後に「いま何回目だ?」って聞いてくるんですから...

80回を数えた頃、その上司は癌で入院してしまいました。
膵臓(すいぞう)癌で、既に末期症状。
無理を言って面会をお願いしたところ、5分程度なら、と言うことで病床に向かいました。

何て声を掛けたら良いのだろう。天風氏なら、何て言うだろう ...
そこで、思いつきました。
そうだ、この言葉だ。

「先輩、元気ですか?

 彼は答えました。

「おまえ、強くなったな ... 」

■力の結晶

ほどなくして、上司は他界。

ここで、著書の一部を引用します。

たとえ人生にどんなことがあっても、自分は力の結晶だ、という正しい悟りで健康上の問題や運命上の問題を乗り越えていかなければならない。
この悟りが始終心の中に満ち満ちていれば、いつも元気一杯な状態で人生を活きていくことができる。日頃私が「元気か」というのはこれである。
   ----- 中略 -----
とにかく、元気はつらつたる状態で活きることこそ、最も必要かつ大事なのであるから、心の置き所を常に積極的にするために「自分は力だ」ということを、断じて忘れてはいけない。

「ポジティブ思考」を指南する書籍は数知れず、しかし、天風哲学の核心とも言うべき「力の結晶」は、他を寄せつけない圧倒的な力をもって読者を導きます。

結局、100回読み終わったのは、つい最近のこと。

事あるごとに、時あるごとに、自分を見失わないために、氏が唱える誦句(しょうく)を記して、締めくくりといたします。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。m( _ _ )m

力の誦句
私は、力だ。
力の結晶だ。
何ものにも打克つ力の結晶だ。
だから何ものにも負けないのだ。
病にも、運命にも、
否、あらゆるすべてのものに
打克つ力だ。
そうだ!
強い、強い、力の結晶だ。

<参考>
運命を拓く〔ブックレビュー〕
中村天風財団

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?