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高崎線トラブル原因は架線の「碍子」

埼玉県熊谷市新堀のJR高崎線・籠原(かごはら)駅構内で15日に起きた火災は、送電線をはりから吊る「碍子(がいし)」が破損して漏電が起き、周辺の信号やポイントを動かす機器などが焼けていたことをJR東日本が明らかにしました。同駅前後の熊谷−本庄間は終日運転を見合わせ、熊谷−岡部間は16日も運休し、復旧は17日の始発からとなる見通しでしたが、17日 12:00現在も熊谷~岡部駅間の運転を見合わせており、未だ復旧していないようです。経年劣化による腐食が碍子破損の原因とみられ、同社と県警熊谷署が詳しい経緯を調べているとのことです。

JR東日本によると、破損した碍子は、電車を動かす電気を下方の架線に送る電線を吊っており、磁器製の二つの絶縁体を結ぶ太さ19ミリの鉄製部品が断裂し、1500ボルトの高電圧がかかる電線が鉄製の梁に接触して漏電し、高圧電流は梁を通って流れ電柱との接続部分が一部溶けたほか、コンクリート製電柱を伝わって地中にも漏電し、近くの信号、ポイント、踏切を動かす電子機器や駅舎の配電盤などに過電流が発生し焼損させたとみられます。これはかなり復旧に時間がかかりそうです。

碍子は送電線からの高圧電流が鉄塔に流れ込まないようにせき止める(絶縁する)働きをしています。だいたいは磁器つまり石を焼いた瀬戸物です。何せ碍子はもの凄い高電流を半永久的に絶縁するという大役を担うため、出荷する製品には非常に厳しい品質管理が必要で、すべての製品に実際に高圧電流を流して品質チェックするのだそうです。品質チェックは、碍子を挟んで電極を配置し、超高圧電流を流すというもので、碍子の周りを稲妻が迂回すれば合格で、つまり、碍子が空気よりも電流を流しにくいということを全製品について確認しているわけです。

しかし、どんな製品でも経年劣化はあるわけで、出荷時には完全な製品でも、自然劣化していくのは仕方がないことです。この高崎線の碍子破損は稀なケースと言われていますが、碍子は半永久品と信じ込んでまともにチェックなぞしたことがなかったのではないでしょうか。笹子トンネル天井板落下事故しかり、施設構造物に永久品というものはありませんので、きちんと定期的にチェックしないといけませんよね^^;。碍子は断裂部分にさびが付いて腐食が進んでいたとのことです。この碍子は1991年に設置され、寿命は20〜25年で2017年度に交換予定だったそうですが、寿命を計算しても遅くとも2016年には交換しないといけなかったことになります。20~25年というのもきちんと高速耐久実験装置などで耐久テストしたのか、本当は怪しい感じですね。今回の件を教訓にして、JR全線の碍子を緊急点検して、安全マージンをとって20年で定期交換するのがよろしかろうと考えます^^;

ヘッダー画像転載元 : http://www.itline.jp/~palace/tower/index801.html

ニュースソース(写真も含む) : JR高崎線 信号動かす機器など焼ける…復旧17日(毎日新聞 2016年3月15日 21時13分(最終更新 3月16日 00時46分)) http://mainichi.jp/articles/20160316/k00/00m/040/112000c

ニュースソース(写真や図も含む) :JR高崎線駅火災送電設備部品壊れ漏電 復旧、あすにずれ込み (毎日新聞2016年3月16日 東京朝刊) http://mainichi.jp/articles/20160316/ddm/041/040/122000c

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