からまれた話①
はじめて絡まられたのは、中学1年生の正月だった。
何か用事があり、自転車に、乗っていたら、すれ違った人に声をかけられた
「おいっ」
ビクッとなり自転車をとめ、振り返った
「お前、なにがん飛ばしてんねん」
と言われ、あたふたしながら、うろたえていた。地元で、同級生が通りがかり、私を見ていたのを覚えている。
しかし、はたからみたら、絡まられているかどうかわからない。
みんな素通り。
私は半泣きになり、涙が溢れそうになるのをこらえて、かろうじて「みてません」とその人物に、告げた。
その人は「とりあえず、こっちこい」といい、私は、あれよあれよと言うまに路地に連れて行かれた。
よく知っている地元なのに、異世界に来たみたい。
「あんなあ。おれ〇〇中学やねん。知ってる?」
と言われ、知ってるわけないけれど、中学は悪名高く知っていたので「はい」と答えた。
相手に、その中学を知っているのか、その人を知っているのか、どう伝わっていたのか、どうでもいいことを考えてしまった。
誰か通りかかってくれないのか
私は必死に祈っていた。
近所に住む、住人が出てきたが、私は叫ぶことも出来なかった。
「あんなあ、ちょっと金貸してほしいねん」
やっぱり金か、お正月やしお年玉あるの知っていたのかなあ?
「はい、いくらですか」
とにかく怖くて、帰りたかったから自分から告げた。少しでも相手を怒らせないように。
「一万、絶対返すし」
私は財布から一万円を抜き相手に渡した。
「悪いな、俺〇〇中学の〇〇やから、覚えとけよ」といい、私が差し出した一万円を掴みとると足早に立ち去った。
私は、ほっとして一目散に自宅に帰った。
心配だったのは同級生にカツアゲされているって噂が立つことだった。
家族にも警察にも言わなかった。
しばらくして、誰かに「そういえば、絡まれてたよな」って言われ、恥ずかしくて泣きたくなった。
今となっては、殴られなくてよかったと思ったが、我ながら情けないとも思った。
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