風になる

今日は一緒に暮らす小学校6年生3人組の卒業式だった。

たった3年しか一緒じゃないし、血のつながった子供じゃないし…そう思ってたのに、背筋がいつもよりピンとしてハキハキとしゃべる姿を見ていたら、特にいっちばん暴れん坊で悩まされてきたTくんの姿を見ていたら、この3年間のいろんなことがフラッシュバックして泣けてきてしまった。

なんの涙なんだろうな。
大変だったな、っていう涙かな。
立派になったな、っていう涙かな。
無事に卒業できてよかったね、っていう涙かな。
この感情にうまく名前をつけてあげられないな。

わたしが働き始めた頃のTくんはほんとうに大変で、朝学校に送り出すだけでも毎日戦争のようにヘトヘトで、怒ったり、嫌気が差したり、でも励ましたり、一緒に校門まで登校してみたり…学校以外もいろいろ大変だったんだけど。でも、ここ最近はTくんといろいろな話ができるし、一緒に過ごす時間が純粋に楽しい。
Tくんが自然と変わっていったことや、Tくんが頑張って変わろうとしたこと、わたしがTくんのことを理解しはじめたこと、どんどんTくん自身のことをわたしが大好きになってったことなんかがいろいろと混ぜ合わさって、そういう今があるんだと思う。

ほんとに関わり方わからなくて泣いたこともある。でもどうにかわかりたくて、試行錯誤してきた三年間だったよな。そんな日々を思い出したら、ぐっときたんだよなあ。 

卒業式のあとの帰り道。偶然二人で歩いて帰ることになったから、そんな大変だった日々のことを振り返りながら、でも成長したTくんのことについて話しながら帰った。その話を聞いたTくんは、照れくさそうにニヤケながら一人で走り出して先に行ってしまったけれど。その後ろ姿とか、晴れた青空とか、そういう景色がとてもきれいだった。

こんな日のことを忘れたくない。
卒業、おめでとう。

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