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【コラム】必読!暴落対策と対応 ~2番底を観察せよ~

長く投資を続けると、暴落に見舞われる機会は避けられないものです。しかし暴落で気分が暗くなったとしても、冷静さだけは欠いてはいけません。暴落時の観察ポイントを少し知っておくだけで、パニックになって損切りや投げ売りする機会を減らすことが出来ます。今回は、その観察ポイントについてお伝えします。

A:暴落の大きさは、金額ではなく下落率で見る

はじめに、暴落でパニックに陥ってしまう一番の原因を考えてみましょう。パソコンやスマホで取り引き画面を見て、まず目に飛び込んでくるのは金額ですよね。

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暴落のインパクトは、大きく表示されたその日の数字で決まる、と言っても過言ではありません。昨日まで200~300円くらいの値幅で動いていた日経平均株価が、今日突然-1000円だったら、数字を見た瞬間「なんかヤバいかも?」と恐怖を感じませんか?人間同士の第一印象は知り合って10秒以内に決まると言いますが、その日の相場に対する印象は暴落や暴騰の数字を見てすぐに決まってしまいます。これは人間心理的に仕方のないことかもしれません。

しかし本当は、金額よりも暴落「率」で見る方が正確に状況を把握出来るのです。例えば、2020年7月31日は始値が22,267円、終値が21,710円です。金額にして557円の下落なのでインパクトが大きいと感じますが、下落率では2.82%です。大きな下落であることは間違いないのですが、この下落率なら大暴落のレベルではありません。

特に、長らく日経平均1万円台、引いては1万円未満の時代を見てきた人にとって、-557円という金額だけ見ると大事件に見えてしまうことでしょう。しかし、これは日経平均10,000円の時代に280円、15,000円の時代に420円下げることと同義なのです。数年後には日経平均は3万円には到達するでしょう(2021年初頭現在、既に3万円は越えてしまいました)。日経平均3万円なら、600円下っても下落率は2%ですから、決して大事件ではないのです。

B:一過性の下げなのか、不透明な事件なのか

大きな暴落に見舞われた時には、暴落した要因が存在しているはずです。要因が何であるかを考えることも大切ですが、要因が一過性のものなのか、しばらく尾を引く要因なのかも判断しなくてはなりません。一過性の要因で下げているだけなら、すぐに株価が戻る可能性があります。要因が透明であれば、損失の金額も見えているからです。

例えば、日経平均株価に大きな影響を及ぼしているユニクロ(ファーストリテイリング)の工場で火災が発生したとしても、火災の損失額を明らかにするのはあまり難しいことではありません。一時的な利益には影響を及ぼしますが、長期的な成長性は変わりません。大きくシナリオ変更をしなくてもよいのです。

反対に、不透明な要因の場合は下落が長引く場合が多いのです。大統領選の行方が接戦になったり、コロナのような未知のウイルスがいつ収束するか分からない場合等です。つまり株価は、不透明さが大嫌いなのです。逆に言えば、赤字決算で悪材料出尽くしの銘柄が買われるのは、不透明感が消えるからです。

C:暴落の下落目安は高値の30%

暴落の要因にもよりますが、株価が崩れた場合、目先の最大暴落目処は高値から30%と言われています。

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例えばこの銘柄、かなり長い間右肩騰がりで株価が上昇し、その後調整入りしました。マザーズ銘柄は個人投資家人気も強く、上昇も派手ですが下落する時も派手です。素人レベルの人やバクチ感覚の人、いわゆる「イナゴ」が多いので、一旦パニック売りが出ると下落が止まらなくなることが多いのです。1日で3000円以上の下落なんて恐ろしいですよね。しかし、パニックに陥る人もいれば、安く買おうと虎視眈々と買いタイミングを狙う人もいるのです。この時も30%弱の下落をした後、一旦反発して1万円台を回復しています。デイトレードでもかなり美味しいでしょう。

このように「暴落した場合、目先の下落目安は最大30%くらい」と覚えておくと、冷静に相場を観察出来るようになるでしょう。大きい下落の場合で30%くらいですが、もちろん20~25%で反転する銘柄もあります。

相場サイクルで季節が切り替わる時期にも暴落を伴う調整が発生する傾向にあります。例えば、アベノミクス金融相場から業績相場に切り替わった時の日経平均は、約16000円から約12400円に下落しました。率にして22.5%です。相場サイクル論に則って相場を観察していれば、おおまかな暴落タイミングを予想することも出来ます。予想が出来れば準備が出来るので、その時期までに資金の余力を確保しておけば良いのです。そして20%程度の暴落を見送った後から少しずつ買えば良いのです。

D:精神状態の安定

これが一番大切なことですが、暴落の際は自分の心が落ち着いているかどうかをまず確認してください。精神が落ち着かないということは、保有しているポジションが自分の力量を越えている可能性があります

例えば、投資資金が100万円のAさんとBさんがいるとします。Aさんは500円の銘柄を100株だけ、Bさんは1000株買ったとします。100円暴落して400円になってもAさんは1万円の含み損ですが、Bさんは10万円の含み損になります。10万円の含み損が気にならないなら全く問題はないのですが、この金額に不安を覚えてしまうと、今度は「もう100円下がったら20万円の損失だ」という弱気心理が働いてしまうでしょう。Bさんは、自分の力量以上に買ってしまったのです。

