起て、万国のインテリよ!       森 下 泰 1955年度会報

起て、万国のインテリよ!
                    森 下  泰  1955年度会報

 「起て、万国の労働者」という標語を、度々吾々は耳にしてきた。同様に、「起て、万国のインテリよ」と昂然と世界に呼びかけようではないか。それは、JC運動の、歴史的な社会的な然も本質的な、存在意義にかかわる重大な問題である。
 インテリとは、単なる知識を指すものではなく、況や学校出と言う様な愚かしい概念といささかの関連もない。客観的思考と認識とそして志向(ゾルレン)を自立的に具うる者、インテリゲンツィアの定義をここに置くとすねならば、JCメンバーとそしてJC運動は、今日何程かの反省と決意を持つ必要がありはしまいか。
 二十世紀の前半、確かにインテリは青白く無力であった。その故にこそ、熄むいとまもない民族の殺戮、再度にわたる世界大戦、そして遂には原子爆弾の悲劇を、吾々は身を以て味わった。翻って、昨年来身辺にかしましい諸々の選挙に於て、インテリの諸君、否、JCの諸君は果たしてどれだけの積極的な努力をはらわれたであろうか。
 最も普遍的にして妥当な、そして又、当然にヒューマニスティックな、認識と希望がこの日本とそして世界を力強く覆いつくすこと、それ以外に、真の平和と幸いをもたらすものはありえない。次の世代を背負う、などと言う空疎な言葉に安逸の夢をむさぼる時は既に去った。闘いは最早眼の前にあり、寧ろ今にして時を逸せんか悲劇は決定的なものとなるであろう。
 指導的な青年、と誇称するならば、それに値する自覚と努力を吾々は涵養し発揚しようではないか。世界に根をはったJCメンバーの絆は、はかり難く大きい可能性を持っている。そしてこの可能性を適切に実現し得ないとするならば、それ程に重大な過失は他にありえない。


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