sometimes, saw a dream / 20200609

蛇口を回した時に、するすると音がする。暗闇、何かが滑り込んでくるのを、ベランダの施錠を確認することで尚更落胆する。窓の外に見える遠い街並みは明るい。100万ドルの夜景よりも、恐らく明るいのではないか。道行く人々が、彷徨いながら曇り空を見上げている。明日が見えない恐怖。昨日も怖くて振り返れなんてしないし、もう永遠なんて来ないんじゃないか。僕らには今日、今、今今今だけしか向き合うことをゆるされていない、他のところを見ようとすると、看護師さんが頭を抑えつける。病室に僕の抵抗が虚しく響く。知らぬうちに手首に傷が出来ている。包帯を巻いて、なかったことにする。ずっと変わらないでいて欲しい。来年の今頃は幸せになっている、去年の今日よりも、5年前の今日よりも、今年の僕はずっと幸せだった。変わらないと、いけない。僕が僕で居る為には。それでも、寝ても醒めても、悲しみは、苦しみは、永遠に僕だけのものだって、指切りしてよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?