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椅子のこと4(Phillippe Starck)

この椅子はフィリップ・スタルクによるMastersと呼ばれる椅子です.
スタルクといえば, イタリアポストモダンの代表的なデザイナーで, プロダクト・家具・建築など様々なものをデザインしています.
首都高から見える浅草のアサヒビールの社屋(上に金色の巨大なオブジェが載ったもの)を目にしたことがある人も多いでしょう.

フォルムはとても独特ですが, 私はフォルムよりもこの椅子のデザインの方法論ほうにすごく興味があります.
この椅子の座面は大きく3つの曲線からできています. それぞれ, サーリネンのチューリップチェア, イームズのシェルチェア, ヤコブセンのセブンチェアの3つの名作椅子の座面のシェイプだけを要素として抽出して, それらを3Dで合体・再構成しています. 巨匠たちのデザインがここで新たな形になっているという意味で, Mastersという名称になっていると思われます.

ポストモダン的な手法の極点のようなデザインだと思います. すでに存在する型(マスターズのフォルム)にデジタルで編集を加えて, 別様とでもいうべきカタチにする.
こうした先行するものに対して, どういう接続の仕方をするのかというところで, 建築家やデザイナーの立ち位置は分かれますが, 個人的には, そうした歴史に対する接ぎ木のようなデザイン手法に共感を覚えます. ちょっと座面が高いですが, FRP製で耐候性もあるので外で食事をするときに使っています.

日本のポストモダン建築は1980年代に登場していますが, その理論的な飛距離とは裏腹に, 実際にできたものは記号論的なシンボリズムや意味に終始してしまった感があり, 早急に消費され成熟しなかった印象があります. その後はポストモダンという言葉すら誤解されている感じがあり残念ですが, 私としては, 本来的な意味でのポストモダンの建築を志向していきたいと思います. その文脈でいうと, せんだいメディアテークはドミノシステムをどう乗り越えるかという点において, ポストモダン的な名作だと思います.

最近はニュースを耳にするとホント気が滅入る..
今日のロングドライブは, Kendric Lamar「DAMN.」, NAS「Illmatic」, 宇多田ヒカル「Fantome」を聴いていた. Kendric Lamar いつ聴いてもヤバい.

MARVELとかDCが好きな子どもの影響でクリストファーノーランのBATMAN The Dark Knightを観た.
今まで何となくアメコミものを観ていなかったけど, めちゃ良かった. ヒースレジャー凄すぎる.

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