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Tinderで「日記」と名乗り、100人の男に日記を送って、日記本をつくりました

2022年12月開催の日記祭にあわせて、制作したZINE『ティンダー・レモンケーキ・エフェクト』ですが、2023年秋頃タバブックスより商業出版予定です!(2023年8月追記)

わたしはTinderで「日記」と名乗っています。その名の通り、Tinderで日記を送る者です。もっとも気軽で、もっとも軽薄なマッチングアプリとされるTinderで日記を送り続け、それをまとめて日記本にしました。

そして、下北沢のBONUS TRACKにある「日記屋月日」主催で開催される「第2回日記祭」に【Tinder上で「日記」と名乗る者】として出店し、日記本『ティンダー・レモンケーキ・エフェクト』として販売します。

・・・・・。

ちょっと唐突すぎたので、本について、少し説明させてください。
興味があれば、読んでみてください。

天竜川ナコンの新作が公開された日の日記

日記本『ティンダー・レモンケーキ・エフェクト』

上記にもあるように、基本的にはTinder上で送った日記をまとめた本(ZINE)をつくりました。でも、この日記本はただの日記本ではありません。日記を送る中で、ひとりの男性に恋をしてしまい、(なんと?)その男性の日記も載ったリアル恋愛ドキュメント的な側面を持つ日記本です。おおよそ2022年2月から10月までの日記を収録しています。

ちなみにティンダー・レモンケーキ・エフェクトというへんな耳ごこちの単語が並んでいますが、これは本を読んでいただけると、タイトルの意味がわかります。

この先は、この本ができるまでの話をちょっと詳しく書きます。
テンション的に「です・ます調」から「だ・である調」に変わります。
だって、なんか、そう書いちゃったので。

Tinderで日記を送りはじめたきっかけ

Tinderで「日記」という名前でアカウントをつくり、プロフィール文に「日記を送ります。日記を送ってください。」とだけ書いて、マッチした男性たちに日記を送るようになったのが、2022年2月のことだった。

その名前で登録したときのことをあまりよく覚えていないのだけど、なんとなく暇つぶしに、でもただTinderやるには、ヤリモクも多くてだるいから、もっと違うやり方で、人間とコミュニケーションしたかった。

もちろん、こんなふうにTinderを使いはじめるのだから、わたしはもうTinderを何周かしている。怖いことに巻き込まれたことはないけれど、まあそれなりに。

「日記を書く」人格として、Tinderをやろうと思ったのは、「ふつうに」Tinderを使っていたとき、「日記を交換しませんか?」と提案してくれた男の子がいたからだった。このことについては、いちばん最初の日記に書いた。

2/2(水)
むかしTinderで日記を交換しませんかと言われて日記を交換していた時期がある。知らない人の日常、仕事がだるいとかどんな料理をしたとか、趣味や友人から言われたことなど、そういうだれかに読まれるはずのなかった日々を読みあうのがたのしかった。人と会話を続けるのは疲れるけれど、自分のことを好き勝手に言ってる分には楽だし、相手も好きに書いているのがうれしかった。相手の根明のメンタリティを見てると、自分がいかに根暗でマイナス思考かが思い知らされ、そんなに思い悩まなくてもいいのかもと、勝手に自分で気づいたりもした。その人とはもう日記を交換しなくなってしまったけど、そのことを思い出してTinderで日記を交換する人を探すことにした。

その男の子とは、一度だけ会ったけれど、ある日マッチが解除されていて、日記を交換することはなくなった。できれば「日記を書くきっかけをくれてありがとう」と言いたいけれど、それは叶わない。もしなにかの拍子で彼に再会できたらとずっと思っている。

調子に乗って、日記を本にしたくなった

こうして、ほとんど毎日Tinderで日記を送るようになった。日記は最大で100人ほど同時に送っていたこともある(累計で何人なのかはもはやわからない)。30分ほどで日記を書き終えて、日記を送るのに20分かかっていた。毎日Tinder日記に1時間かけていた。正気の沙汰とは思えない。

日記を送る相手は、自分ルールがあって「日記に関して問う人」または「日記を送ってくれた人」だけに日記を送っていた。やめるタイミングがないので、相手にやめてと言われるか、相手のアカウントがなくなるまで、日記が来ないとしても日記を送り続けた。正気の沙汰とは思えない(二回目)。

そんなことを続ける中で、ありがたいことに、日記を熱心に読んでくれる人や、日記に課金したい、日記を本にしないのかと言ってくれる人が出てきた。もちろん、自分としてはコミュニケーションの延長くらいの気持ちで日記をはじめたから、そんなふうにほめてもらえるなんて思ってもみなかった。そうしているうちに、日記は立派な表現のひとつなんだと思うようになった。

そんなとき、たまたま、下北沢のボーナストラックにある日記屋さん「日記屋月日」のイベント、第1回日記祭を知った。もうわたしはこの時点で日記を本にしたいと思っていたので、次の日記祭があったらぜったい出るぞ!と思っていた。今回、その願いが叶ったのだ。

「彼」との出会い

日記を交換している人と会うことに対しては、あまり積極的ではなかった。そもそも誰かに会いたくてはじめたわけではなかったし、相手のただの好奇心に付き合う気もなかった。だけど、お互いの日記を読んでいて、会いたいと思った人には会っていた。

ひとり、とても興味深い日記を送ってくれる男の子がいた。しかも、毎日、かなりの熱量で。でも言いたい。大前提として、どんな日記もおもしろい。いろんな人間が何を思って何をしてどんなふうに過ごしたのか、それをどんなふうに切り取るのか、それはその人にしか持ち得ないものだから。どんな日記も、日記を読むことはおもしろい。だけど、そういうことをもっと飛び越えて、惹きつけられてしまう人が何人かいて、そのひとりが彼だった。友達想いで熱い彼のまなざしを見ていると、なんだか元気になれた。

