大川直人写真展
DISK-Over Session ol.2
『ロックンロールにシャッターを押した男
~カメラマン大川直人、作品と時代を語る』
現在開催中の「大川直人写真展」音楽の仕事40年の奇跡
こちらに先駆けてのトークセッション。
司会進行は、音楽評論家のスージー鈴木。そして大川直人氏が一番最初に撮影されたバンド「UGUISU」のギタリスト:佐橋佳幸。という豪華なセッション。
会場はプレオープン中の南青山のBAROOM。
スージー鈴木の氏の著作「EPICソニーとその時代」のサブタイトルは「80年代と書いてEPICソニーと読む」というようにこの時代のジャケット写真の多くを撮影してきた写真家・大川直人氏の話聞ける貴重な機会。
冷たい雨の降る中、南青山へ。
開場前に到着。中には佐橋さんのギターが見えていた。
ゲスト・ギタリストの佐橋佳幸氏。今では家族写真を撮影してもらっているというほどの親交があるという話から和やかにスタート。
80年代、90年代を音楽とともに過ごしてきた方なら一度は目にしたことのあるジャケットの中に、大川氏の作品はあると思う。
1985年渡辺美里のデビューアルバム「eyes」。こちらは2016年に行われた「名盤ライブ」で配布されたブックレット。この中にも大川氏のコメントがある。
「そのヘアメイクをやっているときに、
みさっちゃんと話してないで別のことをやっていれば、
このカットを撮ることにはなってないかもしれないですね」
とある。
今のようにアートディレクションなどがなかった時代。カメラマンと被写体であるミュージシャンが話をしながらカットを決めていったというものだった。
この写真はスタジオ恵比寿の7スタで撮影された写真と撮影したスタジオまで覚えていた。渡辺美里は目が印象的だったという。そしてこの写真をきっかけに多くの仕事をすることになる。
大川さんの写真に一つの特徴がある。
それは被写体の目。
目に注目すると白く何かが写っている。これはライトを当てるための「傘」が写り込んでいるというもの。
展示会に出品されるドリカムの写真はデビュー1年前。バイトの人が連れてきてテスト撮影を行った時のもの。当時から吉田美和は輝いていた。大江千里「未成年」の頃からライトが変わったという話。
当時はフィルムカメラだったため、当時はポラロイドで撮影をし、現物をみんなで確認し撮影を続けたというものだった。
フィルムカメラからデジタルへの移行はかなり早かったという。カラープリントが流行ったため約10年間、撮影後、フィルムの現像のためにこもる生活となり、その作業は体に悪影響があることからデジタルへの移行を早期に行ったという。当時、キャノンの営業さんがついてくるというほど移行が早かったと。
そしてフィルム時代はカラーフィルムは現場での確認に使用するため、カメラマンにはモノクロのフィルムしか戻ってこなかった。
そして今回の写真展は、コロナ禍で仕事がストップしたことによって、倉庫に眠っていた膨大なフィルムから再セレクトした作品を自らがアーティストに許可を取り開催されるという本当に貴重な機会である。
多くの貴重な話を聞く機会となったトークセッション。
今回展示される写真は90点とのこと。入場料2000円で図録つき。
是非、写真集を!
この80年代、90年代を彩るアーティストのジャケット写真やアーティスト写真を撮影されている大川氏。是非、写真集を出版してくれないかと切に願う。
今のようにネットで検索すれば膨大な情報を目にすることができなかった時代。アーティストの情報源は電波や紙媒体。発売時期になればラジオでのプロモーション、そして多くの音楽雑誌が全てだった時代。GBやPATIPATIといった音楽誌を教科書よりも熟読するような時代だった。
大川氏の写真にはいつもどこか、アーティストが話しかけてくれているような写真とともに掲載された文を読みふけっていた。
この展覧会を機に、当時のエピソードを交え、秘蔵写真を掲載した写真集を出版してくれないだろうか?
日本の音楽文化のひとつの歴史として残してほしい。
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