一翼であるならば
シミだらけの、セメントで囲われた灰色の壁、その四方に囲まれた厚い壁の中の一つに正方形の小さな格子窓があり、その窓を通し、下界からの斜光線が、畳の上まで届いていた
今日の天気が、晴れか曇りか雨か
それくらいは、わかったし、匂いでも天気がわかる
私が、ここに閉じ込められて、何年たったのだろうか、世界から遮断されて、何日1人で夜を越えてきたのだろうか
世界は私が、いなくなっても続いていくだろう
しかし、私がこの世を去れば、私の世界は終るだろう
ふと思う、私が見ているものが、すべて私の為に作られた物語であれば
私が死ねば、この世界も真っ暗闇になり、無になるのではないかと思った。
私は、右左上下に視線を向けた。
その瞬間に3次元の世界が作られ、人が作られ、ストーリーができ、まるでロールプレイングゲームのように世界が次々と作られていってるのではないかと思った
この世界は元々ないものだったとしたら、私の空想であれば、
まるで私が移動するのではなく、景色が移動してきて、私のところまで来るのだとしたら。
そんなことを考えると、怖くなる
いなくなった後も、世界は続いていくだろう、しかし、私はそこにはいない
私は変化する世の中を見ることが出来ないし、知ることもできないのだから
この世が想像の産物であってもなくても、構わない。
世界からいなくなる時、意識はどうなるかわからない
でも今、私が目にしてるもの、感じているもの
そう、たしかに世界はここにある
世界の一翼であることは事実だ
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