フレンズ

親友と思っていると言ったらおこがましいか?
お前は俺のこと、どう思っていた?
出会って20年後に、あのころとちっとも全然変わっていないと言われたけれど、それはこっちの台詞だよ
俺の中では、あれから、あの日から、時間は進んでいないよ、とまったままだよ、ここだけは、

そういや、昔一緒に海に行って、ナンパしたっけ
夜に予定があって、女たちが街で待ってるけれど、ブッチして、海で日焼けずっとしたよな、お前めちゃくちゃ怒ってたよな、帰ろ、帰ろって、あの時の日差しはまだ瞼に焼きついているよ

お前の家のチャイム鳴らす時、こんな時間が、いつも、いつまでも続くんだろうなあって思っていたよ。
居酒屋でベロベロになり、最後はいつも、感傷的になっていた。
割り勘にやけにこだわったりして、今思えば、全部奢ればよかったよ、もう飲めないくらいなら。
お前の姉ちゃん可愛かったな、羨ましかったよ、そして、裕福な家に生まれたお前に嫉妬してた、でも、そんなことはお前にとっては何のプラスにもなってなかったな

俺らは本当に悩みなんかなかったと思ってたけれど、それは違ったんだな
おやすみ、バイビー、またな
そんなこと言うたびにお前は暗闇に取り残されていたんだな。
話す話題が尽きて、果ては日本の未来を案じていた自分が懐かしいよ。
好きな女、学校、仕事、なんてなあ
学校脱走してきたお前と出会ってから、10年
ありがとうなあ
俺はお前に何を声掛けてあげればよかったんだろうか、
普通でよかったんだよ、普通に飲んで、普通に恋愛して、な?
何者にも、なれないんでよかったんだよ。
死んで有名になるより、名を知られずにも生きていくべきだったよ

入学、卒業、就職、結婚、出産、孫、マイホーム

流れってあるよな、おおまなかに

お前はその途中だったんだよなあ



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