私たちのハァハァ
福岡県北九州市の田舎町に暮らす女子高生4人組は、ロックバンド「クリープハイプ」が大好き。福岡のライブを観に行き出待ちした際、「東京のライブにも来て」と言われたことから東京に行くと決める。こうして高校生活ラストの夏休みに、自転車で東京を目指す彼女たちの旅がスタートし……。
クリープハイプが大好きな高校三年生の女の子四人組が、クリープハイプに会うために北九州から東京へ。
好きなもののためなら、後先考えずつっぱしって、暴走して…。こういう熱量って、この女子高生くらいの年代特有のもので、かつ一緒にキャーキャーしてくれる仲間がいるからこそ出来ることな気がする。そういう意味で、この映画は青春ロードムービーっていう表現がぴったり。
なんだか、自分たちが最強な気がするんだよね。何がって、そのものへの好き度が。それだけで、つっぱしれちゃうのが女子高生なんだよね。
かくいうわたしも、田中まーくんがいた時代の駒大苫小牧野球部が大好きすぎて、友達と学校の球技大会のあと、ジャージ姿のまま駅前の準優勝報告会にダッシュしたり、駒苫写真展に置かれていたメッセージ用スケッチブック1ページ分好きの気持ちを書いて、「これ、本人達に見られたらどうしよう…!」なんてアホなこと思ったり。他にもそういう若さ故の出来事はたくさんあるけど、今はもうそういうのできないなあ。
この女の子たちの関係性もなんだかリアルで。
クリープハイプを神のようにあがめている子。
クリープハイプは好きだけど、なんだかんだ彼氏を優先する子。
さしてクリープハイプは好きじゃないけど、みんなといるために一生懸命ついていく子。
クリープハイプって共通言語で繋がっているはずの4人で、普段は同じようなテンションで盛り上がれちゃって、キャーキャーハァハァ騒げちゃうけど、でもほんとは思ってることはちがう。あー、あるよね、あるあるって感じ。
クリープハイプを崇拝している子が終盤で暴走しても、他の三人は(喧嘩はするけど)決して見捨てない。見ている側としてはなんだかイライラもしたけど、確かに自分の高校時代を思い返してみると、どんなにねちねちグチグチしてて面倒だなあって思う友達がいても、なんだか、こう、ほっとけないってことってあったよなあって。
クリープハイプの好き度はそれぞれ違うし、高校卒業したら進路もバラバラになってしまうし、一生友達でいる確証もないし、強い絆があるかと言われたらそうじゃない。でも、この”高校時代”って限定的な期間で見れば、強く繋がっている。
ただのキラキラ青春物語でもなく、かといってドロドロ女子の確執を描いてるわけでもなくって。そういうふわふわした繋がり方が描かれているのがとてもリアルで、わかるってなる映画。
何も考えずに好きなものにつっぱしれていたあの頃が恋しくなったけど、きっともうあの頃のように、純粋な気持ちでなにかに騒いだりすることはないんだろうな。やっぱり、あの”ハァハァ”は、あの頃しか出来なくて、だからこそいいんだろうなあ。
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