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うっかり落とした屑馬券の裏には電話番号を走り書きしていた
湖の上には雨雲が立ち込めてきた、涙が落ちてきそうなソラを見上げながら、馬券を探したけど見つからなかった

湖に足首までつかり、湖の底を見つめようとしたけど、自分の顔しか見えなかった

女神さまがやってきて、
あなたの落とした馬券はどちらですか
と僕に問いかけた

女神さまの右手の掌には僕の屑馬券、左手の掌には当たり馬券が置かれていた

僕はすぐさま左手を選んだ、女神さまは微笑み当たり馬券を僕にくれた

これで当分遊んで暮らせると思った、でもすぐに終わってしまう

自問自答し、どちらの馬券が大事か天秤にかけた

あの屑馬券の裏の番号は、金には変えられない、このままだと永遠に分からないままになると焦った

女神さまに言った

嘘をつきました、私が落とした馬券は右手のやつです

女神さまは微笑みながら、一度選んだことは、戻せないのよ
と僕を諭した。

正直に言ったけれど少し遅かった。いや遅いわけじゃない、当たり馬券を選んだのは、紛れもなく自分だ

咄嗟の判断に迫られたって言い訳したいが、ダサくてできない

僕は、自分でもう一度探しますと言ったら、女神さまは、微笑みながら消えていった

雨が降る中、湖を再び探し始めたが見つからなかった

胡座をかいて、休んでいたら靴の底に屑馬券が貼り付いていた

電話番号もなんとか読める、ほっとため息がでた、僕は当たり馬券を破いて、湖にばら撒いた

撒き終わり、携帯を取り出し、馬券に書いた番号を押してみた。

呼び出し音が鳴る間、湖を眺めたら不思議な色を醸し出していた

顔を上げ、遠くのソラを見つめたら、虹ができていた


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