彼は何度かわたしも誘ってくれていたが、タイミングがなかなか合わなかった。でも、とあるきっかけで、会うことになった。会って、話して、気がついたら朝までカラオケをして、朝になって帰る彼の背中を見ていたら、「好きだ」と確信していた。その日から彼の日記がわたしの中で特別になった。

ここからの彼とのエピソードの詳細は『ティンダー・レモンケーキ・エフェクト』に譲るが、そうして、恋に落ちた。そして、いろいろあり、数ヶ月を経て、わたしの日記本をまとめようと思ったときに、彼の日記も載せたいと思った。この本自体は彼との恋愛だけが中心ではないけれど、わたしがここまで日記を続けてこれたのも彼の存在が大きく、そしてこの「Tinder上で日記を送る」という行為は彼との出会いに集約されると思った。だから、私と彼の日記本にした。

日記という性質上、かなり個人的な情報を含むので、彼の日記はわたしと関係ある記述のみとした。なので、彼の日記は、わたしと会っていた日の日記が中心で、二人の出来事をわたしと彼の日記を並べて読むことができる。そう、だからこれは恋のリアルドキュメントなのだ。

以上が、この本ができるまでの流れです。

わたしの日常ーー日記に書いてある興味関心ごと

ここまで読んで、日記本になんとなく興味を持ってくださった方に、どんな人物なのかを伝えるために、わたしの日常に出てきた固有名詞をまとめます。これでだいたいどんなやつなのかはわかると思います(日記には出てかも知れないけど、この期間に観たものとかも含みます)。また、日記自体はnoteで一部、Twitterでだいたい毎日掲載しているので、読んでみてください。

■映画
濱口竜介/ウェス・アンダーソン/レオス・カラックス/フランソワ・トリュフォー/エリック・ロメール/ウォン・カーワアイ

ドライブ・マイ・カー/ハッピー・アワー/親密さ/偶然と想像/わたし達はおとな/シン・ウルトラマン/街の上で/フレンチ・ディスパッチ/アネット/パリ13区/カモン・カモン/リコリス・ピザ/わたしは最悪。/スパイダーマン;ノーウェイ・ホーム/大人はわかってくれない/アデルの恋の物語/緑の光線/恋する惑星

■アート・デザイン関連
隈研吾/ロニ・ホーン/ソール・スタインバーグ/小池一子/SANAA/妹島和世/西沢立衛/ジョージ・ナカシマ/坂内拓/ミロコマチコ/millitsuka/we+/Nerhol/上野リチ/山中俊治/吉阪隆正/井上泰幸/アレック・ソス/柴田敏雄/鈴木理策/河野未彩/オートモアイ/ライアン・ガンダー/原弘/藤本壮介/ジャン・プルーヴェ/ゲルハルト・リヒター

民藝の100年/2121年 Futures In-Sight/MAISON&OBJET/TDC賞/The Thinking Piece/惑星ザムザ/みんなの椅子/私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ/

■書籍
古橋悌二『メモランダム』/穂村弘『あの人と短歌』/瀬戸夏子『はつなつみずうみ分光器』/大崎清夏『踊る自由』/谷川俊太郎『はだか』/吉増剛造『黄金詩篇』/フランソワーズ・サガン『愛と同じくらい孤独』/クラリッセ・リスペクトル『星の時』/三島由紀夫『美しい星』

千葉雅也『現代思想入門』/マーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』『ポスト資本主義の欲望』/『ファンダムエコノミー入門』

■音楽
カネコアヤノ/折坂悠太/七尾旅人/坂本慎太郎/cero/中村佳穂/くるり/KIRINJI/スピッツ/クラムボン/Original love/Ovall/FINAL SPANK HAPPY

■ラジオ
空気階段の踊り場/真空ジェシカのラジオ父ちゃん/ハライチのターン/三四郎のオールナイトニッポン0/マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0/83 Lightning Catapult/OVER THE SUN/こんにちは未来

■中央線
LOU/七つ森/エリックサウス/文禄堂高円寺店/蟹ブックス/gion/roji/喫茶天文図鑑/書楽/どんぐり舎/今野書店/本屋ロカンタン/FALL

仕様・金額・販売について

【仕様・金額】
ページ数:190P
金額:1980円

【販売について】
販売は冒頭にもあるように、12月11日(日)に下北沢のBONUSTRACKで開催される日記祭にて販売します。

通販の販売開始いたしました!(1月22日現在)
BOOTH経由での通販限定で、彼(好きな人)書き下ろしエッセイ「Tinderで日記を送りあうこと」特典ペーパーがつきます。彼視点で、Tinderでのこの奇妙な体験どんなものであったかが綴られています。

▼以下、BOOTHにてご購入よろしくお願いします。
https://nikkitin.booth.pm/items/4475893
※購入にはpixiv IDが必要となります
※あんしんBOOTHパックを利用いたしますので、双方の個人情報をやり取りがなく、取引ができます

もしうまくいけば書店さんでも取り扱ってもらいたい〜〜〜!!と思ってます。
もし、もし、もしもですよ、お取り扱いを検討してくださる書店様がいらっしゃいましたら、ご連絡いただければ飛んで喜びます。PDFデータやみほん本をお送りいたします。また、ここなら相性いいかも?という書店さんがありましたら、ご連絡したいので情報提供もお待ちしています。

最後に、わたしの日記を読み続けてくれたTinderメイト(?)の方から、Super Likeならぬ、推薦コメントをいただきました!

みんな文体ばらばらでおもしろい

日記祭で、待ってます!

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