でも500円から100円下落すると、もう下落率は20%です。彼らが買ったのは500円の時でも、直近高値が550円だった場合はどうでしょう。先程説明した様に、30%の下落率で考えると550円×0.7=385円が下値の目安となります。400円の状態から、更にもう100円も下がることは確率的にかなり低いのです。冷静さを失わなければ、「あと15円程度で下値目安だから、400円くらいからちょっとずつ打診買いしてみるかな」と冷静になることができるはずです。あくまでもちょっとずつですよ。上手な買い方についてはこちらで説明しています。

ただし、「落ちるナイフを掴むな」とはよく言ったものです。焦らず、株価の底打ちを確認してから買っても間に合うのです。値惚れして下落途中の450円で打診買いしても、それが底値かどうかは誰にもわかりません。その後も下落が続いて400円で底打ちするかもしれません。400円で反転したとして、再上昇している途中の450円で買っても同じことなのです。だったら、400円という底が見えた状態で買った後に買う方が安心感がありますよね。

E:底打ちかな?と思ったら、そこから2週間程観察しよう ~2番底の確認~

せっかく読んで頂いているので、今回はぜひ「2番底」という言葉と考え方を覚えてみてください。今度は三菱商事の週足で見てみましょう。

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暴落して2094.5円の1番底を付けた後、9週程度を要して一旦株価を戻しました。しかしその後は再び2100円あたりまで押しています。これが2番底です。基本的に、2番底の確認とは「1番底を割れないかどうか」です。

なので、1番底を確認して「やれやれ助かった」と思うだけなら良いのですが「さぁ反撃だ!一気に買うぜ!」とはせず、少し冷静になった方が良いです。暴落した原因にもよりますが、暴落前にどれだけ順調ムードで株価が右肩上がりだったとしても、一旦暴落を挟むと多くの人は懐疑的になります。疑心暗鬼状態です。つまり、V字回復して再び直近高値をあっさり越え、新高値を目指すことは難しい。少なくともまずは暴落前の水準、三菱商事で言えば窓を開けて暴落し始めた2524円や、前回高値である3000円手前の水準を回復出来るかどうかが目先の目標になります

何故1番底を付けた後、一旦株価は押してしまうのでしょうか。答えは簡単です。安く買った人たちが利確するから売り物が出てくるのです。もし、あなたが運よく2100円くらいで安く買い増し出来ていたとしても、2400円で打診買いした人もいるし、2200円で買った人もいるのです。もちろん、もっと前から買っていた人たちもいることでしょう。落ちるナイフを掴んだ彼らは、株価が自分の買値に回復するのを待っています。つまり、株価に「しこり」が出来ている状態なのです。だから1番底で再上昇しても、どんどん高値で捕まっていた人たちの売り物が出てきます。

加えて、2100円で買い増し出来たあなたは、その買い玉を保有し続けられるでしょうか?しかも疑心暗鬼を抱えたまま、です。売り物が出てきて株価が押されたら「ちょっと含み益が出てるから、100株は手放してもいいか」と思いませんか?つまり、高値で捕まっていた人たちの売り物だけでなく、底値で買った人の短期利確の売り物も出てくるのです。

F:安心なのは2番底確認後の買い

戻り売りに押されても、1番底の株価を割れなければ問題ありません。そうすると2番底が形成され、底入れは確認となります(「W底」と言います)。これは月足で見ても日足で見ても観測出来る現象です。W底を確認した後は、少し強気に買い始めてもOKだと思います。1番底を割れるようであれば、また次に下げ止まったところを1番底として観察し直すことになります。

もし、短期目線で1番底後のリバウンドを狙うのであれば、最初の下げ止まりからおおよそ2週間くらいを待つと良いでしょう。厳密には14営業日です。銘柄のクセはそれぞれ異なるので一概には言えませんが、ある程度の目安には出来ると思います。14日程度1番底が割れなければ、目先は上昇すう可能性が高くなります

G:東証売買代金から全体の様子を観察

暴落が落ち着いた後は、市場参加者が積極的なのか様子見なのかをよく確認しましょう。その目安になるのが売買代金です。

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こんなふうに、日々の取引き売買金額が市場ごとに公開されています。目安として、東証1部市場の売買代金が2兆円を下回っていると閑散相場となります。閑散相場ではみんなが様子見の状態で、積極的な買いが入ってこない。買いで支える人がいないと、投げ売りが出ると一気に株価が暴落します。個別銘柄を見る時も出来高を見ると良いでしょう。出来高が少ないのに株価が大きく下がった銘柄はこのパターンが多いのです。

個人投資家の積極性を確認するなら、マザーズ市場の売買代金を見ると良いでしょう。

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これを見ると、2020年3月まではどれだけ酷い状態だったか、そして4月以降はどれだけ個人投資家に活気があったかがわかると思います。

まとめ

今回のポイントは、日経平均株価にも個別銘柄にも応用出来る観察視点です。ぜひ頭に入れておくと良いでしょう。暴落を体験しない投資家はいませんから、どれだけ冷静さを保てるかが非常に大切になります。

○暴落規模は金額ではなく下落率で判断する。大暴落なら直近高値から30%程度暴落する場合もある。

○暴落要因が不透明なものかどうかを意識する。不透明な要因は下落が長期化しやすい。

○安全に買うなら、2番底を確認してからが良い。1番底からリバウンドする際には、安く買った人の利確売りや高値掴みした人の損切りの売り物が出てくるため一旦押されるケースが多い。

○1番底のリバウンドを狙うなら、まずは14営業日の期間観察を行う。14営業日の間に底割れしないことで、一応1番底に目途を付けることも出来る。

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