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はる のはなし

「はる」って名前の子がいてさ、私はその子がどんな子なのか、ちっとも知らないんだ。
いやさ、ちっとも知らない「はる」の話をするなんて、変だと思うだろ?

ま、「ちっとも知らない」っていうかさ、「ちょっとは知っている」ってわけだけどね。

「ちょっとは知っている」って、「はる」の何をちょっと知っているかってさ、私が知っているのは2つのことだよ。今日は、ちょっと知っている2つのことのひとつ目の話をしよう。

それはね、
「はる」のことを大好きな人がいるってこと。私は「はる」のことを大好きな人に会ったんだよ。ところでさ、私は人の言うことなんか信用しないタチなんだ。人間の言葉なんていい加減なもんだよ。だから、その人が「はる」のことをどんな風に言っても、私にとったら、そんなの鳥が鳴いているようなもんさ。何の意味もへったくれもない。

じゃあ、どうやってその人が「はる」のことを大好きだって分かったかって?

その人が「はる」って名前を言う時の「気配」がさ、キラキラしていたんだよ。「気配」がキラキラするってどんな感じか分かるかい?
雪の中にフキノトウを見つけた時とか、流れ星を見つけた時とか、あるいは、虹を見つけた時、誰かに「ねえねえ、見て!」って、言いたくなる気持ちって分かるかい?そんな時には、その人はちょっと明るく光って見えるんだ。つまり「気配」がキラキラしてるんだよ。

その人が「はる」って名前を言う度に、毎回その人の気配がキラキラするものだからさ、私は「はる」について、ちょっとだけ知ったってわけ。つまり、「はる」のことを大好きな人がいるってことをさ。

ああ、今日は眠くなったから、これでおしまい。

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