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『LORELEY』(L'Arc〜en〜Cielの楽曲をひたすら語っていくシリーズ)

しばらく怠けてしまっていましたが、ついに『HEART』編に突入です。
ここからはドラムがyukihiroにチェンジしており、後にまた触れる『DUNE』編まではしばらくsakuraのドラムとはお別れになりますね。
さて、まずは一曲目の『LORELEY』です。
この曲、私はめちゃくちゃ好きです。
一般的な評価ってどうなんでしょうかね?
次の『winter fall』をいち早く聴くためにスルーしてしまう人もいそうな位置にあるこの曲ですが、そうしておくには勿体無い超名曲ですよ本当に。

この曲に関するエピソードとして、メンバーがドイツの古城に宿泊して楽曲の着想を得たという話がありますよね。
歌詞を読んでみると、詳細なところまでは理解できない抽象的な内容が目立つのですが、全体を通して見た時にはまさに中世に築かれた西洋の古城とその周囲の川の景色が浮かんでくるのが不思議なところ。
しかもその歌詞にバンドの演奏が合わさると、よりその景色が鮮明に脳裏に浮かんでくるんですよね。
このhydeの紡ぐ歌詞とバンドの演奏のリンク感というか、トータルバランスとして景色を想起させるような音楽になっているというのがL'Arc〜en〜Cielの大きな魅力の一つだと思っています。

楽曲の話に戻ると、まずこのイントロ。
どこか時空を超えているかのような効果音から中世的な味わいのあるピアノのフレーズへと移り変わっていきます。
ここで楽曲の持つ中世的な世界観へと誘われているような気分になるんですよね。
そこにフィンガーピッキングで弾いているであろうkenの叙情的なギターが加わり、バンド全体が加わってのイントロが始まります。
この後半のイントロが始まったタイミングで一気に視界が開け、世界が鮮明に見えてくるような劇的さがあるんですよ。
更にそこにhydeが演奏するサックスの音色が加わると、もうそこは中世西洋でしかないという、この世界観たるやw
イントロの段階で既にお腹いっぱいになれます。
ドラムに関してもいきなりyukihiroの代名詞的な6連フィルインが炸裂し、sakuraのものと比べるとシャープに感じられるサウンドと共にyukihiroのドラムの特色を思い知らせてくれますね。

そこからAメロへ。
ここの歌詞のplay my guitarのくだりは明確な意図はわかりませんが、イメージとしてはギター片手に吟遊詩人が語っているような、これまた中世的な世界観が浮かんできます。
ベースのフレーズは隙間を活かしたメロディアスなものになっており、時折16分のノリになるのがドラムの16分裏に入ってくるバスドラとリンクしていて心地良いです。
ギターはコードのバッキングをアルぺジオを織り交ぜつつ奏でる、これも代名詞的なkenのフレーズになっています。
途中でハンマリングとプリングを挟んだ印象的なフレーズが出てくるのですが、このフレーズが本当に素晴らしいんですよね。
kenもこの響きが気に入っているのか、『LOVE FLIES』でも同じフレーズが登場するので、聴き比べてみるのも面白いですよ。
Aメロの後半の歌詞を見ると、この歌詞の物語をリアルに体験しているものの視点の内容というよりは、後世の人間が史跡を辿って歴史を追体験するような内容になっているように感じられます。

比較的ゆったりとした流れで進んでいくAメロが終わると、次に入るBメロでは少し急き立てられるような流れに。
ここのドラムの展開は非常に美しく、リズムの突っかかりになるようなアクセントを入れつつ、また随所に6連フィルを入れて劇的さを演出してきます。
ギターはコードのバッキング→フレーズという流れを繰り返すのですが、このギターのフレーズとベースのフレーズの絡みが面白く、ギターは上昇するのにベースは下降していくような音運びになっている箇所が特に印象的です。
ボーカルは特に「水面へ」の箇所の最後のぇえぇ!が良いですよね。
これは聴いた人であれば共感してくれるのではないでしょうかw
サビへの導入部分のチャイナを交えたドラムのフィルも圧巻です。

サビでは再びイントロやAメロのような大きなノリに戻ります。
ここのボーカルワークは圧巻で、とてつもなく美しいロングトーンを所々で裏返るギリギリの所まで持っていくことで壮大さと儚さを同時に感じることができます。
「ゆだねた歌は貴方へと沈む」という表現はなんとも美しく、主人公と恋人のバッドエンド的な展開を想像することができますよね。
ギターはオーガニックな音色のコードバッキングの上に乗っている高音シーケンスフレーズが印象的で、この音に川が流れている情景を重ね合わせてしまいます。
あとはこのフレーズ、なぜかプレステ1の次期のRPGを思い起こさせるんですよね。BOF3とかその辺りのw
サビのコード進行はイントロと同一で、ベースは途中までイントロとほぼ同じフレーズを弾いているのですが、ラストのドラムが激しいフィルを叩くところでは16分の細かいフレーズを入れてきます。
これはラルクのベースをコピーするにあたっては押さえておきたい重要フレーズですねw
この箇所のフィルはそりゃもうとんでもない迫力なのですが、これだけのフィルを叩いていてもドラムの音がそこまで前面に飛び出てこないというのがsakura時代のドラムとの大きな違いだと思います。

そこから続くサビ2的なセクションも歌の表情の付け方が素晴らしく、ここでもhydeのライララライに出会えます。
前半は少しがなり立てるような荒々しい歌い方をし、後半では儚げに歌い上げるというこの緩急の付け方は流石としか言いようがないです。
ギターのペダルトーン的アルペジオが更にそこに切なさを加えてくれています。
ここから1コーラス目ではEmへと展開するのですが、2コーラス目ではGに展開し、曇っていた空が晴れたかのような情景の変化を味わうことができるという。
更にそこからベースのフレーズ変化して不穏な空気感を演出し、最終的にはまたしても暗い世界へと引き戻されるようなギターのフレーズで幕を閉じます。
一曲を通して壮大な一つの物語を見せられたようにも、ここから展開していくアルバム全体の世界観の序章を見せられたようにも感じられるこの楽曲、いやー本当に凄まじい。

語りたいことはまだまだいくらでもあるのですが、そんなに書いても誰も読んでくれないと思われるのでこの辺りにしておきます。
最後に付け加えておくと、この曲はhyde作曲なんですが、後の初期hydeのソロの世界観に繋がっていくような空気感を持っているように感じられるんですよね。
そういった意味でも重要な1曲だったのではないかと思います。


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